ロロンは、タキイ育苗が遊び心から品種改良されたカボチャです。開発者が特に形にこだわったため、ロロンはラグビーボールのような形をしています。ロロンは甘みが強くおいしいカボチャですが、食用として市場に流通しておらず、主に家庭菜園で栽培されています。
園芸部類 | 野菜 |
形態 | 草本性ツル植物 |
ツルの長さ | 5~15m |
花の色 | 黄色 |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | やや強い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
ユニークな実の形をしているロロンは病害虫に強く、着果も安定しているのが特徴です。味もよく料理にも使いやすいロロンは、スーパーなどで販売される品種ではありません。また、ロロンの栽培は発芽~育苗がやや難しいです。ただし苗の植え付け後の着果~収穫は、初心者でも比較的簡単に管理できます。
ロロンはトンネル栽培(トンネル状のフィルムを使った栽培法)と露地栽培が主流です。また暖地・中間地・冷涼地の違いで、植え付けなどの時期が変わります。そのため栽培カレンダーを参考にする際は、栽培地と栽培方法があっているか必ず確認してください。
植え付け時期 | 1~3月、4~6月 |
花が咲く時期 | 4~5月、5~6月 |
実がつく時期 | 開花から45~50日後 |
収穫時期 | 5~9月頃 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け・育苗期(暖地の場合) | ● | ● | ● | ● | ||||||||
成長期 | ● | ● | ● | ● | ||||||||
収穫期 | ● | ● | ||||||||||
植え付け・育苗期(中間地の場合) | ● | ● | ● | ● | ||||||||
成長期 | ● | ● | ● | ● | ||||||||
収穫期 | ● | ● | ||||||||||
植え付け・育苗期(冷涼地の場合) | ● | ● | ● | ● | ||||||||
成長期 | ● | ● | ● | ● | ||||||||
収穫期 | ● | ● |
ロロンは土の中の温度が20℃前後になると、もっとも生育がよくなります。ただしロロンの発芽適温と植え付け時の適温は、栽培適期の温度とは違うので注意してください。またロロンは比較的寒さにも強く、基本的に寒冷地でも栽培できます。
ロロンはツルを伸ばして成長します。成長したツルは長さが5~15mにもなります。なおロロンはツルが絡まると病気や害虫の原因となるため、栽培するには株間を十分に確保できるように、スペースにゆとりを持たせることが重要です。
ロロンは、種まき~育苗期と植え付け~収穫期で育てる場所を変えるのがポイントです。発芽するまでは25~30℃が適温ですが、発芽~植え付けまでは20℃前後に調整します。そのためロロンは日当たりがよく風通しのよい屋外で育てますが、植え付けまでは屋内で栽培するのがおすすめです。
ロロンの土づくりでは、肥料を控えめにするのがポイントです。ロロンは肥料を吸収する力が強いので、土づくりに肥料を多めに使うと肥料ボケします。さらに肥料の成分はバランスが均等になるように意識してください。なおバランスの偏った土で育てると、病気の原因になります。
ロロンはどの地域(暖地・中間地・冷涼地)でも栽培ができますが、栽培地域によって種まきのタイミングや収穫時期が変わります。そのため栽培地域ごとに栽培カレンダーをみて作業を進めるようにしてください。なおロロンの栽培は発芽~育苗までが難しいですが、その後の管理は比較的簡単です。
種まきのタイミングは、栽培地域を問わず年に2回あります。暖地の場合は1月には種まきができますが、冷涼地では早くても3月以降でなければ種まきには適しません。発芽適温は25~30℃なので、育苗ポットを使って温度管理をしながら発芽させましょう。
発芽したロロンは、本葉が4~5枚育つまでを育苗期とします。土の温度を20℃前後でキープすると、発芽から約30日で植え付けができる大きさに成長します。なお育苗期の温度管理は生育具合にも関係するため、マルチシートなどを使って温度管理を徹底しましょう。
ロロンは苗の植え付けから約2ヶ月で開花し、開花から45~50日で収穫期を迎えます。ただし生育期の天候によっては、収穫期が目安よりも遅れることがあります。なお完熟したロロンの重さ2kg前後ですが、完熟してから1週間程度追熟すると甘みが増します。
ロロンは高温多湿になると病気が発生しやすくなるため、温度が上がってきても水やりのし過ぎには注意しましょう。また水やりの際に土はねするのも病気の原因になるので、敷きわらを施すのが水やりのポイントです。ロロンは元肥を控えめにするため、追肥が重要になります。
ロロンの追肥は収穫までに2回行います。1回目はツルの長さが50cmを超えたときに行いますが、肥料は根元ではなく畦(あぜ)に撒きます。2回目の追肥は着果後に行い、肥料は株間に施します。1ヵ所にまとめて肥料を施すよりも、間隔をあけて施したほうが効果的です。
ロロンは本来販売予定のない品種でした。しかし、着果が安定しているうえに味もよいため購入希望者が殺到し販売された異色のカボチャです。人気の理由の1つに栽培のしやすさがありますが、そんなロロンでも生育トラブルが起きることがあります。
ロロンが着果しない場合は、摘芯のやり方に問題がある可能性が高いです。ロロンの雌花は子ヅルにつきますが、雌花は子ヅルの7~8節目にしかつきません。そのため丈夫な子ヅルを選んで剪定・摘芯しないと、雌花がつかず結果的に着果しません。
ロロンは害虫に寄生されにくいのですが、ウリ科の害虫・ウリハムシが寄生することがあります。ウリハムシは主に葉を食べます。成長するほど食べる量が増えるため、大量発生すると食害で根ごと枯れてしまいます。しかもロロンに寄生すると、収穫前の実も食べられてしまいます。
主な被害 | 葉や実を円弧状に食べる/幼虫は土の中の根も食べる |
天敵 | ネギ類のにおい/反射するもの |
対処法 | 近くにネギやニラを植える/防虫ネットを使う/シルバーマルチをかける |
ロロンは、カボチャ種に発症しやすいうどんこ病以外の病気対策はほとんど必要ありません。ロロンにはうどんこ病の耐病性がないため、植え付けから収穫までしっかりと病気対策することが重要です。
ロロン栽培の天敵といえるのが「うどんこ病」です。うどんこ病はカビ菌の繁殖が発症原因で、高温多湿になると大量発生しやすくなります。ロロンは開花から1カ月ほどで収穫期を迎えますが、開花~収穫期が梅雨時期と重なるため、収穫が終わるまでうどんこ病の対策が必要です。
主な症状 | 葉に白い斑点ができ最終的に枯れる |
対処法 | 発生場所は速やかに剪定して処分/大量発生の場合は農薬で対処する |
予防法 | ツルをからませない/追肥による窒素過多に注意する/マルチングや敷きワラで土はねを防止する |