仙女の舞(カランコエ・ベハレンシス)は、マダガスカルに自生する多肉植物です。多肉植物としては珍しく幹立ちする種類で、葉の表面には繊毛が生えた独特の姿をしています。丈夫で育てやすく、多肉植物初心者の方にもおすすめの種類です。
園芸部類 | 多肉植物 |
形態 | 多年草、低木 |
樹高・草丈 | 30~50cm |
開花期 | 4~5月 |
花の色 | ピンク |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや強い |
特性・用途 | 観葉植物、寄せ植え、盆栽 |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
仙女の舞は、自生地では樹高3mほどにもなる大きな多肉植物ですが、四季のある日本国内では、最大でも1mほどです。葉の表面はビロード状の繊毛に覆われ、縁はギザギザとしています。多肉植物の中では成長が早く、小さな苗でもすぐに背丈が大きくなります。
仙女の舞は春~秋にかけて成長する、夏型の多肉植物です。成長期は3月半ば~11月前半ですが、真夏は成長がやや緩慢になります。気温の低下とともに成長が緩やかになり、11月半ば~3月半ばは休眠期に入ります。
仙女の舞は耐寒性が弱く、水はけのよい環境を好むため、基本的に鉢植えで栽培してください。鉢植えであれば、単体でも寄せ植えでも育てられます。寄せ植えの場合は水やりなどの管理がしやすいように、同じカランコエの仲間や、エケベリアなど成長期が同じ種類と植えましょう。
仙女の舞は蒸れに弱いので、暖かい時期はなるべく風通しがよい屋外での栽培がおすすめです。しかし耐寒性が弱いため、気温が10℃を下回るころを目安に、室内や園芸用温室に移動させましょう。室内で風通しが悪い場合は、サーキュレーターなどで人工的な風をつくるのも効果的です。
仙女の舞は長時間雨に当たると枯れやすく、軒下など雨の当たらない場所に置くのがおすすめです。しかし日当たりが悪いと徒長するため、適度に光が差し込む場所が適しています。屋内で管理する場合は、南向きの部屋の窓際に置いて日当たりを確保してください。また、エアコンの風が直接当たると枯れるため注意が必要です。
乾燥地帯に自生する仙女の舞には、水はけのよい用土を使用しましょう。初心者の方は、市販の多肉植物用の用土を使用するのが手軽です。自分で配合する場合は、赤玉土2:鹿沼土2:軽石1で混ぜたものを基本にし、環境にあわせて調整してください。
成長期の水やりは、基本的に1週間に1回程度行います。蒸れやすい梅雨と真夏の時期は少し少なめにしましょう。また、頭から水をかけるように水やりをすると、葉の繊毛が濡れてしまい、いつまでも乾かないため注意してください。休眠期は、2週間に1回程度、土が軽く湿る程度の水やりをします。
肥料は、植え付けや植え替え時に粒状の緩効性肥料をあらかじめ用土に混ぜておきましょう。その後成長期には、規定どおり薄めた液体肥料を1カ月に1回、水やりを兼ねて与えます。休眠期中は肥料を与えると悪影響が出るため与えないでください。
仙女の舞は成長スピードも速く、国内の栽培でも1m近くに成長します。そのまま育ててもよいですが、栽培環境にあわせて剪定し、仕立て直すのもおすすめです。剪定する場所は好みの場所で問題ありません。剪定した幹は、清潔な用土に挿し木すると根付き、新たな株を増やせます。また成長点を剪定することで、幹の途中から新たな芽が芽吹いてきます。
仙女の舞には、カイガラムシやアブラムシなどが寄生することがあります。こまめにに観察をして、早い時期に発見駆除できるようにしましょう。初期であればピンセットや爪楊枝を使って除去1匹ずつ除去できますが、大量に発生した場合は市販の殺虫剤を散布して対処します。害虫が付きにくいように、風通しのよい環境で育てましょう。
仙女の舞は根腐れ病にかかることがあります。根腐れ病は多湿な環境で発症しやすいため、置き場所や水やりに注意してください。万が一発症した場合は、一度苗を抜いて腐った部分を除去し、清潔で水はけのよい用土に植え替えましょう。
購入後や、季節の変わり目で環境が変わると、葉焼けが起こることがあります。それまでの環境より明るい場所に移動するときは、徐々に新しい置き場へと移動させましょう。また水やりの後、葉に水滴が残っているとレンズと同じ効果で、光が集中して焼けてしまいます。
葉が落ちる場合は、まず落ちた葉を観察してください。葉が乾燥している場合は、水分不足の可能性が高いです。適切な水やりをして状態を回復させましょう。葉がブヨブヨと腐っている場合は、蒸れが原因です。水やりの回数を控えて、風通しのよい場所で管理してください。
休眠期に葉が落ちる場合は、栽培環境が寒すぎる可能性が高いです。室内で育てている場合でも、明け方などに思いのほか室温が下がっている場合があります。一日を通して暖かい環境で管理するか、夜間に不織布などをかけて保温しましょう。
仙女の舞を購入する際は、幹に張りがあり、徒長していないものを選びましょう。また、葉の付け根や裏側付近には害虫類がつきやすいので、よく観察してください。
仙女の舞は、成長に合わせて1~2年に1回植え替えをしましょう。植え替えは成長期の前半が適しています。
仙女の舞は春にピンク色の小さな花を咲かせます。花を楽しむ場合は、花がしおれてきたら早めに摘み取ってしまいましょう。花を楽しまない場合は、花芽ができた段階で摘み取ったほうが、順調に育ちます。
仙女の舞は高温多湿が苦手です。直射日光を避けて、なるべく風通しのよい半日陰になるような場所に移動させて夏越ししましょう。また成長がやや緩慢になるため、水やりの頻度を少し減らし、夕方の涼しい時間帯に行います。
仙女の舞は耐寒性が弱いので、気温が10℃を下回る時期になったら室内に移動させましょう。南向きの部屋の窓際が適していますが、エアコンの風に当たると枯れやすいことも留意したい点です。水やりは2週間に1回程度、晴れた日の暖かい日中に行います。
仙女の舞の手軽な増やし方は、葉挿しです。葉の数が多ければ、一度にたくさんの数を増やせます。
仙女の舞は挿し木でも増やせます。剪定した幹を用土に挿すだけなので、手軽に行えます。