サラセニアとはどんな植物?
サラセニアはサラセニア科、サラセニア属の植物で、北アメリカ、カナダの一部の浅い湿地に自生する多年生植物です。不思議な形の筒型の葉が特徴的な食虫植物の仲間で、筒型の葉で虫をおびき寄せて捕まえ、栄養とします。和名を「ヘイシソウ」といいます。
サラセニアの基本情報
学名 | Sarracenia |
科名 | サラセニア科 |
属名 | サラセニア属 |
和名 | ヘイシソウ 瓶子草 |
英名 | North American Picher Plant |
原産地 | 北アメリカ(アメリカ合衆国東部・南部〜カナダの一部) |
形態 | 多年草 |
花期 | 3月〜6月 |
サラセニアの葉
捕虫葉と剣葉
地表の太い根茎(バブル)から筒状の葉が密生して生えます。この筒型の葉が酒をつぐ酒器の瓶子に似ていることから、和名の「ヘイシソウ」は名付けられました。筒状の葉は捕虫葉と呼ばれ、食虫機能を持っています。また、夏になると、剣の形をした剣葉と呼ばれる葉を出します。剣葉には捕虫能力はなく、光合成をするためだけの葉と考えられます。剣葉は大きな捕虫葉と比べ、小さく、平べったいのが特徴です。
サラセニアの花
3月〜6月に葉とは別の細長い花茎が伸び、先端に1つ花をつけます。サラセニアは変わった葉の形が特徴的ですが、花の形も変わっています。外側から5枚の萼片(がくへん)と5枚の花びらがあり、中央部分には傘を反対にしたようなものがあります。これは、雌しべで、傘の中には雄しべがたくさんあります。花色は黄色や暗赤色、赤、ピンク、オレンジ、クリーム色などをしています。
サラセニアの捕虫の仕組みは?
サラセニアの蓋や筒の入口からは蜜が出ており、この蜜に引き寄せられた虫を筒の口から中に落とし込んで捕まえます。筒の内側には下に向かって硬い毛が多数生えており、虫が這い上がれなくなっています。筒の中には、お酒のような透明な液体が入っていますが、これは消化液で、落ちた虫は筒の中に溜まった消化液とバクテリアの力を借りて、消化・吸収されます。蓋には筒の中に雨が入りにくくする機能があります。ハエトリソウのように開閉するものではありません。しかし、捕虫はあくまで自生地に少ない、リンやチッソなどの有機的な栄養を補うためで、基本的には根から養分を吸収して、光合成で育ちます。
サラセニアの名前の由来は?
サラセニアの学名は17世紀末にサラセニアの標本をパリに送った、フランス人のミシェル・サラザン医師の名前にちなみます。和名の「ヘイシソウ」の名前は、細長い壺の形をしたお酒を注ぐのに使う酒器の瓶子に見立ててつけられました。瓶子は神棚にお酒を供えるときに使われていたり、雛人形の飾りとして使われているので、目にする機会もあるのではないでしょうか。確かに、葉の中には透明な液体が入っていて、お酒のようにも見えますね。
サラセニアの生育サイクルは?
サラセニアの自生地は日本と同じように四季がはっきりしており、夏は蒸し暑く、冬は寒く、春と秋が過ごしやすい気候です。そのため、自生地と日本で栽培する場合は同じ生育サイクルになっています。サラセニアは春から秋にかけて成長し、冬には休眠します。
芽出しの春
春になると、新芽がたくさん出てきます。小さな筒型の葉が、平く畳まれたような形で出てきますが、大きくなるにつれて、筒状に膨らみ、蓋も開きます。新芽が出てしばらくすると、葉とは別に細長い花茎が伸びます。先には1つの丸い蕾がつき、花が咲きます。
夏
夏には筒型の捕虫葉とは別に、捕虫機能のない、剣の形をした、剣葉と呼ばれる葉が出ます。剣葉には特に意味はなく、ただ、捕虫葉になりきれなかった葉と考えてよいでしょう。株が疲れていると、捕虫葉が枯れ、剣葉ばかりになり見た目が悪くなってしまいます。水切れには注意し、枯れた葉は取り除いてやると、通気性がよくなり、新しい葉が元気に育ちます。
秋から冬
秋には紅葉する種類のものもあり、赤系の種類はこの頃が一番見栄えがよくなりますが、捕虫葉を出さなくなる種類もあります。春に受粉した花は果実になり、秋に熟し、種が取れます。冬になり気温が下がると地上部の葉は全て枯れてしまいますが、春になるとまた新しい葉が出てきます。
出典:写真AC