園芸部類 | 草花 |
形態 | 多年草(暖地では一年草) |
樹高・草丈 | 20~150cm |
開花期 | 5~6月 |
花の色 | 青、白、ピンク、紫など |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 落葉性 |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
デルフィニウムは非常に寒さに強く、高地の草原や山岳地帯に自生します。日本国内では明治初期に切り花として使われていましたが、イングリッシュガーデンの流行とともに苗が流通するようになりました。デルフィニウムは、本来は多年草ですが、暖地の夏の暑さに耐えられず枯れてしまうため、日本国内では一年草として扱われることもあります。
デルフィニウムにはアルカロイドの一種であるデルフィニンという成分が含まれており、食べると腹痛や下痢といった症状が起こる可能性があります。最悪の場合は死に至るケースもあるため、注意が必要です。
デルフィニウムという名前は、ギリシア語でイルカを意味する「Delphis」から来ているといわれています。これは、デルフィニウムのつぼみの形がイルカに似ていることに由来します。また、デルフィニウムの和名は「大飛燕草(オオヒエンソウ)」です。デルフィニウムの開いた花がツバメの飛んでいる姿に似ていることから、この和名がつけられました。
デルフィニウムには約300種の品種があり、花の形状によってエラータム系・シネンセ系・ベラドンナ系の大きく3タイプに分けられます。エラータム系は花穂が長く、ボリューム感があります。一方のシネンセ系は、茎が細く花がまばらに咲くのが特徴です。エラータム系とシネンセ系の中間的な特徴を持つのがベラドンナ系です。
エラータム系に属するオーロラシリーズは、長い花穂にボリューム感のある八重花を咲かせます。デルフィニウムのなかでも管理しやすく、比較的育てやすい品種です。
パシフィックジャイアントシリーズも、エラータム系です。うまく管理できれば、草丈は1m以上に成長します。花色は藤色や濃紫など、色の種類が豊富です。
長い花穂にたくさんの花を密集させて咲かせるのが、キャンドルシリーズです。キャンドルシリーズもエラータム系に属します。家庭菜園で種から育てると、同じく茎でも花が咲くのがまばらになることがあります。
ミストラルシリーズは、シネンセ系に分類されます。デルフィニウムの品種の中でもさわやかな色合いが多く、よくブーケや花束に使われます。
シネンセ系のシネンシスシリーズは、中国からモンゴルにかけてのアジア圏で咲く品種を元にして作られた品種です。草丈は比較的低めで、一重咲きの花を咲かせます。
エラータム系とシネンセ系の両方の特徴を持つベラドンナシリーズは、細い茎に一重の花をまばらに咲かせます。水色や白、青紫の花色がポピュラーです。
植え付けの時期 | 3月頃、10~11月頃 |
種まきの時期 | 10~11月頃 |
肥料を与える時期 | 秋~春 |
開花時期 | 5~6月頃 |
デルフィニウムは寒さに強く、気温が下がると成長が旺盛になります。そのため、涼しくなってきた秋以降に植え付けをするのがおすすめです。特にエラータム系など草丈を大きく育てたい場合は、成長期を迎える前の秋に植え付けるとよいでしょう。
デルフィニウムは、鉢植えでも庭植えでも栽培が可能です。花後に種が取れるため種からの栽培もできますが、苗からの栽培と比べると難易度が高くなります。またデルフィニウムの種は害虫に食害されやすく寿命も短いので、種まきの時期までは乾燥剤とともに冷蔵庫で保管しましょう。
デルフィニウムは、日当たりと風通しのよい場所を好みます。ただし、エアコンの室外機の近くなどの温度変化が激しい環境は避けてください。デルフィニウムは急激な温度変化に弱く、温度差が激しいと枯れてしまうことがあります。
デルフィニウムは、水はけと通気性のよい用土を好みます。赤土玉と腐葉土を7:3か8:2の割合で混ぜて、元肥としてあらかじめ緩効性の化成肥料を混ぜておきましょう。
用土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをしてください。庭植えの場合は、植え付け後に水やりをしたら、その後はほとんど水やりをしなくても問題ありません。
植え付けのときに、元肥として緩効性化成肥料を混ぜておきます。追肥は、葉が展開してきた3月頃に液体肥料や化成肥料を施しましょう。
デルフィニウムには毒性があるため、ほかの植物よりも害虫が付きにくいです。しかし、まれにナメクジやヨトウムシが発生することがあります。害虫は、見つけ次第捕殺しましょう。ヨトウムシは土中に隠れていることがあるので、食害を見つけたら株元の土を軽く掘って確認してください。
日当たりや風通しが悪いと、うどんこ病が発生する可能性があります。うどんこ病が発生した場合は、専用の殺菌剤で対処してください。
古土を使うと、立ち枯れ病になってしまうことがあります。古い土は地際部が腐敗しやすいので、植え付けは病気の出ていない清潔な土を使いましょう。
一番花が咲き終わったころに花茎を株元で切り落とせば、二番花を楽しめます。暖地では難しいですが、寒冷地であれば同じ方法を繰り返すことで三番花、四番花も望めます。
デルフィニウムを種から育てるときは、気温が下がってきた10月頃に種まきをしましょう。デルフィニウムの発芽適温は15~20℃で、23℃以上では発芽しません。
花穂が長く伸びるタイプの品種は、茎が伸びてきたら支柱を立てて倒れないように支えましょう。
寒冷地で多年草として育てる場合は、3~4年に1回株分けを兼ねて植え替えてください。
デルフィニウムは夏の暑さに弱いため、涼しい半日陰の場所で管理します。地植えの場合は、敷きワラなどで暑さ対策をしてください。一般的には、デルフィニウムは関東以南での夏越しは難しいです。しかし、風通しのよいところで水やりを控えめにすると夏越しできるものもあります。
デルフィニウムは耐寒性が高いので、寒さ対策は特に必要ありません。寒冷地で温度差が激しい場合は、マルチングを行うとよいでしょう。
デルフィニウムの増やし方は、種で増やす方法以外に株分けでも増やせます。植え替えのタイミングで株を分けて増やすと効率的です。