ハイゴケは大型の蘚類で、コケ植物の一種です。コケ植物の中で蘚類はもっとも種類があり、種類によってさまざまな形や生育環境を持ちます。日本では山や幹の根本、道端、石の上などの日当たりがよい場所でマット状に広がっています。地面に敷き詰めると雑草が生えないためグランドカバーとしてよく利用されています。
園芸部類 | コケ |
形態 | 茎葉体で寿命が長い胞子体がある |
樹高・草丈 | 茎は10cm程度、葉は2mm程度 |
耐寒性 | あり |
耐暑性 | 暑さによる蒸れに弱い |
特性・用途 | 地面を這うように平面に広がり、苔庭・苔玉・盆栽・テラリウムなどに利用される |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ハイゴケは、名前の通り苔が這うようにして繁殖していくという姿から「ハイゴケ(這苔)」と名付けられました。さまざまな場所でマット状に広がって繁殖しています。
ハイゴケは世界各地、日本各地で見られる苔の一種です。多湿を好む性質ですが乾燥や寒さに強く、日光も好むためとても育てやすい品種です。少し変色してしまっても、水をやったり半日陰に移動したりするだけですぐに元に戻ります。
1年中栽培可能ですが、春や秋の穏やかな気候が植え付ける時期に適しています。植え付け後仮根で土に固定されるまで時間がかかるため、穏やかな晴天が続く頃に植えるとよいでしょう。
鉢植えの場合、他の植物が植えてある鉢の土に植えます。ハイゴケは根がなく保湿性を持つ植物のため、他の植物の生育を助ける効果があります。ハイゴケが乾燥してきたら潤うようしっかり水をやりましょう。
まき苔とは、庭の敷石の隙間など狭い範囲に植える方法です。入手したハイゴケを揉みほぐし少しずつ植えたい場合に撒いてください。撒いたら上から土をかけて剥がれないようにしっかり押さえます。最後に、たっぷり水をやりましょう。
はり苔とは広範囲に植える方法で、地植えをするならはり苔が適しています。植えたい場所を軽く耕して保湿性と通気性のある土をかぶせます。そこに入手したハイゴケを優しく伸ばしてから乗せてください。植えたら上から土をかけて剥がれないように軽く押さえます。そして植えた苔にはたっぷりと水をやりましょう。
室内、室外どちらでも生育可能です。室内の場合はエアコンの風で傷ついたり乾燥したりということがないよう気をつけましょう。容器に入れてテラリウムを作る場合は中が蒸れすぎないようにします。
日光と多湿を好むため、木陰や日照が数時間程度の半日陰に置くとよいでしょう。日光が直接あたると乾燥しやすいため、乾燥のしすぎには注意してください。
通気性と保湿性のよい土を用意しましょう。赤玉土やバーミキュライトが配合されている改良用土がよいですが、苔用に販売されている土を使うと失敗がないです。
ハイゴケは根がないため、葉や茎がしっかり吸収できるよう水をやります。水圧と水量に気をつけ根が地面から剥がれないようにしてください。ある程度乾燥に強いとはいえ多湿を好む植物なので、しっかりと水やりをしましょう。
ハイゴケは多湿な環境を好みます。乾燥には強い植物ですが、乾燥しすぎると枯れてしまうため注意しましょう。ただし蒸れには弱いため、適度に剪定して通気性も確保するとよいです。
ハイゴケは肥料を与えると弱って枯れてしまうため、肥料は必要ありません。
基本的に苔を食べる害虫はいないため心配することはほぼありませんが、まれに芋虫などが茎をかじり苔が枯れることがあります。その場合は発生してしまったあたりのマットを持ち上げ、1日水につけましょう。マットが完全に沈むように、たっぷりの水につけてください。マットを少し揉み水を行きわたらせると虫が窒息し、駆除できます。
病気になる可能性としては、害虫が媒介になる病気くらいです。害虫対策をしてしっかり管理していれば特に気をつけることはないでしょう。
ハイゴケは緑で葉に艶があるものを選びます。変色しているものは弱っているので、元気な株を選びましょう。
ハイゴケは入手したマット状の株をすぐ庭や鉢などに植えるため、とくに育苗は必要ありません。
必要ありません。伸びすぎたところをハサミで切りましょう。
特に必要ありませんが、ハイゴケは密に茂る植物なので性質上蒸れやすいです。蒸れすぎると枯れてしまうため、数年に1度は春のうちに剪定することをおすすめします。雑草対策に敷き詰めておきたい場合は秋に剪定してもよいですが、蒸れには注意しておきましょう。また、ハイゴケは植え付けたばかりの頃や夏の時期は雑草が伸びやすいので、すぐ抜きましょう。
夏は雑草がよく生えてくるため、ハイゴケの間から生えている雑草を抜きます。早めに処理しておかないと雑草が根をはりハイゴケが剥がれてしまうので、こまめに確認しましょう。雑草は上にまっすぐ抜きます。また、蒸れやすい時期なので夕方か夜の水やりと剪定にも気をつけましょう。
雪が降っても霜が降りても問題なく冬を越せます。ただし寒波で乾燥しすぎると弱ってしまうので、水やりや風除けなどの対策をしておくと安心です。
増やし方は、まき苔と同じ方法を利用します。浅めの容器に水はけのよい土を薄く敷いてください。まき苔で植える時よりも間隔をあけてハイゴケを撒きます。室内屋外問わず管理でき、直射日光には当てないよう乾燥に注意して増やしましょう。