ほうれん草の特徴
ほうれん草は、一年中流通していますが、冬に旬を迎える、根元が赤いのが特徴の葉野菜です。あくが強いため下茹でをする必要がありますが、栄養価の高さとさまざまな料理に合うシンプルな味わいから、非常に人気があります。東洋種と西洋種の2種類の品種があり、日本で多く流通されているのは、この2種類の品種を交配させたものです。東洋種の長所である甘みと、西洋種の長所である病気・害虫に強い特徴をもっています。
ほうれん草の花言葉
ほうれん草の花言葉は、「健康」と「活力」です。花言葉を見ても、ほうれん草には食べると栄養がついて元気になれるイメージがあることが分かります。ところで、ほうれん草の花を見たことはありますか?ほうれん草を収穫せずにいると、茎が伸びて緑色の小さな花をたくさん咲かせます。しかし、花を咲かせるまで収穫しないと、花に栄養を取られ葉部分であるほうれん草の味が落ちてしまうため、花のついたほうれん草は流通していません。
ほうれん草の食べ方
ほうれん草はどんな味付けにも合いやすく使い勝手のよい野菜ですが、あくが強く、生で食べるには向いていません。和食であれば、おひたしやごま和え、お味噌汁の具材、また、お雑煮の具材として利用される地域もあります。中華としては、炒め物や中華スープの具材に、洋食としても、バターソテーやパスタ、オムレツの具材として人気です。
ほうれん草の栄養成分
ほうれん草は非常に栄養価の高い総合栄養野菜です。特に多く含まれているβ-カロテンは、体内で抗酸化作用をもつビタミンAを作り出します。抗酸化作用の働きには、がんや動脈硬化などの老化を防止したり、免疫力をつけ風邪を予防したりする効果が期待できます。また、余分な塩分を体外に排出する作用のあるカリウムも豊富に含んでおり、血圧上昇の抑制やむくみの解消などに効果的です。
栄養成分 | 生のほうれん草 | 茹でたほうれん草 | 単位 |
β-カロテン | 4200 | 5400 | μg |
カリウム | 690 | 490 | mg |
ビタミンK | 270 | 320 | μg |
葉酸 | 210 | 110 | μg |
マグネシウム | 69 | 40 | mg |
カルシウム | 49 | 69 | mg |
ビタミンC | 35 | 19 | mg |
ほうれん草に豊富に含まれている、葉酸やビタミンCなどの栄養成分ですが、生のほうれん草と茹でたほうれん草の成分量を比較すると、茹でたほうれん草に含まれる成分量が生のほうれん草の半分程度にまで減っていることが分かります。その理由は、葉酸やビタミンCは水溶性ビタミンに分類されるビタミンであり、水に溶けやすい性質を持っているためです。茹で時間が長くなるほど、栄養成分はどんどん溶け出してしまいます。
ほうれん草に含まれるシュウ酸とは?
栄養価が高く健康志向の人におすすめのほうれん草ですが、ほうれん草には「シュウ酸」と呼ばれる、あくの元になる成分が多く含まれています。ほうれん草を下茹でせずに加熱調理した際に出る独特のえぐみは、このシュウ酸が原因です。シュウ酸の特徴や食べすぎることによる危険性、安心してほうれん草を食べるための簡単なシュウ酸の抜き方についてご説明します。
シュウ酸は食べすぎると体に毒?
シュウ酸とは、葉菜類の野菜や、お茶類、ナッツ類などに多く含まれる成分です。ほうれん草にも多く含まれているシュウ酸に毒性はありませんが、毎日のように食べすぎると体内のシュウ酸とカルシウムが結合し、尿路結石症の原因となるシュウ酸カルシウムを作ります。特に、脂肪を多く含む食品と一緒に摂取すると、シュウ酸の吸収率が上がると言われており、食べ合わせには注意が必要です。
シュウ酸の抜き方とは?
