シャガはアヤメに似た小さな花で、山林や湿り気のある草地などにひっそりした佇まいで群生しています。学名はアイリス・ジャポニカ(Iris japonica)ですが、中国が原産です。渡来時期は不明ながら、古い時代に日本に帰化したと考えられています。
園芸部類 | 草花、山野草 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 25cm~50cm |
花の色 | 白、青 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 日陰でも育つ、群生する |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
シャガの葉は平たくて長い剣形で光沢があり、冬も枯れない常緑です。株元から揃って斜めに伸びる葉の姿は扇を広げたような形で、ヒオウギの葉に似ています。そのためヒオウギと混同して、ヒオウギの中国名である射干(シャカン)と呼ばれ、その音が変化してシャガという名前になったといわれています。
シャガの花は、外花被(かひ)と内花被が三片ずつあわさった形です。広い外花被にはオレンジ色と青紫色の模様があり、縁に細かいギザギザが入ってフリルのように波打っています。花色は白地にほんのり青みがかっていて、可憐で優しい雰囲気を感じさせるでしょう。開花すると1日でしぼみますが、花茎に総状についた小さな花が次々に咲きます。
ボタニ子
花被は、がくと花びらをひとまとめにいう言葉です。
日本に帰化したシャガは染色体が三倍体の種類で、種ができません。根茎による繁殖力は旺盛で、本州から九州まで分布状態は広範囲です。人が立ち入らない場所では見かけないともいわれ、人の手を介して広がっていったのではないかと考えられています。原産地の中国には種のできる種類も存在し、青花などの品種が生まれています。
倍体とは染色体のセット数を表し、二倍体(いわゆる父と母の2種のセット)は種ができ、三倍体は細胞分裂がうまくいかず種ができません。
日本に分布するシャガは種ができないため、種類の少ない植物です。素朴な花姿をそのまま残しているともいえるでしょう。変異による種類と、種ができる中国の株から生まれた品種が存在します。
草花の苗/シャガ:斑入りシャガ3号ポット
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スジシャガは斑入りシャガとも呼ばれ、葉に白いストライプの筋が入った種類です。枝がわり(変異)で斑が生じたものと考えられています。花数は少なめですが、葉の美しさが際立ちます。江戸時代の書物にスジシャガの記載があり、その頃から園芸物として親しまれていたことがうかがえます。
花色 | 白 |
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葉の特徴 | 斑入り |
花苗 青花シャガ
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青花シャガは中国で生まれた種類です。シャガと同様に葉は冬も枯れない常緑で、花は4月~5月に咲きます。濃い青紫色のチャーミングな花色と花数が多いのが特徴で、育て方は日本のシャガと同じです。
花色 | 濃青紫 |
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葉の特徴 | 常緑 |
【山野草】ヒメシャガ
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ヒメシャガ(学名:Iris gracilipes)は、シャガに似た小さい花ですが、日本原産のアヤメ科の近縁種で別の種類です。常緑のシャガと異なり、冬には葉が枯れます。5月~6月頃に、淡い青紫色の可憐な小さな花を咲かせます。草丈は30cmほどで、耐寒性が強いのが特徴です。
花色 | 青紫 |
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葉の特徴 | 冬は枯れる |
植え付け時期 | 6月頃または春と秋 |
肥料の時期 | 6月頃 |
開花時期 | 4月~5月頃 |
シャガの植え付けは、花が咲き終わった6月頃が最適ですが、春や秋も適期です。丈夫な植物なので、真冬以外であれば植え付け可能です。株が手に入ったときに育て始めて問題ありません。
シャガは鉢植え・庭植え、どちらでもよく育ちます。北海道でも南部の平野部など環境次第では庭植え可能ですが、耐寒性が強いわけではありません。寒冷地では鉢に植えたほうが管理しやすいでしょう。
シャガは山林に群生する植物で、木漏れ日が差し込むような半日陰の環境が理想的です。日陰でも旺盛に育ち、常緑の葉を下草として生かした庭づくりが可能です。ただし、日陰では花つきが悪くなります。たくさん花を咲かせるなら、一日のうち数時間は日の当たる場所に植えるのがよいでしょう。
シャガは適応力が強く、土質はとくに選びません。庭植えは腐葉土を混ぜ込む程度で大丈夫です。最初の一年間は様子を見ながら丁寧に育てれば、あとはしっかり根付いてくれます。鉢植えの用土は、市販の草花用培養土か、赤玉土と腐葉土を7:3ほどの割合で混ぜて使ってください。
鉢植えには、土の表面が乾いたらたっぷり水やりしてください。庭植えは、根付いたら水やりは必要ありませんが、晴天が続いたときは様子を見て、乾燥気味なら水やりしましょう。
植え付け時に緩効性化成肥料か堆肥を土に混ぜます。追肥は、花後に骨粉入り油粕か化成肥料を与えてください。基本的に肥料は少なめで大丈夫ですが、葉の色が薄くなっていたら肥料不足の可能性があります。効き目の早い肥料(液肥など)を与えると回復するでしょう。
シャガは丈夫な植物で、病気や害虫の心配はほとんどありません。
下の方の葉っぱが枯れてますが、大丈夫でしょうか?
古くなった葉から枯れてくるのは問題ありません。摘み取ってください。
葉が全体的に黄緑色っぽいです。
色が薄くなっているのは、肥料不足の可能性があります。即効性の肥料を与えてください。また、日差しの強烈な場所では葉の先のほうが黄色っぽくなりがちです。半日陰に移すとよいでしょう。
葉に元気がありません。
葉が弱っているのは根詰まりや根腐れかもしれません。鉢底や株の密集度、水やりの頻度をチェックしてください。根詰まりの場合は、株分けして植え替えます。水のやりすぎで根が腐りかけていたら、傷んだ根を取り除いて植え替えましょう。
シャガは結実のために養分を取られることがないため、花後は放任でも生育には問題ありません。枯れた状態が見映えが悪ければ、そのつど花がらを摘み取るか、ひとしきり咲き終えたときに花茎ごと剪定しましょう。
種のできないシャガは、苗から育て始めます。株をわけてもらうか、ポット苗か鉢植えを購入しましょう。葉の色がきれいな苗を選んでください。
シャガは根茎もよく育つため根詰まりしやすく、鉢植えはできれば毎年(少なくとも2年に1回)植え替えてください。植え付けはやや浅植えにします。庭植えは植え替えの必要はありませんが、増えすぎたときは株分けをして、栽培環境に応じて減らしたり、ほかの場所に移植したりしてください。放っておくとどんどん増えます。
開花期が過ぎたら、花茎を根元のところで剪定します。
シャガは暑さに強く、夏越し対策はとくに必要ありません。できれば風通しをよくし、鉢植えは日差しの強い場所に置かないようにしましょう。
冬は、0℃程度は耐えられます。多少の雪をかぶっても大丈夫ですが、耐寒性はそれほど強くないため、寒冷地では軒下などに取り込みましょう。
シャガは、株分けで増やします。花が終わった6月頃か秋が株分けの適期です。植え替えるときにおこなうとよいでしょう。3~5芽を1株に切り分けると育ちやすいです。
シャガ ポット苗
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シャガのポット苗です。基本的に葉だけの状態で販売されることが多いですが、購入する季節によっては、花芽のついた状態で届くこともあります。
花の色 | 青みがかった白 |
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葉の特徴 | 常緑、斑入りなし |
出典:写真AC