フランネルフラワーはオーストラリアを原産地とし、海岸に近い荒れ地や砂地といった乾燥した土地に自生している植物です。現在国内で流通しているのは岐阜県産のものが主で、日本でも育てやすいように品種改良されています。独特な造形の美しさから、オージープランツのなかでもとても人気の高い花です。
ボタニ子
オージープランツってなあに?
ボタ爺
近年、日本に流通しはじめたオーストラリア原産の植物のことじゃ。おしゃれな雰囲気なことと、日本の気候でも育てられるものが多いことが人気の理由じゃな。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 常緑多年草 |
草丈 | 30~60cm |
花の色 | 白、複色 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 常緑性・切り花、鉢植え |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
流通しているいくつかの品種の違いは、草丈の高さと花の大きさで、矮性タイプや60cmほどに成長する切り花向きのものがあります。花はどれも白~クリームに、花弁の先端に少しだけグリーンが入る同じような色合いです。
flannelflower(フランネルフラワー)は英語名です。この名前はフランネルフラワーの花、葉、茎のすべてが細かくやわらかな白い毛で覆われ、手触りが毛織物のフランネルに似ていることが由来となっています。
開花期間が長く、草丈40cmほどに成長するタイプです。鉢植えのほかに切り花やブライダル用にも流通しています。2012-2013ジャパンフラワーセレクションのブリーディング特別賞、受賞品種です。
草丈30cmほどの矮性品種で、花は小さいですが多花性でコンパクトにまとまるタイプです。混み合った花を、蒸れや枯れ防止も兼ねて早めに摘み取り、ドライフラワーにして楽しむのもよいでしょう。
種まきの時期 | 5月 |
植え付けの時期 | 4~5月、9~10月 |
肥料の時期 | 3~6月、9~11月 |
剪定・植え替えの時期 | 8月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4~6月、9~10月頃 |
フランネルフラワーは常緑多年草で、気温が5℃以上あれば冬越しができます。このことから鉢植えを室内で管理すれば、1年を通して栽培適期といえます。種まき、植え付けの春を1年のスタートとし、真夏と真冬に花が休むと考えるとイメージが掴みやすいでしょう。
フランネルフラワーは、できるだけプランターか鉢植えで栽培してください。長くても3年ほどで枯れてしまう短命な多年草ですが、水分の管理と日当たりの確保で、花数多くきれいに咲かせられます。
日本での地植えは、植物の性質上あまり適していません。フランネルフラワーの栽培は、雨に当てないことが第一条件となります。
気温が5℃以上あれば屋外に鉢植えを置いていても問題ありませんが、冬場は早めに室内に取り込んだほうが安心です。雨の当たらない場所を確保しましょう。
花を咲かせるには日当たりのよさが必須です。雨天時は雨の当たらない場所に鉢を移動させてください。
フランネルフラワーは酸性の土を好みます。用土を用意するうえでの注意点は、ホームセンターなどにある「花と野菜の培養土」といったような、pHが調整されたアルカリ性に近い土を使わないことです。同じ理由から苦土石灰も使わないよう気をつけてください。土の配合は、酸度が調整されていないピートモス5、鹿沼土中粒5が適しています。
フランネルフラワーは過度な湿度を嫌う反面、根が乾燥すると枯れてしまいます。庭植えの場合は降雨のみで、水やりはほとんど問題ありませんが、鉢植えの場合は、土の表面が乾いてきたら乾燥によって根が傷つかないように水を与えましょう。また、加湿にならないように受け皿の水は捨ててください。
フランネルフラワーは、肥料をたくさん必要とする植物です。しかし、濃度が高いと根が肥料焼けを起こして枯れる原因となります。液肥を与えるときは規定量の倍に薄めて、そのぶん回数を多く与えてください。頻度は10日~2週間に1回ぐらいがよいでしょう。
風通しの悪い場所では、害虫としてハダニがみられます。鉢の置き場所を変えるなどして、生育に適した環境をつくりましょう。また一般的な植物の場合は、葉裏に水をかけることがハダニ発生の防止になりますが、フランネルフラワーの場合は頻繁に水をかけるのは避け、カダンVスプレーなどの薬剤を使用したほうがよいでしょう。
湿度が高いと灰色カビ病が発生する場合があります。フランネルフラワーは、株全体に細かい産毛が生えていることからどうしても蒸れやすくなりがちです。枯れ葉や花がらは早めに摘み取り、病気予防のためにも通気性をよくしておきましょう。
種を採取したい場合は、そのまま放置して種が実るのを待ちましょう。そうでない場合は、蒸れ防止のためにも花がらを摘み取ってください。
フランネルフラワーの種は流通していないので、購入した株を成長させて採取してください。挿し木や株分けといった増やし方は適しておらず、種まきが一般的な増やし方です。発芽温度は15~18℃で、発芽までには1カ月ほどかかります。
フランネルフラワーの種は一般的に流通していないことから、最初は苗からの栽培になります。下葉が枯れあがっておらず、つぼみのたくさんついた苗を選ぶとよいでしょう。また増やした株の譲渡や販売は、法律上禁止されているので注意してください。
※ 繁殖方法は種蒔きです。品種登録されており、法律上フランネルフラワーの種蒔きをして出来た株は他人に譲渡、販売することはまだ出来ません。自分だけで楽しまれてください。
フランネルフラワーの植え替えに適した時期は、花後の剪定時期と重なります。根を傷つけないよう土を崩さず、一回り大きな鉢に植え替えてください。
花後の剪定には株をリフレッシュさせる効果がありますが、強剪定すると枯れてしまうことがあります。剪定する枝茎には必ず葉が残る状態にしておきましょう。
真夏の炎天下時には半日陰になる涼しい場所で管理してください。また極端な乾燥を嫌うので、土の表面の乾き具合に気をつけましょう。
鉢植えやプランターの場合は室内に取り込んで管理しましょう。その際は日のよく当たる場所においてください。地植えの場合は、ビニールをかけたりマルチングしたりするなどの防寒を施す必要があります。
出典:写真AC