モンステラとは
モンステラは、サトイモ科ホウライショウ属(モンステラ属)の常緑性の多年草で、大きくなると7~8mにもなります。原産地は中央アメリカの熱帯地域です。茎の節から気根を出し、他の植物によじ登ったり地中に入って普通の根になったりして、自分を支えます。和名はホウライショウ(蓬莱蕉)です。
名前の由来
モンステラの学名は「Monstera」です。「Monstera(モンステラ)」はラテン語の「monstrum(モンストルム)」に由来します。意味は「奇怪」「怪物のような」です。独特な形の大きな葉から名付けられました。
葉の穴と裂け目がある理由
モンステラの葉はよく育つと長さ1mにもなります。葉柄は長さ50~80cmほどです。厚みとつやのある暗緑色の葉に、穴や裂け目があることが最大の特徴であり魅力といえます。モンステラの葉の穴や裂け目の役割は、2つの有力な説があります。1つは、大きな葉が強風で破れないように風を逃がすためにあるという説です。もう1つの説は、夏季に強い日差しを受けたときに放熱孔の役割を果たし、温度が上昇するのを防ぐというものです。
モンステラの種類
モンステラは原産地では20~40もの種類がありますが、一般的に「モンステラ」と言えば「モンステラ・デリシオサ」を指します。デリシオサは前述のように非常に大きくなる種類です。デリシオサ以外にも、もっと室内で管理しやすい種類もあります。デリシオサ以外の4種類をご紹介しましょう。
モノンテスラ・デリシオサ・コンパクタ
モンテスラ・デリシオサ・コンパクタは、モンテスラ・デリシオサを小型化したような種類です。デリシオサよりも成長が遅く、葉が密生して生えるのでコンパクトにまとまります。若い葉にも美しい切れ込みが入るのも特徴です。しかし現在では入手が難しく、「コンパクタ」と表示があるのにデリシオサだった…というケースもあるため注意しましょう。
ヒメモンステラ
ヒメモンステラは、卓上でも楽しめるサイズの種類です。大きくなり過ぎないので管理しやすく、気軽に美しい葉を楽しめます。デリシオサよりも寒さに弱いため、冬越しは気をつけてあげましょう。「ヒメモンステラ」と呼ばれるものは数種類あり、デリシオサの幼株を「ヒメモンステラ」と呼ぶこともあるそうです。プロでも判別が難しいとされるため、信頼と実績のある店で購入しましょう。
マドカズラ
マドカズラは葉に裂け目は入りませんが、窓のように葉に穴が開くのがユニークな種類です。マドカズラは丈夫で、日光が当たらない室内でも元気に育ちます。ただし、モンステラの中で最も直射日光と寒さに弱い点には注意しましょう!
ハネカズラ
ハネカズラは葉に切れ込みや穴がないのが特徴で、モンステラらしくない感じがするかもしれません。小型で成長が遅く、葉が密生するのが特徴です。姿がまとまりやすく管理が楽なので人気があります。
斑入りの品種もある
それぞれの種類には、斑入りのものもあります。細かい斑が葉全体に入るものや、半分が白い葉(ハーフムーン)が混じるも、真っ白の葉が混じる品種などもあります。
モンステラの花言葉と言い伝え
花は水芭蕉のような形
モンステラは、株が成熟すると花をつけます。花期は5~9月頃です。白い花は水芭蕉のような形で、約20cmのトウモロコシに似た実を軸にします。花言葉は「壮大な計画」「うれしい便り」「深い関係」です。「壮大な計画」は、生命力あふれる姿と大きな葉から生まれた言葉とされます。「うれしい便り」は、葉の穴や裂け目から日光が差し込む様子に由来する言葉です。「深い関係」は、他の植物にしがみついて育つ様子からきています。西洋での花言葉は「献身」です。
モンステラは縁起がよい植物
モンステラはハワイでは「希望の光を導く」と言い伝えられています。暗いジャングルで葉の穴や裂け目から日光が差し込む様子が、希望の光に見えるのでしょう。それゆえモンステラ柄は、縁起のよいモチーフとしてアロハシャツやジュエリー、インテリアなどに広く使われています。
モンステラが人気の理由
前向きな花言葉を持つモンステラは、観葉植物として高い人気を誇っています。しかし、モンステラが人気の理由はそれだけではありません。ここからはモンステラが人気の理由に迫ります。
インテリア性が高い
モンステラの特徴的な葉はインパクト抜群です。モンステラを部屋に飾るだけで、南国の雰囲気と開放感を漂わせてくれるでしょう。ライトを当てて、葉のシルエットを楽しむのも素敵ですね。トロピカルな印象のあるモンステラですが、竹とも相性がよいので和風の部屋にもなじみます。
葉の形の変化が面白い
モンステラは株の成長につれて形が変化します。株が若いときの葉には穴や切れ込みがなく、かわいらしいハート形をしています。株が大きくなってくると、穴や裂け目の入っている葉が出るようになるのです。穴はつながり合って葉縁まで伸び、縁に達すると深い裂け目となります。成長に従って変化する葉の姿が、モンステラの魅力といえるでしょう。
育て方や増やし方が簡単
モンステラは丈夫で、初心者でも育てやすい植物です。成長が早いため、お世話のし甲斐があります。剪定や切り戻しによる仕立て方もコツをつかんでしまえば簡単です。剪定した枝の利用や株分けによる増やし方も難しくありません。子株が育ってくるとますます愛着がわいてくるという方も少なくないでしょう。
モンステラを扱う前に知っておきたいこと
モンステラを扱うときには、必ず知っておきたい注意点が2つあります。どんな注意が必要なのでしょうか。
樹液に触れたらよく洗う
樹液には毒性のある成分が含まれる
モンステラの葉や茎を切ったときに出る樹液には、シュウ酸カルシウムという成分が含まれます。シュウ酸カルシウムは、毒物及び劇物取締法において劇物に指定されている物質です。肌の弱い方が触れると、肌荒れやかぶれを起こします。剪定や切り戻し、株分け等の作業の際には必ずゴム手袋をして行いましょう。
肌についたらすぐに水で洗う
特にペットや子どもがいるご家庭では、樹液を舐めたり触ったりしないように注意してください。手や粘膜についた場合はすぐに水で洗い流します。葉が大きくてかっこいいからといって、お皿に敷いて食品を直接乗せるのは避けましょう。
葉先から垂れる水滴に注意
朝方、モンステラの葉先や縁に水滴がついていることがあります。モンステラは水分をたくさん吸収し、葉から蒸散できない余分な水分を水孔(すいこう)から排出します。モンステラがハワイで「水が湧き出る」という意味を持つのはこの性質ゆえです。水滴は元気な証拠なのですが、床や家具などにしみができることもあるため、こまめに拭いたり下に敷物を敷いたりするのをおすすめします。
出典:BOTANICA