サンセベリアの基礎知識
マイナスイオンを発生させ、空気をきれいにするグリーンとして初心者にも人気のサンセベリア。葉の先がとがり、まるで虎のしっぽのような姿から別名「トラノオ」ともいわれています。乾燥に強く、丈夫で水やりの管理が簡単なため、初心者でも育てやすい観葉植物です。一方、水やりの方法を間違えたり、「植え替え」作業を怠ってしまったりすると、枯れやすい植物でもあります。サンセベリアを育てたい初心者の方・育てている方も、ぜひ正しい植え替えの方法を覚えましょう。
サンセベリア植え替えの目的
サンセベリアの生育は大変旺盛です。トラノオの別名は、見た目だけではなく強さも象徴しているのかもしれません。数年放っておくと鉢が割れてしまうほどの勢いで、根が広がっていきます。初心者の方は見落としがちですが、葉の成長以上に根は成長をしています。放っておくと次第に元気がなくなり、象徴であるトラノオが倒れてしまうことになりかねません。サンセベリアを元気な状態に保つためには、植え替えというひと手間は必要不可欠です。
根詰まりの解消で元気に!
鉢の中にぐるぐる巻き状態で根が張ってしまうことを「根詰まり」といいます。根詰まりは、人間でいえば窒息状態。与えた水がスムーズに流れ出ず、特に夏の時期は水やりによって鉢の中が常に蒸れた状態になってしまいます。乾燥気味を好むサンセベリアの根にとって、蒸れは大きなストレスです。植え替えの一番の目的は、根をほぐしより広いスペースに植えて、窮屈な状態から解放することです。乾燥したら水やりを行うという正しいサイクルが守られ、生き生きと元気な根になります。
新しい用土で栄養たっぷり!
植え替えのもう一つの目的は、養分のたっぷりある新しい用土を入れることです。用土は時間とともに老化します。養分のない土では根が腐ってしまいます。そのため、植物を元気に保つために用土の交換が必要になるのです。根詰まりが解消されストレスのなくなった根は、土の養分や水分を十分に吸収し、潤いのある葉をしっかりと立ち上がらせてくれます。元気な根、そして十分な養分があることで、サンセベリアは「トラノオ」といわれるように、ピンと凛々しい姿を保てます。
サンセベリア植え替えのタイミング
サンセベリアの植え替えには、適したタイミングがあります。ここでは、植え替えをするべきベストタイミングをチェックしていきましょう。
サンセベリアが大きくなった
植物は生きているため、成長します。成長したサンセベリアは、植え替えをしなくてはいけません。「それほど成長したかな?」と毎日見ているとわからない可能性もあります。そんなときは、サンセベリアの鉢の底を見てみましょう。
鉢の底から根が出てきている
鉢で育てられることが多いサンセベリア。まっすぐ上に伸びたトラノオの姿を生かすためか、スマートでおしゃれな鉢に植えられ店頭に並ぶことが多くあります。そのため、購入時のスマートな鉢では1年足らずで窮屈な状態に陥るのです。休眠期の冬は成長しませんが、冬を乗り越えると急激に成長します。植え替えの適切な時期を逃してしまわないよう、成長が始まる時期(春から初夏)は、特に注意して鉢の底を観察しましょう。細い根がはみ出してきているなら、そろそろ植え替えの時期であるサインです。
サンセベリアに元気がない
葉が枯れ倒れている
サンセベリアは乾燥地域が原産の植物のため、水のやりすぎは厳禁です。特に冬の寒い時期はほとんど水やりの必要はありません。休眠期の冬に水やりをすると根腐れを起こし、葉が枯れたり倒れ、トラノオの威厳が全く感じられない状態になることがよくあります。倒れたときも、植え替えが必要です。ただし、冬の植え替えは時期として適切ではありません。以下で説明するように、植え替えの適切な時期になるまで待ちましょう。
サンセベリア植え替えに適した時期
植え替えは、春夏秋冬でいつでも行ってよいというわけではありません。適した時期とはいつなのでしょうか?
植え替えは成長前期が理想
地域や環境によりますが5月中旬以降~7月いっぱいが植え替えに適した時期といえます。具体的に、約20度を保てる時期です。朝晩の気温差が激しい時期や、日中気温が上がる真夏、夜に気温が急激に下がる冬などは避けましょう。サンセベリアは冬が苦手で休眠期に入るため、冬の植え替えは厳禁です。緊急を要さない場合は適温になるまで様子を見ながら待ちましょう。
サンセベリア植え替え方法①株分け
株分けとは
株が大きくなりすぎたとき、株を2~3個に分けて別々の鉢に植え替えることを株分けといいます。初心者の方にとってはハードルが高いと思われるかもしれませんが、株分けは安全な方法で確実に増やせます。株分けしたものが元の大きさに早く戻るのが特徴で、株を再生する場合にも必要な作業です。
株分けして大きさを現状維持
サンセベリアが成長し、今のままでは少し窮屈そうだと感じているものの、鉢のデザインや大きさを変えたくないという方もいるでしょう。インテリア的な要素を重視して、大きさを現状維持したい方には株分けがおすすめです。ただし、株分けすると鉢数が増えてしまいます。可愛がってくれる人に譲ってあげるなど、鉢数の調整が必要となる場合もあります。
株分けの手順①株を鉢から抜く
根が鉢いっぱいに回っているため、鉢から株を抜くときには鉢の周りを軽く叩き、株をそっと抜きます。鉢土が乾燥している状態で作業を行うと比較的簡単に抜けます。
株分けの手順②根鉢をくずして古い根を整理
割り箸などを使って、根鉢を丁寧にくずします。根と根の間にやさしく割り箸をさし、軽く揺らしながら割り箸を下ろしていくと根を傷めずに古土を落とせます。細く伸びた根は切り詰め、黒く伸びた根は根元から切りましょう。
株分けの手順③株を分ける
手で株を2~3個に分けます。絡まった根をむりやり引き裂こうとせず、葉元をしっかりと持って丁寧にそっと分けましょう。
株分けの手順④支柱を立てる
新しい用土に植え付けます。株が安定するまでは支柱を立て、支柱を中心に葉をくるむように紐や柔らかい針金でまとめましょう。
出典:写真AC