カサブランカは、明治時代に日本から輸出されたユリがオランダで改良された栽培品種のユリです。その優美な姿と特徴ある香りで世界的に人気が高く、冠婚葬祭によく利用されています。
園芸部類 | 耐寒性球根植物 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 80cm~2m |
花の色 | 白(近年品種改良によりほかの色もある) |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 花壇、鉢植え、切り花、庭植、コンテナ |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
近年、カサブランカの花色の種類が増えてきましたが、基本的に純白です。美しい純白の花弁と甘くて強い香りが特徴です。葉は艶がある濃い緑色で、長さ15cmほどのボートのような形をしています。名前の「カサブランカ」は「白い家」という意味です。
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八重咲きのカサブランカです。花そのものも大きく、八重咲きなのでとても華やかです。丈夫で育てやすく、花持ちもよいので長く楽しめます。
育てやすさ | ★★★★☆ |
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花持ち | ★★★★☆ |
植え付け時期 | 10月~翌年1月 |
植え替えの時期 | 9月~11月 |
肥料の時期 | 6月~9月 |
剪定の時期 | 特になし |
花が咲く時期/開花時期 | 6月~8月 |
カサブランカは庭植でも鉢植えでも栽培できます。鉢植えの場合は素焼きが適していますが、プラスチックでも問題ありません。地植えの場合は球根の大きさ3つ分ほど、鉢植えやプランターの場合は10cmほどの深さに植え付けます。
カサブランカは室内でも屋外でも栽培できます。室内で栽培する場合は日当たりのよい場所で管理しましょう。室内栽培でも花後は屋外に置いて寒さにあて、翌春の発芽のために充分に休眠させます。
カサブランカには、午前中~昼頃まで日が当たる半日陰~明るい日陰が適しています。屋外で管理する場合は建物の東側がおすすめです。当てはまる場所がなければ真夏は遮光ネットなどで日陰をつくりましょう。西日は避けて、雨のあたらない場所で管理してください。地植えの場合は庭木の根元に植えるのも方法のひとつです。鉢植えは真夏にコンクリートに直置きになるような環境は避けましょう。
カサブランカの用土はアルカリ性が適しています。地植えの場合は植え付けの1週間~2週間前に土に苦土石灰を混ぜておきましょう。1㎡あたり20Lほどの腐葉土と100gほどの緩効性肥料を元肥として混ぜ込みます。鉢植えの場合は、肥料が配合されている市販の草花培養土で問題ありません。
カサブランカの球根には、乾燥に弱いという弱点があります。鉢植えの場合は朝晩土の状態を確認して、乾いていたらたっぷりと水やりをしましょう。特に開花期はほかの時期よりも水が必要なので、花持ちをよくするためにも水切れを起こさないようにしてください。地植えで栽培している場合、発芽して育った後は、長期間雨が降らない場合に水やりする程度で問題ありません。
カサブランカの追肥の適期は、新芽が出る頃と花の咲き初めの頃、咲き終わりの頃です。鉢植えの場合は液体肥料を、地植えの場合は緩効性化成肥料を与えます。カサブランカは球根の上についている根から養分を吸収するので、肥料は株元の近くに施します。
カサブランカには、アブラムシやユリクビナガムシなどの害虫がつくことがあります。市販の防虫薬剤を塗布したり、置き型の防虫薬剤を配置したりして予防しましょう。アブラムシは新芽の頃にとくにつきやすい害虫です。見つけたら歯ブラシでこすり落とす、牛乳やせっけん水で窒息させるなどの方法で駆除できます。牛乳やせっけん水は使用後にきれいに洗い流してください。また、市販の殺虫剤も使用できます。
ユリの球根の多くは、何らかのウィルスに感染しているといわれています。しかし、感染していても発症しないことも多く、発症を防ぐために環境を整えることが必要です。多湿にならないようにする、植え付けや植え替えのときに球根をしっかり殺菌することも予防につながります。
花がが咲き終わったら付け根から摘むのがおすすめですが、種が欲しい場合はめしべを残します。屋内の鉢植えの場合、花が全て咲き終わったら葉が全て枯れるまで屋外で管理しましょう。
カサブランカの種まきの適期は10月~11月で、用土は植え付けと同じもので問題ありません。種が重ならないようにまいて5mmほど土をかぶせ、水をたっぷり与えます。
カサブランカの苗を選ぶときは、葉が黄色くなっているものは球根が弱っている可能性があるので避けましょう。葉が濃い緑色でつやのあるものが選びます。
カサブランカの種はまいてから3週間ほどで芽が出ます。芽が出るまでは日が当たらない場所で管理し、芽が出たら液体肥料を2週間に1回与えます。カサブランカの苗は寒さに弱いので冬期間は室内で栽培し、4月頃、気温が15℃より下がらなくなったら定植しましょう。
カサブランカの植え替えは、地植えの場合は2年~3年に1回、鉢植えの場合は毎年行いましょう。用土は植え付けのものと同じで新しく用意します。植え替えの適期は9月~11月で、時期が来たら葉が枯れていなくても植え替えます。手順は以下のとおりです。
カサブランカは開花期が終わると地上部が枯れるので剪定は必要ありません。葉が全部枯れ落ちたら茎の根元から切りましょう。
カサブランカは夏の暑さにはある程度強いですが直射日光や西日には弱い性質があります。夏場は遮光ネットなどで日よけしましょう。鉢植えなどで栽培していて動かせる場合は、明るい日陰や半日陰へ移動してください。
カサブランカは気温が15℃以下になると休眠し、球根は土の中で冬越しします。休眠している間は冬の寒さにあてる必要があるので屋外管理が基本ですが、二重鉢にするなどして凍結しないように工夫しましょう。水やりは乾燥しない程度に続けます。藁(わら)や腐葉土でマルチングすると凍結・乾燥を予防できます。
カサブランカは分球で増やせます。植え替えのときに球根が大きく育って2つに分かれていたら、弱っている根を取り除き、手で裂いてそれぞれ植え付けます。
カサブランカの球根の、小さな葉のような形をした鱗片を使う方法でも増やせます。適期は8月~9月で、手順は以下のとおりです。
球根と茎の間にできる小さな球根のようなものが木子(きご)です。分球と同じように、植え替えのときに木子ができていたら上の根ごとはずし、植え付けます。植え付けると1年ほどで小さな球根になり、3年ほどで花が咲きます。
出典:写真AC