園芸部類 | 庭木など |
形態 | 常緑高木 |
樹高 | 4.5〜10m |
花の色 | 白(品種によっては赤) |
耐寒性 | 弱(15℃以上) |
耐暑性 | 強(35℃以下) |
特性・用途 | チョコレートやココアの原料、染料と |
栽培難易度 | ★★★★★ |
カカオの木は、樹高約4.5m〜10mで常緑の広葉樹です。14cm〜30cmほどの大きさのラグビーボールに似た果実は、幹や枝に付きます。半年ほどかけて熟した後に収穫し、硬い皮をむいて5日〜8日かけて発酵させると、ココアやチョコレートの原料になります。
マヤやアステカでは「カカウ」や「カカワトル」と呼ばれていました。メキシコから各地に伝わる過程で、いつの間にか「カカオ」と呼ばれるようになったといわれています。
フォラステロ種は、西アフリカや東南アジアなどの暖かい地域で栽培され、世界収穫量の多くをしめる品種です。他品種と比べて病気になりにくく、成長がはやいため、大量生産にむいています。カカオらしい苦味や渋みがあり、香りもしっかりとしています。
ベネズエラやメキシコで生産されるとても古くからある品種ですが、病気に弱く大量生産にむきません。そのため、世界シェアにしめる割合はごくわずかです。フレーバービーンズといわれる独特の香りの希少品種として重宝されています。
トリニタリオ
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フォラステロ種とクリオロ種を、組みあわせて品種改良したものです。2種の交配により、クリオロ種の病気に弱い特徴が改善されて生産量が増えました。フォラステロ種の香りや風味のよさも受けついだハイブリッド品種です。
植え付け時期 | 最低気温15℃以上の季節 |
植え付けから実がなるまでの時期 | 4年〜8年 |
収穫の時期 | 4年〜70年、12年目がピーク |
花が咲く時期/開花時期 | 通年(日本では5月頃) |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け 植え替え |
● | ● | ○ | ○ | ||||||||
開花期間 | ○ | ○ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ○ | ○ | ○ |
肥料 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
成長期 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ○ | |||||
休眠期 | ● | ● | ○ | ○ | ● | ● |
カカオは最低気温15°C以上、平均27°Cが栽培に適した温度で、温度差を好まない植物です。日本でこの特徴をみたすのは、沖縄などの温暖な限られた地域しかありません。温暖な地域以外では、気温27°Cを超えてくる5月下旬からが栽培適期です。気温が15°Cを下まわる時期には、温暖な気候が再現できるように、ビニールハウスで温度管理をしなければなりません。
カカオはプランターや鉢植えでも栽培できます。成長にあわせて大きなサイズのものに変えていきましょう。
温暖な地域では、露地栽培も可能です。1株ごとの間隔を1.5〜2mほど離して植え付けましょう。
カカオの木は直射日光や寒さに弱く、単体で育てるのが困難な植物です。沖縄などの限られた地域以外では、ビニールハウスで平均気温が27℃前後に管理しましょう。さらにバナナなどを先に育てて、日陰ができる環境をつくってから栽培します。屋外の露地栽培の場合は、強風にも注意しましょう。
カカオ栽培には、ローム層系粘土質40%以下の水はけのよい土壌が向きます。ホームセンターなどでは、黒土として販売されていることが一般的です。黒土は有機物を多く含みり、排水性と保水性に優れ、カカオ栽培の土にむいています。
土の表面が乾いたら、水やりをしましょう。常に湿った状態では、根腐れをおこして枯れてしまいます。特に雨が多い梅雨の時期は、土の乾き具合を見て注意しながら水やりしましょう。
カカオの木の育ちをよくするためには、5月・9月ごろの春と秋の年2回、市販の野菜用肥料を与えます。肥料を頻繁に与えすぎると、肥料やけをおこして枯れてしまうので気をつけましょう。
カカオが小さな苗のうちは、ヨトウムシガ寄生しやすく、ひと晩で葉を食い尽くされる場合もあります。風を通す袋で覆って害虫から守り、見つけたときは捕殺します。駆除薬はオルトラン系の錠剤をまいて予防しましょう。
水のやりすぎなどで、フロスティーポッド病、カカオウィルス病、ブラックポッド病などにかかることがあります。加湿にしないためにも、土が乾いたら水を与えましょう。また適度に剪定して、風通しをよくすることで予防できます。
カカオの木を種から育てるのは非常に難しいです。発芽させるには、質のいい種(カカオポッドが大きく色つやのいいもの)を手に入れることが大事です。キッチンペーパーを濡らしてバットに入れ、種を並べて、常に湿った状態にします。すると3日ほどで芽が出てきます。発芽したものを植え付けましょう。この時点で発芽していないものは育ちません。
カカオの木の苗は、枝がしっかりとし、葉の色つやがよいものを選びます。管理状態が悪いとしおれていたり、葉の色が変わっていたりするものもあります。
小さな苗のうちは、害虫の被害にあいやすいため、風を通す袋で包むのもおすすめです。
鉢植えで育てる場合は、成長にあわせて鉢を大きくしていきます。鉢のサイズを大きくしないと、根が詰まり成長がとまってしまいます。植え替えるときは、一回り大きな鉢に植え替えましょう。
カカオの木は風通しをよくすると元気に育ちます。色の悪い葉などは切って、元気なものだけを残して風通しを確保しましょう。
日本の夏は気温・湿度ともにカカオの木には適しています。そのため、夏越しのために特別な対策は必要ありません。ただし、直射日光と強い風からは守りましょう。
カカオの木の冬越しでは、温度・湿度の管理が大事です。屋外の場合はビニールハウス内で気温27°C、湿度80%を保つように管理します。室内管理の場も同様に気温・湿度を管理し、暖房などの熱気が直接あたらないように注意しましょう。