キランソウとは
キランソウはごく身近で見ることのできる野草です。雑草として一般的に扱われており、漢字では「金瘡小草」と書きます。キランソウ属にはたくさんの種類があり、そのなかのひとつです。
基本情報
学名 | Ajuga decumbens |
科名 | シソ科 |
属名 | キランソウ属 |
中国名 | 金疮小草 jin chuang xiao cao |
英名 | creeping bugleweed |
どこに分布している?
キランソウは、日本、朝鮮半島、中国が原産地です。日本では、本州、四国、九州に分布しており、道ばたや山のふもと、草むらなどに生える身近な多年草です。多年草とは、同じ株から2年以上枯れずに花を咲かし続けます。このとき、冬でも葉は基本的に枯れません。交配しやすいので、世界では、熱帯から温帯の地域に約50種類分布しています。
キランソウの特徴
キランソウは花、葉の表と裏、茎に細かい毛があります。耐寒性はあり、耐暑性、耐陰性は普通です。茎の丈は5から10cmくらいです。
特徴①葉がロゼット状
ロゼット状の葉が、地面にそって伸びていいます。ロゼット状とは、地面から近い部分に葉が密集して、丸形になるものです。茎は短く地面そって伸びた先で、ロゼット状に葉を広げて花を咲かせます。葉には光沢があり、縁には鋸歯(きょし)があります。のこぎりとありますが、波形くらいです。
特徴②唇形花
唇形花で、3月から5月に花を咲かせます。唇形花とは、花びらが1枚ずつ分かれず、ひとつの筒になっています。筒の先が分かれていて、口と同様に上側を「上唇」下側を「下唇」と呼びます。シソ科の植物にみられる花の形です。上唇はごく小さく2つに分かれています、下唇は3つに分かれていて、真ん中は長く出ており、その中央には切込みがあります。雄しべは4本あり、上唇にそって伸び、花の色は青紫色をしています。小さな花は夏前に枯れてしまいます。
キランソウの薬効
筋骨草(きんこつそう)のお茶はほろ苦い味がします。お茶は刻んだ乾燥のキランソウを煎じる方法が一般的です。利用法としては、入浴剤代わりにもできますし、あせも、湿疹への効用があります。
薬草
薬効
キランソウは、生薬名を「筋骨草(きんこつそう)」「白毛夏枯草(はくもうかこそう)」といいます。「筋骨草」は花が咲いたときに採取した全草です。「白毛夏枯草」は採取時期は決まっていない全草です。昔から広く薬草として利用されてきました。現在も健康茶として販売されています。花の時期に全草を採取し、よく水洗い後天日干しをします。乾燥したものを1日に10~15グラム使用し、水を加え弱火で20分ほど煎じたものをこし、それを1日数回に分けて服用します。多めに作って冷蔵庫の保管もできます。
キランソウの薬効を紹介します。高血圧、咳を鎮める、痰をのどから出しやすくする、解熱、下痢止め、胃の運動を助け消化を助ける、といったものです。万能の薬草です。ほかには、キランソウには解毒の薬効があり、生葉のしぼり汁を切傷、火傷、あせも、虫刺されの患部に塗布します。北九州では胆石の民間薬として知られています。
成分
キランソウの成分には、フラボノイド配糖体、サポニン、アルカロイド、タンニン、有機酸、ステロイド、還元糖、フェノール性物質などが含まれています。では、各成分をみていきます。
フラボノイド配糖体:ルテオリンが知られています。免疫力を整える、抗酸化作用などがあります。
サポニン:咳や痰を抑える、抗酸化作用などがあります。
アルカロイド:窒素を含むアルカリに似た化合物で、痛みをやわらげる作用があります。
タンニン:ポリフェノールの総称で、抗酸化作用、抗菌作用などがあります。
有機酸:酸の性質をもつ化合物の総称で、腸内細菌を整える作用があります。
ステロイド:シアステロン、昆虫変態ホルモンのアジュガステリンCが知られています。
さまざまな成分が含まれ、健康に役立つ薬草であることがわかります。
出典:写真AC