キランソウは春に山野や道端で見かける野草で、一般的に雑草として扱われています。園芸品種であるアジュガ(セイヨウジュウニヒトエ)の仲間です。アジュガが花穂を上に伸ばすように成長するのに対し、キランソウは地面を這うように成長するので、両者の違いはすぐにわかるでしょう。また、キランソウは古くから生薬として活用され、高血圧や解熱、下痢止め、切り傷などに効果があるといわれています。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 2~20cm |
花の色 | 青紫 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 常緑性、耐寒性が強い、日陰でも育つ、生薬 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
キランソウは、葉の表裏と茎に細かい毛が生えています。葉はロゼット状に広がり、冬場の寒さに耐えつつ、日光を多く浴びれるようになっています。また根張りが浅いため乾燥に弱く、夏場の強い直射日光が当たる場所には向きません。しかし野草であるため、生命力は強めです。花はシソ科の植物に多い唇形をしており、上唇は小さく2つに、下唇は3つに分かれています。
キランソウは本州・四国・九州に分布していますが、ヒメキランソウは沖縄や台湾などの暖かい地域に分布している野草です。「ヒメ」という名前がついていますが、草丈はキランソウより高く、ランナーを横に伸ばして次々と増えていきます。耐暑性があり、夏でも花を咲かせます。
植え付け時期 | 3月~5月、9月~10月 |
花が咲く時期/開花時期 | 3月~5月 |
キランソウは乾燥に弱く、強い直射日光を浴びると枯れてしまうため、植え付けや植え替えは春、または秋の暖かい日に行います。冬場も根への負担が大きく、枯れる原因となってしまうので避けましょう。野草として生育しているため生命力は強く、夏と冬を避ければ、枯れることは少ないでしょう。
キランソウは鉢植えでも庭植えでも育てられます。庭植えの場合は、放っておくと種でどんどん増えていくので、グランドカバー以外の目的で栽培するならゾーニングするなど対策をして管理しましょう。
キランソウは室内だと光量が足りないため、基本的に屋外で育てます。
キランソウは日当たりのいい場所か、明るい半日陰を好みます。夏場の直射日光が苦手なので、夏場は日中日陰になる場所に置きましょう。
キランソウは水はけがよく、肥沃な土を好みます。用土は元肥や腐葉土を混ぜて準備しましょう。
地植えの場合は、根付くまで水やりが必要ですが、根付いた後は水を与えなくても育ちます。鉢植えの場合は、地表が乾いたら水やりをしましょう。
肥沃な土を好むキランソウですが、生命力が強く、やせた土地でも十分育ちます。そのため肥料は基本的に必要ありませんが、念のため元肥を施しましょう。元肥を施すことで追肥の必要がなくなり、管理が楽になります。
キランソウへの害虫の被害は特にありません。
キランソウ栽培では、病気は気にする必要はありません。
キランソウは、花後の処理も特に必要ありません。
ホームセンターや通信販売では、苗が多く販売されているため、種はキランソウから直接採ることでしか入手できないでしょう。浅めに植えて地面が乾燥しない程度に水を与えておけば発芽します。
キランソウの葉はロゼット状に広がるので、個体によっては下のほうが蒸れて葉が黄色くなっています。そのため、苗を選ぶときは、葉の下が黄色くなっていないものを選びましょう。
キランソウは生命力が強い野草のため、育苗箱で育苗する必要はありません。直接庭や鉢植えに植え替えて育てましょう。
植え替えは、春か秋の暖かい日に行いましょう。キランソウの根は浅いため、植え替えのときはしっかりと土が被るように気を付けます。夏、または冬に植え替えると、根への負担が大きくなって枯れてしまいます。
キランソウは常緑で越冬します。耐寒性が強いため特別に冬越しの管理をする必要はありませんが、霜が当たると株が弱ってしまいます。そのため、朝晩の冷え込みが強い日には鉢植えを室内に移動させるなどして、霜が当たらないように管理しましょう。
キランソウは葉挿しで増やせます。しっかり成長した葉を湿った葉挿し用の土に挿して、乾燥しないように管理すると、発根します。葉挿しをするときは、日当たりのいい場所で行いましょう。室内では光量が足りず発根しないので、注意が必要です。
アジュガはセイヨウキランソウの園芸品種で、花の色が青紫のものやクリーム色のもの、ピンクと白の斑入りのものなど、さまざまな種類があります。初心者でも育てやすく、グランドカバーとして利用できる品種です。