クルミの実は、古くから常食されてきました。また食用だけでなく、木材をしても優れています。「ウォールナット」と呼ばれ、家具などで重宝されてきました。利用価値の高い落葉高木として知られてます。
園芸部類 | 庭木、果樹、花木 |
形態 | 落葉高木 |
樹高・草丈 | 5m~ |
花の色 | 赤色(雌花)、緑色(雄花) |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性 | 実つきをよくするには受粉樹が必要、落葉性 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
実 | 生食、料理、菓子などの原料 |
抽出した油 | 食用油、油絵具、化粧品、香料 |
殻 | 民芸品、郷土玩具、工業用の研磨剤、車のタイヤ |
樹皮・葉・果皮 | 染料 |
その他 | 家具、建築用材、日用品 |
クルミの木は雌雄同株で、樹高が5m以上の大木にまで成長します。なかには、20m以上の高さに達するものもあり、剪定は必須といえます。耐寒性が強く高温に弱いため、冷涼な地域が適地です。東北地方や長野県などが栽培地としてよく知られています。
クルミは、雌花と雄花の開花し始めるタイミングが異なる樹木です。受粉するには雌花が受精できる時期に雄花の花粉が放出されている必要があります。クルミの場合は、1本だけではたくさん実をつけません。異なる品種を受粉樹として混植させると結実率が高まるため、収穫量を多くしたい場合にはおすすめの方法です。
開花のタイミングが異なるクルミの雌花と雄花は、形状や咲き方なども異なります。赤色で小さな雌花は直立して咲きます。雄花は10~15cmほどの長さをした緑色の花穂が垂れ下がるような咲き方です。開花時期は5月頃で、雌花も雄花ともに花弁がありません。
クルミの実には、健康によいといわれるオメガ3脂肪酸が多く含まれています。さらに、葉酸やビタミンB1、B6、ビタミンE、銅、マグネシウムなどのビタミンやミネラルの含有量も多いため、日々の栄養補給にはピッタリの食材です。
クルミは、何年で実がつきますか?
苗の大きさや環境にもよりますが、接ぎ木の1~2年生苗であれば、6~7年で実がつくことが多いです。何年も実がつかない場合には、受粉樹を植えてみましょう。
日本国内で野生化しているクルミの品種には、ヒメグルミやオニグルミなどがあげられます。クルミには多くの品種があり、ペルシャグルミやカシグルミ、信濃クルミなどは人気の高い品種です。
イラン原産で実が大きく、可食部が多いクルミです。殻も薄くて割りやすいのが特徴で、さまざまな食用クルミの原種とされています。日本の市場でも見かけることが多い品種です。
カシグルミは、テウチグルミ(手打胡桃)と呼ばれることもあります。手でも割れるということから、この名がついたといわれていますが、実際にはそう簡単には割れません。中国から渡来した品種で実は小さめです。
信濃グルミは、カシグルミとペルシャグルミとの交配種です。実が大きく味が濃厚でもあるため人気が高く、品薄になることもあります。その名が示すとおり、長野県での栽培が盛んな品種です。
植え付け時期 | 12~2月頃 |
植え替えの時期 | 12~2月頃 |
施肥の時期 | 2月と10月頃 |
剪定の時期 | 12~2月頃 |
花が咲く時期/開花時期 | 5月頃 |
クルミの実をたくさん収穫したい場合には、授粉樹も一緒に植えたほうがよいため地植えにします。また鉢植えにすると大きく成長しないため、観賞用としての栽培も可能です。
日当たりのよいところがクルミ栽培に適しています。ただし酷暑には弱いため、鉢植えでは暑い時期の置き場所に注意が必要です。クルミを育てる際には、あまり雨にあてないほうがよく、鉢は日当たりがよく雨が避けられるような場所に置くのがおすすめです。また地植えのものは大木に成長してしまうため、育てる場所のスペースには気をつけましょう。
クルミを育てる土には、排水性がよいだけでなく水もちもよいものが適しています。成長を促すために、赤玉土7と腐葉土3くらいの割合でつくった用土がよいでしょう。
地植えのクルミの水やりは、植え付けたばかりのころには必要です。しかし根付いたあとの水やりは自然の降雨に任せましょう。鉢植えでは、表土が乾いていたらたっぷりと水を与えます。
植え付けた土地が肥沃であれば、クルミは肥料がなくても大きく成長します。肥料を与えるのであれば、2月と10月頃ごろに速効性のある化成肥料か有機肥料を与えましょう。鉢植えのクルミでは7月ごろにも施肥をすると、より元気に成長します。
クルミにつきやすい害虫に、アメリカシロヒトリやコウモリガなどが挙げられます。アメリカシロヒトリの幼虫は、天幕のような巣網をつくり集団で加害します。見つけたら早めに巣網を取り除き捕殺するか殺虫剤で対処しましょう。コウモリガは枝や幹の中に入り加害します。こちらも早めの対策が重要です。
クルミは、幹や枝に胴枯病が発生することがあります。病患部は黒褐色や赤色になり、表面がざらついた状態になります。太い枝を剪定すると病気になる場合もあるため、癒合殺菌剤などを塗り病原菌の侵入を防ぎましょう。
植付けは、12~2月ごろが適しています。実の収穫が目的ならば地植えがおすすめですが、地植えのクルミはかなり大きく成長するため、植付け場所はよく考えてから決めましょう。植付けたら1/3くらいの長さに苗木を剪定し、支柱を設置します。寒い時期のため、敷きわらなどの対策をしておきましょう。鉢植えの場合は、8号サイズほどのスリット鉢が適しています。
鉢植えの植え替えは、クルミの成長具合や鉢の大きさなどによって異なります。目安としては、2年に1回です。最初の植え替え時には、根の張りを促すために二回りほど大きめのものに植え替えましょう。
剪定作業に適しているのは12~2月ごろです。実をつけたことがない若い木では不要な枝がたくさん生えることがあるため、それらは根元から剪定します。成木の剪定は、枝がひどく混みあっている箇所を減らす程度の剪定のみで十分です。枝の先をたくさん切ってしまうと、花芽までなくしてしまうことがあるので注意しましょう。
クルミの実の収穫時期は、9月の下旬~10月中旬です。熟すと青色の外皮が破れて、殻つきの実が見えてきます。果実は3~5cmくらいの大きさで球体です。自然に落下したものや棒などを使って落としたものを収穫します。収穫後は外皮を取り除き、殻を割ってから中身を取り出し食用にしましょう。
殻付きのくるみは何年も保存できるって本当?
オニグルミなどは長期保存が可能といわれていますが、よく乾燥していて保存状態もよいことが条件です。
クルミは4月ごろに接ぎ木で増やせますが、成功率は低めです。そのため、接ぎ木が難しい果樹としても知られています。接ぎ木には、袋接ぎの方法でチャレンジしましょう。
クルミの苗木 オニグルミ
参考価格: 1,694円
オニグルミは初心者でも簡単に育てられます。殻が硬く、カシクルミなどよりも可食部は少なめですが味が濃厚です。1本でも結実しますが、ほかの品種と同様に受粉樹があったほうが結実率は高くなります。
出典:写真AC