モウセンゴケとは
「モウセンゴケ(毛氈苔)」は湿原に自生する食虫植物です。今回は植物でありながら、虫をとらえ生きている不思議なモウセンゴケに注目し、その生息地や種類、見分け方を詳しく解説します。モウセンゴケはミステリアスな植物ととらえられがちですが、その生態と実際についてしっかり理解していきましょう。
モウセンゴケはどんな植物か
名前 | モウセンゴケ(毛氈苔) |
学名 | Drosera rotundifolia(ドロセラ・ロツンディフォリア) |
英名 | Sundew(サンデュウ) |
科属名 | モウセンゴケ科モウセンゴケ属 |
園芸分類 | 多年性草花 |
原産地 | 日本を含む北半球 |
開花時期 | 6月~8月 |
花の色 | 白色 |
モウセンゴケの名前の由来は、お茶会などで敷く敷物の緋毛氈(ひもうせん)からきています。日当たりのよい湿原では赤く色づき、群生する姿はあたかも緋毛氈のようにみえることから、この名前がつけられました。コケのように群生しますが、花も咲きますので、実際にはコケの一種ではありません。
モウセンゴケのライフサイクル
モウセンゴケは春に休眠から目覚めると、急速に成長して開花、受粉、結実します。夏はやや苦手で、弱りますが、枯れることはありません。秋になると持ち直し、気温の低下とともに、固い冬芽を形成し、冬をしのぎ、黒くゴマよりも小さな種は低温の刺激を受けることで、春に発芽します。モウセンゴケはこのようなサイクルを繰り返す多年草の植物です。
モウセンゴケの自生している場所と見分け方
モウセンゴケは沖縄を除く各地の湿地や斜面、休耕田などに自生している姿をみることができます。ポイントはモウセンゴケが好む南向きで、日当たりがよく水がしみ出ているような場所を探すことです。人里近くでも、このような条件を満たしている場所でモウセンゴケにめぐりあうことができるかもしれません。やや日陰の場所では緑色をしているので、注意深く探してください。
モウセンゴケの特徴
モウセンゴケの特徴は、第一に食虫植物であること、次に湿気があり、やせた酸性土壌を好む湿生植物であるということです。食虫植物であるモウセンゴケは葉の上にとりもちのような粘液を出して、虫を捕えます。この不思議な生態の仕組みと理由について説明しましょう。
モウセンゴケの最大の特徴は粘着式のわな
モウセンゴケは拡大鏡で見ると葉の上に腺毛があり、ここから、粘液を出し、この上に虫がくっついて動けなくなることで、虫を捕え、消化酵素を出して養分を吸収します。モウセンゴケはあまり大きなものではありませんから、小さな虫が獲物です。ちなみにこの粘液は水と多糖類からなり、人体には無害です。
モウセンゴケはなぜ虫をとらえるのか
モウセンゴケが植物なのに虫を捕える不思議な生態には理由があります。それは植物に不可欠な栄養分が不足している場所にモウセンゴケがはえているために、虫をとらえておぎなう必要があるからです。もともと植物が生息していなかった場所、栄養分が少ないところに好んで進出するパイオニア植物でもあるのです。このような生態は食虫植物全般がもっています。
ボタニ子
やせた土地で栄養分が不足しているということは、モウセンゴケは虫をとらないと枯れてしまうのかしら?
ボタ爺
モウセンゴケは光合成もしっかりと行っているので枯れるようなことはないぞ。虫から栄養を得ているのは、不可欠なサプリメントをとっているようなものじゃ。
ボタニ子
次はモウセンゴケの仲間について紹介します。
出典:写真AC