ヨウシュヤマゴボウは、明治時代に渡来し日本に根づいた帰化植物です。道端や空き地などで自然に生育しています。また育ちすぎて駆除に手を焼くこともあり、有毒の植物でもあります。しかし花後に紫に色づいた実はぶどうのようで、実のついている茎も紅色が美しく、生花の材料としても人気です。
園芸部類 | 山野草 |
形態 | 多年草、帰化植物 |
樹高・草丈 | 1〜2m |
花の色 | 白、桃色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 染料、生花 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ヨウシュヤマゴボウはゴボウと名付けられていますが、ゴボウとは別の植物です。また実がぶどうのようでヤマブドウとも間違えられますが、ヤマブドウとも関係のない植物です。有毒の植物のため誤食すると下痢、嘔吐やけいれんなどの症状をおこします。1〜2mと大きく育つと木のようですが、草花です。
ヨウシュヤマゴボウは、丈夫で長い根がゴボウに似ていることから「ゴボウ」という名前がついています。しかしゴボウとは全く別物で、根に毒のある植物です。ヨウシュとは西洋からやってきた植物である「洋種」という意味で付けられています。別名アメリカヤマゴボウとよばれるのもアメリカからやってきたヤマゴボウということです。
山ごぼうの漬物として売られている商品がありますが、これは細めの牛蒡(ごぼう)の根やモリアザミの根を漬物にしたものです。紹介しているヤマゴボウとは別物です。ヨウシュヤマゴボウの根には毒があり食用できません。
花後の秋に、紫色に色づく熟れた実をつぶすと赤紫色の汁がでます。この汁は染料としても使われるもので、手や衣服につくと色がなかなかおちません。アメリカでインクベリー(inkberry)とよばれるのはこの特性からです。
ヨウシュヤマゴボウの品種はあまり多くなく、園芸用に販売されている苗も少ないです。種も少ないですが販売されています。
あまり見かけられませんが、葉に白い模様の入った斑入りの品種があります。苗で販売される場合、春先に出回ります。
植え付け時期 | 3月〜5月 |
種まきの時期 | 3月〜4月、10月〜11月 |
結実の時期 | 10月頃 |
繁殖の時期 | 6月〜9月 |
花が咲く時期/開花時期 | 6月〜9月頃 |
植え付けは苗の小さなうちが望ましいため、3月〜5月に行います。6月〜9月は急激に成長する時期です。この時期の植え替えはあまり適していません。冬の時期は地上部が枯れるので、根の部分を掘り出して植え替えに適しています。
ヨウシュヤマゴボウは1〜2mと大きく育つので地植えが適していますが、大きく育ちすぎて駆除に困る植物でもあります。鉢植えで小さく育ててもよいでしょう。
成長したときの大きさから、屋内の栽培には適しません。鉢植えでも屋外で育てるのが無難です。
ヨウシュヤマゴボウは、日のよく当たる場所で生育がよくなります。しかし、非常に丈夫な植物のため、あまり日の当たらない場所でも育ちます。
ヨウシュヤマゴボウは道端にも生育する植物で、特別な用土は必要ありません。鉢植えの場合は花木用の培養土などを用いるとよいでしょう。
地植えの場合、水やりはほとんど不要です。鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水やりをします。
肥料は特に必要ありません。育ちが悪い場合のみ緩行性の肥料を与えます。
害虫の被害はほとんどありません。
ヨウシュヤマゴボウのかかる病気はほとんどありません。
ヨウシュヤマゴボウは育ちすぎて駆除に困るほどの植物です。そのため、栽培方法は特に注意することはありません。大きく育ちすぎて手に追えないことにならないように管理することが大切です。
秋に熟した実のなかから取り出した種をまくか、冷蔵庫で乾かないように管理保存した種を翌春にまきましょう。発芽するまでは日陰で乾燥しないように管理します。熟した1つの実の中には10粒ほどの種が入っています。
冬には地上に出ている部分は枯れてしまいます。多年草のため、何もせずにそのままにしていても、翌春に同じ場所に生えてきます。
ヨウシュヤマゴボウの種まきではない増やし方は、根の部分を取り分けて植えることです。根茎で増える植物のため、根の部分を土に埋めておくだけで増やせます。
ヨウシュヤマゴボウは根茎で増えていきます。大きく育ちすぎたものを小さくしたい場合、剪定をするだけでは土の中で根がどんどん成長して広がっていきます。大きく育ちすぎた場合は一度苗を抜いてしまい、根をカットして植え替えするとよいでしょう。その際に根が土の中に切れて残っていると、そこから芽が出て育ってくるので注意が必要です。
出典:写真AC