食べすぎると尿路結石症にかかる危険のあるシュウ酸ですが、水に溶けやすい性質があります。ほうれん草に含まれるシュウ酸の抜き方は非常に簡単で、調理前にほうれん草を下茹ですることです。現在では、品種改良により、シュウ酸がほとんど含まれていない「サラダほうれん草」も流通するようになりました。下茹でをしてから調理するのが面倒な人は、サラダほうれん草を使えば下茹でをする必要はありません。
ほうれん草の下ごしらえと茹で方
ほうれん草に含まれるあくを抜くためには、ほうれん草を茹でることが必要です。加熱調理をする場合でも、しっかりと下茹でをしてから調理するようにしましょう。あくを抜いておかないと、料理全体にほうれん草のえぐみが出てしまったり、シュウ酸による病気のリスクが上がったりします。栄養成分を残しながらあくをしっかり抜く、ほうれん草の下ごしらえと上手な茹で方をご紹介します。
ほうれん草の下ごしらえ
ほうれん草は、調理前に下茹でをしてあくを抜く必要があります。下茹でをする前の下ごしらえとして、ほうれん草の根元に、葉がばらばらにならない程度の切れ込みを入れておきましょう。そうすることで、火が通りやすくなり、短時間で下茹ですることができます。あまり時間をかけて下茹でをすると、ほうれん草に含まれるビタミンCが茹で汁に溶け出てしまうため、短時間で下茹でを完了することが重要です。
シュウ酸対策!あくを抜く上手な茹で方
大きめの鍋にたっぷりお湯と少しの塩を入れてお湯を沸かします。お湯が沸騰したら、ほうれん草を根元から鍋に入れ、そのまま10秒程度、根元を茹でてください。葉が折れないように気を付けながら葉部分も鍋に入れ、そこから60秒程度茹でましょう。根元がまだ少し硬いと感じるくらいが茹で上がりのサインです。茹で汁を捨て、ほうれん草を水でしばらく冷やしたら、軽く水をしぼって完成です。ボールに張った水につけながら流水で締めるとより効果的です。
最後に水につけると、ほうれん草の緑色が鮮やかになるだけでなく、あく抜き効果もあります。
ほうれん草の簡単な保存方法
ほうれん草は、冷蔵保存する方法と冷凍保存する方法、どちらの方法でも保存が可能です。冷蔵保存は約1週間、冷凍保存では約1か月間保存できます。ほうれん草は0~5℃の温度で管理すると長持ちするため、冷蔵保存する際は、野菜室ではなく冷蔵室に入れる方がおすすめです。生でそのままシッパー付きの保存袋に入れて冷凍保存をすることも可能ですが、調理前に一度茹でる必要があるため、今回は、下茹でしてから冷凍保存する方法についてご説明します。
冷蔵庫で保存する方法
ほうれん草は、寒く湿度の高い環境で管理すると長持ちします。まず、きれいに洗ったほうれん草の水気を切り、新聞紙に包みます。ほうれん草を包んだ新聞紙をポリ袋に入れたら、ポリ袋の口を軽くしめ、冷蔵庫で根元が下になるよう立てて管理します。ほうれん草を横に寝かせるように置くと、ストレスにより傷みやすくなるため、倒れないように立てて管理することが必要です。
下茹でして冷凍庫で保存する方法
通常ほうれん草を使うときに下茹でするときよりも少し硬めに茹で上げ、流水にさらします。しっかりと水気をしぼったら、食べやすい大きさに切り、使い切る分量ずつ小分けにしてラップで包みましょう。ラップで包むときは、薄く広げるように包むと冷凍しやすいです。小分けに包んだラップをシッパー付きの保存袋に空気を抜きながら入れ、冷凍庫で保存してください。凍ったままでも、電子レンジでの加熱調理でもそのまま料理に使えて簡単です。
まとめ
ほうれん草の特徴とシュウ酸の抜き方、上手な茹で方・下ごしらえの方法についてご紹介しました。ほうれん草は、シュウ酸をきちんと抜けば、あっさりした味わいでどんな料理にも合いやすく、栄養価も非常に高いため人気の野菜です。火の通りも早いため、短時間で簡単に茹でることができます。旬の時期は冬ですが、現在では1年中スーパーなどに流通していますので、ぜひ毎日の食事に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC