だだちゃ豆は、だだちゃ豆用の品種のうち7月下旬~9月上旬に収穫されたものだけをいいます。だだちゃ豆の規格はJA山形によって管理されており、規格に合ったものだけが認められています。
だだちゃ豆には10品種あります。一般的なのは、お盆前に出回る「甘露」「早生白山」、お盆から出回る「白山(本豆)」「晩生甘露」、9月上旬に出回る「尾浦」です。これ以外に「庄内一号」「庄内三号」「早生甘露」「小真(こまぎ)」「平田」があります。
園芸部類 | 野菜 |
形態 | 一年草 |
樹高 | 50~80cm |
花の色 | 白 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
だだちゃ豆は、さやに生えている毛や薄皮が茶色く、豆の膨らみが小さめです。2粒さやがほかの品種よりも多く、とうもろこしのような香りと濃厚な甘みがあるのが特徴です。「どんな味か」と聞かれてもひと口に言い表せない深みのある繊細な味わいで「枝豆の王様」ともいわれています。
諸説ありますが、だだちゃ豆という名前は、江戸時代にいた枝豆好きの庄内藩主が毎日城内から持ち帰らせ、「どこのだだちゃ(庄内地方の方言「おやじ」「父」)が作った枝豆か」と聞いていたことからついたという説が有力です。
だだちゃ豆は風土が変わると味が変わるため、生産地は山形県鶴岡市に限定され、栽培工程も細かく管理されています。土は、マメ科の植物の根に共生している根粒菌が繁殖しやすい砂状の痩せた土です。近くを流れる湯尻川は、立ち上る朝もやでだだちゃ豆を潤しています。生産地・鶴岡市白山地区にはだだちゃ豆を美味しく栽培できる環境が整っています。
だだちゃ豆を育てる場合の大きなポイントは、土寄せです。だだちゃ豆は、6月中旬頃から最大8回土寄せ作業をします。株元への土寄せを繰り返しすることで苗が安定し、根についている根粒菌が増殖します。除草効果・排水効果も期待でき、枝豆を栽培する上で欠かせないポイントです。
だだちゃ豆は特定の地域でのみ栽培するため、本記事では枝豆の基本的な育て方を紹介します。
植え付け時期 | 5~6月 |
花が咲く時期 | 6~7月 |
実がなる時期 | 7~9月 |
収穫時期 | 7月下旬~9月上旬 |
だだちゃ豆は、広い場所での露地栽培がおすすめです。成長するとよく根を張るため、プランターや鉢で育てる場合は深くて大きめのものを選びましょう。
だだちゃ豆は日当たりのよい場所での栽培が適しています。プランターや鉢で栽培する場合は、できるだけ長時間日が当たる場所に置きましょう。
枝豆は、昼夜の温度差が激しいほうが味や実のつきがよくなります。昼間の温度は25℃前後、夜は15℃以上になる場所がベターです。注意点は、気温が13℃以下になると実入りが悪くなります。温度が下がり過ぎないように管理しましょう。
だだちゃ豆を含むマメ科の植物の注意点は、連作障害です。一度栽培した場所で連続してマメ科の植物を栽培するのは避けましょう。
枝豆を畑で作る場合、幅50cm程度の畝を作って栽培します。生育途中で頻繁に土寄せをし高くなるため、植え付け時の畝の高さは低め(10~15cm程度)で大丈夫です。
露地栽培では、水はけのよい用土にするのがポイントです。プランターや鉢の場合は、水はけがよすぎると乾燥しやすくなるので、用土は市販の野菜用培養土に赤玉土などを混ぜて、水持ちをよくしたものを使います。用土の酸性度がpH6.0~6.5になるように植え付けの1~2週間前に苦土石灰を混ぜておきます。
だだちゃ豆に本葉は4~5枚になった頃に定植します。1ヶ所に2株植えると実の付きがよくなります。露地・プランターでの栽培では株間を20~30cm程度あけ、鉢での栽培では7号サイズの鉢に1~2株を目安にします。
枝豆を含むマメ類は、根についている根粒菌が窒素を合成できますが、元肥を少なめに入れるほうが株がバランスよく美味しく育ちます。元肥は堆肥と有機肥料(牛ふんなど)がよいでしょう。
枝豆の水やりの注意点は、乾燥と根腐れです。花の咲き始めからさやが膨らむまでの間は水が必要なのでたっぷりとやりますが、多すぎると根腐れをおこします。放水の口をシャワーにすると、全体に株全体が潤い、水量の調整もしやすくなります。
根がしっかり張っていれば、支柱は必要ありません。
マルチングをすると、苗の発育促進や雑草予防に効果があります。マルチングをする場合は、苗を植え付ける前にします。土寄せをするときは、ビニールを上げて土寄せし、終わった後そっと戻すのがコツです。
枝豆は、花のつきが悪い時などに少し追肥しますが、よく育っている場合は必要ありません。
土寄せは、定植後苗が落ち着いたら定期的に行いましょう。露地だけでなくプランターや鉢の場合も、こまめに行うと根の張りがよくなります。土寄せをする際は、1回目は本葉1枚目の下までの高さ、2回目は本葉2~3枚目の下までの高さというように、段々と土を盛り上げていきましょう。
枝豆は、さやを指で押さえて実が出る程度まで膨らんだら収穫します。枝豆を収穫する上での注意点は、約1週間しかない収穫時期を逃さないことです。株全体に実がつくのを待つうちにすぐに味が落ち始めます。株全体の8割程度実がつく頃(7月下旬~9月上旬)が、収穫適期です。
成長途中にだだちゃ豆の葉が黄色くなるのは、土の水はけがよすぎて株が早く老化しているためです。水もちのよい土(赤玉土など)を混ぜて様子をみます。
だだちゃ豆は、花の時期に水が足りないと花が落ちてしまい、実がつきません。水やりはたっぷりとしましょう。
だだちゃ豆のさやが膨らむ時期に水が足りないと、さやや実が膨らみません。たっぷりと水をやりましょぅ。
アブラムシは、葉やさやに群がり実を荒らします。モザイク病の原因にもなるため注意が必要です。見つけたら、早めに取り除きます。
ハスモンヨトウは、発生すると上の方の葉が白くなります。幼虫が大きくなると葉だけでなくサヤも食べ始めるので、早めに見つけて幼虫のいる葉を切り取って処分しましょう。
モザイク病は、アブラムシなどの害虫が集まることでおきる病気です。害虫をこまめに取り除くことで予防しましょう。
白絹病は、高温多湿な場所や連作をした場所で起きやすい病気です。ほかの株にも広がりやすいので、見つけたら早めに株ごと取り除きます。
種まきは4月下旬~5月にします。ポットに種まき用の土を入れ、種を蒔き上から軽く土をかけます。1ポットに2~3粒が適当です。
種まきの直後はしっかり水をやり種に水を吸わせますが、そのあとは芽がでるまで水やりは控えます。水分が多すぎると種が腐りやすくなるためです。
枝豆が発芽して本葉がでてくるまではよく鳥に狙われます。ネットや不織布などをかけて鳥の被害を防ぎましょう。