平安時代から厄払いの木として信仰されてきたナギの木。熊野三山系の神社ではご神木とされており、和歌山県にある熊野速玉大社のナギの木は、樹齢が1000年を超えています。葉を裂こうとしても簡単に裂けないことから夫婦円満や縁結びの象徴として、またその名前から凪に通じ、航海安全のお守りとしても信仰されてきました。
園芸部類 | 庭木、観葉植物 |
形態 | 高木 |
樹高 | 20m |
花の色 | 淡黄 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
温暖な場所で自生し、台湾、海南島、日本では本州南岸、四国九州、南西諸島に分布しています。葉が楕円状のため広葉樹のように見えますが針葉樹に分類されます。5月~6月頃に開花後種子ができ、10月~11月頃にその実が青白く熟します。樹高は20m程に達し、雌雄異株です。
葉に白やクリーム色の模様が入る品種です。模様の入り方によって品種が細かく分かれており、数十種類あるとされています。
名前のとおり、葉が円形に近い品種です。これにフイリナギの模様が入るとフイリマルバナギという品種になります。
種まき | 11月、5月 |
花が咲く時期 | 5月~6月 |
肥料 | 3月~6月 |
剪定 | 4月、8月~9月 |
植え替え | 5月 |
栽培は種で地植え、もしくは鉢植えに植えて育てます。ナギは植え替えを嫌うので苗の流通はほとんどみられません。身近にナギの木がなくて種が手に入らない場合は、観葉植物として鉢植えで販売されているナギの木であれば簡単に手に入ります。
暖かい場所を好むので、地植えは日の当たる暖かい場所、鉢植えの場合は窓際や屋外の日の当たる暖かい場所に置きましょう。温暖な地域では、半日陰でも栽培できます。寒さに弱く-10℃以下になると枯れてしまいます。
ナギの木は、抗菌・抗炎症作用があり、アロマテラピーにも使われる「ナギラクトン」という物質を分泌します。これには植物の生育を抑制する性質があるため、地植えをするときは周りにほかの植物がない場所を選びましょう。
鉢植えの場合、春から夏は1日1~2回、冬は2~3日に1回、土の表面が乾いてきたら水をたっぷり与えてください。地植えは基本的に水やりの必要はありませんが、種から栽培するときは土が乾かないように、発芽まで注意深く管理しましょう。
肥料がなくてもよく育つので、あまり必要としません。生育が悪いときのみ、3月~6月の間に液体肥料を一度与えるだけで十分でしょう。
木の根元におがくずのような塊があるときは、木の幹にテッポウムシという害虫が入り込んでいる可能性があります。これは早めに薬剤を散布することで駆除できます。
葉っぱや茎に小さな虫がくっついていたら、カイガラムシかもしれません。これも殺虫剤で駆除できますが、風通しのよい場所で管理することで予防できます。
病気にはかかりにくいので、心配ありません。
自然のまま放置していても樹形が乱れないので、剪定は基本的に必要ありません。伸びすぎたときや、枝が密集したところなどを剪定してください。適期は4月と8月~9月です。
土に種を置き、5mm程の厚さの土で種を覆います。水をまいて、その後は土が乾かないように管理してください。地植えの場合、根付いてきたら水やりはほとんど必要ありません。土を選ばないので用土は特に必要ないでしょう。
種から鉢植えで栽培する場合、用土は赤玉土か観葉植物の培養土を使用します。土の表面が乾いたら水をたっぷり与えてください。加湿にも弱いので、水の与えすぎには注意してください。観葉植物として販売されている鉢植えのものも、同様に水を与えてください。
根が詰まってきて鉢植えが小さくなったら植え替えを行います。植え替えの時期は5月頃です。二回りほど大きな鉢植えを用意し、観葉植物の培養土を足して植え替えます。
寒さに弱いので、その土地の気候に合わせた場所で栽培しましょう。中部地方以北は、霜に当たると枯れてしまうので鉢植えで室内での管理が必要です。特に発芽後1~2年ほどしか経っていない幼苗は冬越しが難しく、枯れる可能性が高くなります。必ず室内の暖かい部屋で管理しましょう。
ナギは挿し木に向いていないので、増やしたいときは種をまきます。秋に熟した実を採り、果肉部分を取り除いてすぐにまくか、乾かないように保存して翌春にまきます。ただし、雌株と雄株の両方が植えられていないと受粉できないため、種は限られた環境でのみ採取できます。
出典:写真AC