ジュエルオーキッドは、常緑性の多年草でラン科の植物です。ジュエルオーキッドとは、1つの植物名ではなく美しい葉を観賞するランの総称です。主な生息地は東南アジアの熱帯地域や亜熱帯の森林などで、光を受けてキラキラ輝く葉は自然の中でもひときわ目を引きます。「森の宝石」などといった呼び名もあるほど葉が美しい植物ですが、花が咲くこともあります。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 30cmくらい |
花の色 | 白色や淡い黄色 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 葉脈が光ってみえる |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ランは花を観賞することが多い植物ですが、ジュエルオーキッドには、葉の美しさを楽しむという特徴があります。また、ゆっくり成長することや分類上複数属に属している点も大きな特徴です。
光沢があり滑らかなジュエルオーキッドの葉は、ベルベットのような質感です。さらに、葉脈は金糸のようにキラキラと輝いて見えます。このように、美しい葉があたかも宝石のようであるため、ジュエル(宝石)オーキッド(ラン)という名前がつきました。
ジュエルオーキッドというと、マコデス・ペトラを指すこともあるくらいメジャーな品種です。マコデス・ペトラは「ナンバンカゴメラン」とも呼ばれ、夏に小花をつけることがあります。生産量が少ない希少品種で、丸みをおびた幅広の葉に見られる葉脈の美しさが魅力です。深緑色のベルベットを思わせる質感の葉に、葉脈により描き出された独特の線模様は銀色もしくは金色に輝き、まさに宝石のようです。
レッド系ジュエルオーキッドのホンコンシュスランも、葉の質感はベルベットのようです。葉色は濃いめの赤紫色で、葉脈が赤色をした美しい葉をしています。多肉質の茎も赤紫色をしており、細い根を出しながら地表をはうように伸びていきます。
植え付け時期 | 4~6月 |
植え替えの時期 | 4~6月 |
施肥の時期 | 5~7月 |
剪定の時期 | 7~9月 |
花が咲く時期/開花時期 | 7月頃 |
植え付けや植え替えに適した時期は4~6月です。熱帯地域や亜熱帯に生息するジュエルオーキッドは耐寒性が弱いため、寒い時期には行いません。春になり、気温が高くなってきた頃から夏にかけての期間が植え付けや植え替えの適期です。
寒さだけでなく直射日光も嫌うジュエルオーキッドをうまく育てるには、25°Cくらいの気温が適しています。そのため、地植えにすることはなく鉢植えにしたものを育てるのが一般的です。鉢植えにすると季節や気温など環境に応じた管理が可能となります。その時々で適した場所に置いて育てられます。
真夏のような酷暑や寒さにも弱いジュエルオーキッドは、室内で育てることが多い植物です。春や秋などであれば外にも置けますが、乾燥や直射日光をさけるなど、環境面での管理がとても大変になります。
ジュエルオーキッドを育てる場合、理想的な気温は25°Cくらいなので明るい日陰に置くのがおすすめです。強い直射日光にあたると葉焼けをして枯れることもあるので注意が必要です。また、日照不足でも間延びしてしまうことがあります。カーテン越しに日光があたるような場所に置くのがよいでしょう。耐寒性が弱いので、冬の間は室内でも気温の管理に気をつけます。夜間は窓際に置くのを避けるなどの工夫も必要です。
最適な用土は、pHを調整してあるピートモスや質のよい水苔、洋ランバークなどです。注意点は、養分が含まれていないので肥料が必要になることです。
ジュエルオーキッドは、熱帯地域や亜熱帯の森林などに生息する植物なので、湿度の高い環境を好みます。しかし、根腐れの原因となる根の過湿はさけなければなりません。また、湿度が足りなくても枯れてしまうため、適度な水やりをするには葉の状態をよく観察することが重要です。おすすめの水の与え方は霧吹きを利用した方法です。株元への水分補給や葉水を行い湿度を保ちます。与える水は室温に合わせたものを使いましょう。
ジュエルオーキッドの栽培には、肥料はあまり使いません。春から秋の間、規定量の2倍くらいに薄めた液肥を、1~2カ月に1回与える程度です。
春や秋などに戸外に出すと、アブラムシやカイガラムシがつくことがありますが、ジュエルオーキッドの害虫被害は、ほとんどありません。
病気の心配も少ない植物ですが、まれに、軟腐病になる場合があります。
花が咲き終えたら根元から花茎を切ります。開花後に茎を剪定すると、新芽や脇芽などの発育が促進されます。
ジュエルオーキッドの苗は、園芸店のほか、アクアショップなどでも販売されていることがあります。購入する際には、アブラムシやカイガラムシなどが付着していないか確認し、葉色が濃くツヤのあるものを選びましょう。
植え替えに適した時期は、4~6月頃です。生育するスピードが遅いため、根詰まりすることは少ないのですが、水苔や用土を新しくするためにも、2年に1回くらいは植え替えるのがおすすめです。ピートモスや水苔を使用する場合には、あらかじめ浸水させておきます。植え替え後は水やりをし、カーテン越しに日光があたるような場所で管理するようにします。
かなり繊細な植物でもあるジュエルオーキッドの剪定は、花後に花茎を切る程度にとどめておくのがおすすめです。どうしても枯れた葉などを切りたいときには、きちんと消毒したハサミを使い丁寧に行います。
扇風機やエアコンの風があたる場所には置かないようにします。夏の日差しはかなり強いため、遮光カーテンを利用するなどして快適な環境をつくります。暑さで蒸れすぎるのをさけるためにも、水やりは夕方以降の涼しい時間帯に行いましょう。
冬の間も、エアコンの風があたる場所に置くのはさけましょう。ジュエルオーキッドの生育には25°Cくらいの気温が適しているとされています。15°Cを下回ると枯れてしまうこともあるので注意が必要です。水やりは気温の高い昼に行います。乾燥する季節でもあるので霧吹きを使用した葉水もおすすめです。
広く知られているジュエルオーキッドの増やし方は株分けです。時期としては5~7月頃に行うのが適しています。株にわき芽が出てから葉が2~3枚になれば株分け可能で、以下のような手順で行います。