ツノゴマとは?
「ツノゴマ」という名前の植物をご存じでしょうか。ツノゴマ(角胡麻)とは、ツノゴマ科ツノゴマ属の一年草植物で、別名「悪魔の爪」と呼ばれ、魔よけとして販売されることもあります。そこで今回、ツノゴマとはどんな植物なのかを詳しくご説明するとともに、悪魔の爪と呼ばれる理由や食用としての効果をご紹介します。
ツノゴマの基本情報
分類 | ツノゴマ科 ツノゴマ属 |
学名 | Proboscidea Louisianica |
英語名 | Devil's claw(悪魔の爪) Unicorn Plant(ユニコーン植物) |
分布 | アメリカ南部、南アメリカ、オーストラリア、南アフリカ |
学名の「Proboscidea」には、ギリシャ語で「ゾウの鼻の形をした植物」の意味があります。原産地はアメリカ南部周辺ですが、日本の環境でも栽培は可能で、日当たりと水はけのよい場所を選べば、育てやすい植物です。日本では、植物園や公園で観賞用に栽培されていることが多く、一般家庭への流通はまれとなっています。
ツノゴマの特徴
ツノゴマは食虫植物に分類されています
ツノゴマは、その全体に毛がびっしりと生えており、触るとべたべたする粘液が出ています。その粘液で小さな虫を絡め捕らえることから、食虫植物に分類されていますが、捕らえた虫を直接食したり消化したりする様子は見られません。捕らえた虫を微生物によって分解する時に、虫の栄養を吸収しているとも考えられていますが、詳しくはわかっていません。
若い果実の特徴
10cm~15cm程度の細長い果実をつけます。やわらかく緑色をしており、先端が1本の角のように伸びたかたちをしています。英語名の「Unicorn Plant(ユニコーン植物)」や、学名「Proboscidea」の意味である「ゾウの鼻の形をした植物」は若い果実の見た目からつけられています。
成熟した果実の特徴
成熟するにつれ乾燥すると、緑色から黒色に変色し、堅くトゲのある形に変化します。また、1本の角のように伸びた先端が二股に分かれ、カギヅメのような形に変わります。果実の中には、9mm前後の小さなデコボコとした種子がたくさん入っています。
花の特徴
ツノゴマの花は、白色から淡いピンク色の花弁に黄色の縦じま模様が入っており、かわいらしいベルのような形をしています。開花時期は6月~9月の夏ごろで、5cm程度の比較的大きな花を咲かせます。ゴマの花に形が似ているため、ツノゴマと名付けられたと言われていますが、ゴマのように種子を食用にはできません。
葉の特徴
葉から茎までの葉柄が長いのが特徴です。葉の形は、円心形と呼ばれる、ハートのような形をしており、まわりの縁は波状になっています。茎が枝分かれしながら大きく広い範囲に広がり、全長は80cmほどまで成長します。
悪魔の爪と呼ばれる理由は?
子孫繁栄のための形が由来
ツノゴマの成熟した果実は、堅いトゲをもち、カギヅメのような形をしていますが、これは、ひっつき虫のように動物にくっついて遠くに運ばれることで、果実内の種子を広い範囲に散布するためだと言われています。特徴的な見た目と、動物が誤って食べたり踏んだりすると、大けがや死に至る可能性の元になることから、「悪魔の爪」と呼ばれています。
ツノゴマを魔よけとして販売
成熟した果実は、トゲと鋭くとがった角の形から、何も寄せ付けないとして、魔よけとして販売されています。また、魔よけ以外にも、特徴的な形を活かして、果実に着色をしてインテリアオブジェクトとしても使われています。かつて、原産地のアメリカ南部の先住民は、成熟した果実の繊維を使って、カゴを編んで利用していました。
ツノゴマの食用としての効果
花や果実の見た目が特徴的なツノゴマですが、食用にすることはできるのでしょうか?そこで、ツノゴマに食べられるところはあるのか、また、ツノゴマに栄養はあるのかどうかについてご説明します。
ツノゴマは食べられる?
若い果実は、ピクルスとして食べることができます。蒸して食べるとオクラによく似ており、少し苦みがあるのが特徴です。かつて原産地である南アメリカの先住民は、種子を栄養素の高い植物油の源として食べていましたが、現在種子は食用されていません。
ツノゴマには栄養があるの?
ツノゴマには少量の「アクテオシド」が含まれていることがわかっています。アクテオシドはポリフェノールの一種で、抗酸化性が強く、血糖値を上げにくくする効果があります。また、肝保護作用、抗炎症作用、抗侵害受容作用、性機能改善、鎮静効果などの効果も期待できます。
まとめ
ツノゴマは日本ではまだあまり知られていませんが、かわいらしい花や、姿形が変化していく果実など、魅力的な特徴の多い植物です。魔よけとして販売されている、成熟した果実の中には種子が入っていますので、魔よけとして果実を購入し、種子を取り出して栽培してみてもよいかもしれません。
出典:BOTANICA