ザクロは、中東で古くから栽培されてきた果樹です。また、中国でも紀元前200年頃から「安石榴」という名前の漢方薬として利用されてきた歴史があります。日本へは平安時代以前に伝来し、庭木・盆栽として花の観賞用から、食用としても栽培されてきました。
園芸部類 | 果実・庭木 |
形態 | 中高木 |
樹高 | 2m以上 |
花の色 | 朱色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 強い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ザクロは、中東のイランやアフガニスタン、ヒマラヤ地方が原産地です。6月頃になると開花が見られ、花後に直径10cmくらいの果実を実らせます。観賞価値も高く、家庭用の果樹としても楽しめるのが魅力です。
ワンダフル
参考価格: 1,300円
ワンダフルの実は、通常のザクロの実に比べて大きく、約400gと大玉です。甘味が強く、果汁が多い品種で人気があります。また春にはきれいな花が咲かせ、用土にも気を遣うことがないので庭木としてもおすすめです。
シャインレッド
参考価格: 4,400円
シャインレッドは種がなく、とても食べやすい品種です。果実の大きさは250gほどで、不思議なことに、実が熟しても果皮は裂けず真っ赤に色づいたままです。種がなく、ザクロの果汁が好きな人にはおすすめです。シャインレッドの果汁は果実酒としても楽しめます。
ザクロは暑さにも寒さにも強いので、比較的育てやすく人気があります。庭木として育てると年数を重ねるごとに木そのものに趣が出て、愛着が増すでしょう。上級者になればザクロの木で庭の垣根を作れます。幹がしっかりとして葉も旺盛に生い茂るので、庭の目隠しとしても適しています。
植え付け時期 | 12~3月頃 |
花が咲く時期 | 6月頃 |
剪定する時期 | 12~3月頃 |
実がなる時期 | 10月頃 |
収穫時期 | 10~11月頃 |
ザクロの栽培適期は12月~2月です。特に、6月の開花にあわせて寒い時期の12月に植え付けるのがおすすめです。鉢植えの場合は、2年に1回ほど鉢を入れ替え管理しましょう。生育環境にあわせて、ザクロの根詰まりや葉枯れを防ぎ、通気をよくするためです。植え替えると元気に大きく成長します。
12~3月に、鉢に苗を植え付けていきます。鉢植えは、苗よりもひと回り大きい鉢を選びましょう。ザクロは根をよく張って成長するので、鉢が小さいサイズでは根が上手く張れず、育たなくなります。地植えの際は、日当たりのよい場所を選んでください。土を深く耕してから苗よりもふた回りくらい大きな穴を掘って植えましょう。
ザクロには常時日光が必要なので、室内ではなく屋外で管理して育てましょう。寒さや暑さにも強く、こまめに水やりをしなくても自然に成長します。ちょうど5月~6月にかけての梅雨の時期にきれいな花を咲かせます。庭先に植えておけば、梅雨の時期に庭に咲くザクロの花を楽しめるでしょう。
ザクロは、日当たりのよい場所で育ちます。日が当たらないと、しっかりとした実を収穫できなくなるので注意が必要です。また、根腐れの原因にならないように風通しがよい場所を選んで鉢を置いてください。地植えの場合も、できるだけ建物に囲まれている場所ではなく、周囲が開けていて風の通りがよい場所で育てましょう。
ザクロの原産地は地中海などの温かい地域なので、あまりに寒い場所では冬越しできずに枯れてしまいます。しかし日本海側の甲信越などでも、しっかりと根付いていれば枯れる心配はなく、冬越しすることは可能です。
ザクロは、比較的育つ場所を選ばずにどこでも大きく成長します。水はけがよい弱酸性の土がおすすめですが、基本的にはどのような土でも元気に育ちます。しかし粘土質が強い土や砂利を多く含む土は、根がうまく張れない可能性があるため避けたほうがよいでしょう。鉢植えの場合は、赤土と腐葉土を混ぜてブレンドした土を鉢に入れて育てると、より元気に成長します。
ザクロを花付きよく、実を多くつけさせるには、肥料を適切に与えて管理することがポイントです。ザクロは、肥料を追加した分だけ余すことなく成長に取り入れます。しかし、窒素の与えすぎは、葉や根が枯れてしまう原因にもなるので注意が必要です。
果実をつけるザクロには、十分な肥料が必要です。特に窒素、リン、カリウムの3つの成分はザクロの成長に欠かせません。追肥する際は、年間を通して3月、7月、10月の3回に分けましょう。追肥は、幹に近い所は避けて、土全体に栄養がいくように緩効性肥料を数粒埋めます。特に、3月、7月は花や果実の生殖をサポートするリンを多めに入れるのがおすすめです。
ザクロの水やりは、庭植えと鉢植えで異なります。鉢植えの場合は、土の表面がしっかり乾いた状態になってから水を与えましょう。土が湿った状態が続いていると根腐れをすることがあるので注意が必要です。庭植えの場合は、真夏日の炎天下が続く日や乾燥している日などは朝夕に水やりを行うとよいでしょう。
ザクロは初夏に開花を観賞でき、花後の秋には実の収穫を楽しめます。きれいで美味しいザクロの果実を収穫するには、均等に栄養分が行き渡るように摘果します。木によって異なりますが、たくさんの実をつけた場合は、1本の枝に1つの果実以外は、旬を迎える前の8月~9月頃に摘み取りましょう。
上へ伸びて成長している枝は、邪魔にならない限りは伸ばしておきましょう。剪定が必要な枝は、根元から広がっている箇所です。枝が密集していたり、外側に向かって伸びずに内側を向いて伸びたりする枝は、切りそろえましょう。大きな枝を剪定しても問題ありません。長く育てていくのであれば、きれいな形に育てましょう。
10月頃になると、実が赤く、大きくなります。色が赤くても、果汁が酸っぱくて食べられない場合があるので、熟すまでしっかり待ちましょう。ザクロの種類によって異なりますが、通常は完熟したものは自然に実が割れてきて、中からルビーのような赤い果肉と種が見えてきます。熟した後もあまり長く木に置きすぎると虫や鳥がやってきて食べられてしまうので注意が必要です。
ザクロの増やし方は、3月上旬~中旬にかけて挿し木をするのが一般的です。太い枝を挿し穂にするのが向いています。人の腕くらいの太さの枝を地面に打ち込んでおくと、よく根が広がります。
挿し木は、3月中旬~下旬が適期です。この時期が適期とされるのは、ザクロの枝が切りやすいからです。まず、太く丈夫な枝を15cm前後に切ります。切った枝を土に挿します。枝は全体の半分程の長さを地中に埋めましょう。1週間程度で発根し1カ月半ほどで発芽します。
ザクロの葉に糸状菌という肉眼では見えない小さなカビが付着し、白く、粉をまぶしているような状態になります。この病気がうどんこ病です。うどんこ病は葉の表面を覆ってしまうので光合成ができなくなり、葉や花が枯れてしまったり、形が変形したりします。日が当たる場所で育てて予防しましょう。
ザクロは害虫にも比較的強いといわれていますが、アブラムシやカイガラムシがつくことがあります。それらがつくと、花や果実が傷ついてしまうのです。剪定して枝の風通しと日当たりをよくしたり、殺虫剤などで用いたりして管理しましょう。