園芸部類 | 多年生植物 |
形態 | 落葉小高木 |
樹高・草丈 | 10~12m |
花の色 | クリーム色がかった白色 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 食用・薬用 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
モリンガは、さまざまな栄養素をふくむスーパーフードとしても高い人気を誇る植物です。成長がはやいので、種や苗から育ててもすぐ大きくなり、葉を収穫できるようになります。葉だけでなく根や茎、花、種まで余すところなく利用されるのも、特徴の1つです。また、モリンガは二酸化炭素を大量に吸収して成長するので、地球を温暖化から守る役割にも注目されています。
モリンガの名前の由来は、ムンガイというタミル語です。「ねじれた莢(さや)」という意味をもちます。モリンガは花後に細長い莢をつけるため、そこからきているのでしょう。莢の形状から、英名にはドラムスティックツリーという名前もあります。また、学名「Molinga oleifera」のoleiferaは「油をもつ」という意味です。モリンガに油脂を搾ることができるという特徴があるところからきています。
今回の記事で取り上げているモリンガ・オレイフェラは、全部で13品種が存在するモリンガ属のなかの1品種です。モリンガという名前で一般に広く知られているのはモリンガ・オレイフェラですが、ここではモリンガ属のなかで代表的な品種を紹介します。
モリンガ・オレイフェラは、モリンガ属の中で多く出回っている品種で、モリンガといえばモリンガ・オレイフェラをさす場合もあるほどです。人間が必要とするほぼすべての栄養素をもちあわせているとされて人気が高まり、「奇跡の木」という別名もつけられています。
モリンガ・ドロウハルディはマダガスカルが原産です。巨木になる種類で、水をたくわえるために幹が樽のように太くなっています。成長期は屋外で栽培するのがおすすめです。
植え付け時期 | 4月~8月頃 |
種まきの時期 | 4月~8月頃 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月~6月頃 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け 植え替え |
〇 | 〇 | 〇 | ● | ● | ● | ● | ● | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
開花期間 | ● | ● | ● | |||||||||
肥料 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
成長期 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||
休眠期 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
●は最適期、〇は適期
モリンガの種子は休眠期がなく、基本的に一年中いつでも種まきできます。しかし、モリンガは暖かい国の植物です。寒冷地や栽培する環境によっては育ちにくいので、4月~8月にかけての植え付けがよいでしょう。
モリンガの栽培は、地域によって植える場所を変えてください。暖かい地域では、プランターや鉢植えだけでなく露地植えにすることもできます。一方、寒い地域では季節ごとに移動できるプランターや鉢植えがおすすめで、露地植えは避けたほうがよいでしょう。モリンガが越冬できずに枯れてしまうこともあるためです。
モリンガは、年間を通して暖かい場所であれば屋外で育てられます。しかし、熱帯気候以外の環境では冬に休眠期をむかえるため、寒冷地でモリンガを育てる場合は、冬は日当たりのよい室内に移動させましょう。
日当たりのよい場所を好むモリンガは、夏に気温が40℃を越えても育ちます。気温が5℃以下になると越冬できずに枯れてしまうので、冬は暖かい室内に移動させて日に当てましょう。
モリンガは痩せた土地でも育ちますが、有機質に富んだ水はけのよい用土に植え付けてください。鉢植えやプランターに植え付ける場合は、園芸用の土も利用できます。露地植えにする場合は、堆肥や腐葉土を混ぜ込んでおくとよいでしょう。
モリンガは乾燥した環境を好みます。水やりのタイミングは土が乾いてからです。鉢底から水がでてくるまでたっぷりと水をあたえてください。休眠期にはいる冬場はとくに水やりは控えめにしましょう。
モリンガがある程度大きくなるまでは、種から栄養を吸収するので、あまり肥料を必要としません。30cmくらいの大きさに育ったら、少量の肥料をあたえてください。肥料をあたえる適期は成長期の夏です。肥料の種類は、コバエなどの心配がいらない化成肥料がよいでしょう。
モリンガ害虫がつきにくいといわれています。日本で発生することのある害虫は、アブラムシやカミキリムシなどです。アブラムシは捕殺したり木酢液をかけたりして駆除できます。カミキリムシを駆除するには、モリンガの樹勢をつよくして幼虫の生育を阻害してください。
モリンガは病気にもかかりにくいですが、多湿をきらうので水のやりすぎによる根腐れに注意しましょう。
植え付けてから3カ月ごろにあたる夏が、モリンガの開花期です。花後は、そのまま栽培していると莢(さや)ができますが、日本の四季の温度変化によって種の収穫まで至らないことが多いともいわれています。ちなみにモリンガの花は、収穫して乾燥したものをお茶にすると滋養強壮効果が期待できるといわれていますよ。
モリンガの種まきの適期は4月~8月ごろですが、種を発芽させてから土に植えるのがおすすめです。まず種を1日水につけて水を吸収させます。容器に湿らせた脱脂綿やキッチンペーパーを入れ、種を並べます。種が発芽するまで1週間ほど、暗くあたたかい場所で保管してください。種が発芽したらポットに用土をいれて植え付け、30cmくらいまでしっかり育ったら鉢や露地に植え替えます。
モリンガの苗は、園芸店やホームセンターでも出回ることがあります。実際に手にとって、茎がしっかりしているか、葉がしおれず生きいきとしているか、病害虫被害はないかといったところをチェックして元気な状態の苗を選んでください。また、ネット通販でもいろいろな生育環境のモリンガを購入できます。自然農法にこだわって育てられているモリンガもあるので、選ぶ基準の1つにするとよいでしょう。
ポットの用土を湿らせて、種は1~2cmの深さで植えつけます。水の与えすぎと乾燥の両方に注意しながら30cmくらいに成長するまでポットで育ててください。種は間隔をあけて2~3粒をいっしょに植えられますが、より元気に成長させるためにも密植はさけましょう。
モリンガは成長がはやいので、株が大きくなってきたらひと回り大きい鉢に植え替えてください。植え替えのときに、根を傷つけないように気をつけます。新しい土のなかに肥料を混ぜておくとよいでしょう。
モリンガはとても成長がはやく、そのままにしておくとどんどん大きくなります。枝がのびてきたら、先端から10cmほどで剪定しましょう。また、主幹も1mくらいで切り落としておくと、そこから新芽がたくさん伸びてほどよい丈になるので、収穫もしやすくなりますよ。
モリンガは寒さに弱い植物なので、冬場の温度管理と水やりには注意が必要です。気温が5℃を下回るような地域では、冬のあいだはモリンガを室内に移動させて管理しましょう。水やりのタイミングは用土が乾いたときで、たっぷりと鉢底から水が流れるまで与えるようにしてください。
モリンガの増やし方は、種を収穫するほかに挿し木にする方法があります。挿し木にする枝は緑色のものではなく、かたくなった部分が最適です。まずは枝を10cmほどで斜めに切り落として、切り口を1時間ほど水につけておきます。ポットに用土をいれて枝を1/3ほど挿したら、根が出て安定するまで管理してください。挿し木の枝が安定してきたら、鉢などに植え替えます。