クンシランは、名前にはランとありますが、ランではなくヒガンバナの仲間です。古典園芸植物としても親しまれ、以前は葉が長く広がり花茎が長く伸びる高性のクンシランが主流でしたが、近年ではダルマ系と呼ばれる小ぶりな品種が好まれています。原種系や斑入りなど、種類が増えて注目されています。
園芸部類 | 鉢花 |
形態 | 常緑性多年草 |
樹高・草丈 | 20〜70cm |
花の色 | クリーム色、黄色、オレンジ、赤 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 過湿に弱い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
原種のクンシラン・ノビリスは花が下向きに咲く品種ですが、主に流通しているのは、上を向いて咲く受け咲きクンシラン・ミニアタという品種です。クンシランは株元から立ち上がった花茎の先に、4〜7cmの大きさの花を、多いものでは10輪以上咲かせます。やや肉厚な葉と根に水分と栄養を蓄えて成長します。
学名にもなっているクリビアは、19世紀にイギリスの植物学の発展に貢献した、ノーサンバーランド公爵夫人の出生したクライブ家にちなんで名付けられたものです。和名の君子蘭は明治時代に日本に入ったクリビア・ノビリスという品種の「ノビリス=高貴」なという言葉から、「学識と人格に優れた人」を表す君子に例えて名付けられました。
原種系クンシランは花が下を向いて咲くのが特徴です。花色は赤系やオレンジにグリーンが入るものなどがあります。ベル咲きのノビリスの花は早咲きで、12月ごろから咲き始めます。
品種は受け咲きクンシラン(クンシラン・ミニアタ)ですが、葉に白〜クリーム色の模様が入っているのが特徴です。花色はオレンジ系が多いです。
クンシラン
【花終わり】クンシラン "アリサ"(君子蘭)5号苗
参考価格: 4,400円
クンシラン・アリサは、明るい黄色とオレンジの覆輪(ピコティ)が特徴です。やや小型の品種で葉のまとまりがよく、華やかな色が人気です。
レア度 | ★☆☆ |
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サイズ | 5号鉢(直径15cm) |
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植え付け時期 | 4〜5月 |
成長時期 | 5〜10月 |
花芽を作る時期 | 11〜12月 |
花が咲く時期/開花時期 | 3〜5月 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け 植え替え |
○ | ● | ||||||||||
開花期間 | ○ | ● | ● | ● | ||||||||
肥料 | ○ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
花芽形成時期 | ○ | ● | ● | |||||||||
種まき | ● | ● |
クンシランは花付きの苗を入手したら、花が終わる頃までは室内で管理し、5月頃からは屋外で管理します。成長期の5〜10月にはしっかりと肥料を与えて株を充実させ、秋から冬に低温に当てて花芽をつくります。
クンシランは地植えではなく鉢植えにして育てます。鉢は水はけがよく通気性のよい、素焼き鉢やテラコッタがおすすめです。鉢の大きさをあまり大きくせず、1株を4〜5号鉢(直径12〜15cm)で管理するとよいでしょう。
クンシランを室内で育てるときは、レースのカーテン越しに日が当たる明るい場所に置きましょう。花芽をつくる時期は5〜10℃で、それ以外の時期も20℃以下のやや涼しい場所に置きます。
クンシランは5月ごろからは、梅雨や長雨の当たらない屋外で育てます。置き場所を変えるときは1日数時間ずつ徐々に慣らすか、30%の遮光ネットを使い葉焼けを防ぎましょう。殺虫殺菌スプレーで病害虫の予防をしておくと安心ですね。
クンシランを育てる用土の配合は、赤玉土の中粒3:鹿沼土の中粒3:腐葉土3:日向土の中粒1です。クンシランは通気性がよく水はけのよい弱酸性土を好むため、腐葉土をpH未調整のピートモスに変えても育ちます。市販のクンシランの土も適していますよ。
クンシランの水やりは、用土がしっかりと乾いてから与えるのがポイントです。湿度の高い時期は用土の表面が乾いていても、中は湿っています。受け皿を使う場合でも溜まった水は捨てて、通気性を保ちましょう。
クンシランに肥料を与える時期は、真夏を除く4〜10月です。肥料はランの肥料ではなく花の肥料を適量使い、固形肥料は1〜2カ月に1回、液体肥料は10日に1回与えます。固形肥料は専用肥料や有機肥料・化成肥料、どれでも大丈夫です。
クンシランに注意しておきたい害虫は、ナメクジです。屋外で育てるときに、環境によってはナメクジに葉をかじられてしまうことがあります。専用の忌避剤で対策しておきましょう。
クンシランには特に心配な病気はありません。しかし、水の与えすぎで葉の付け根に水が溜まるとカビたり腐ったりしてしまいます。葉っぱではなく土を湿らせるように水やりをして、風通しのよい場所に置きましょう。
クンシランの花が咲き終わったら、花茎の根元近くで剪定します。咲かせっぱなしにしておくと、花後にタネができることもあります。株を弱らせてしまうため、タネをまかない場合は早めに花茎を剪定しましょう。
クンシランの花芽を作るコツは、秋から冬の温度管理です。地域差はありますが10月下旬〜12月、最低気温(室温)5〜10℃で60〜70日間過ごさせます。霜に当たると株が傷むため、5℃以下になる前に室内に取り込み、同じように10℃以下で管理します。花芽ができたのを確認したら、明るい場所に移動しましょう。
クンシランの花が咲き終わって実が出き、果実が赤くなったら種を収穫します。クンシランの種は乾燥に弱く果実がカビたり腐ったりしないよう、春まで川砂に埋めて常温で保存します。気温が20℃になる3〜4月ごろが種のまきどきです。種の周りに残った果実を洗い落として、鹿沼土の細粒や種まきの土に植えて明るい日陰で管理します。
新芽が伸びて葉が2〜3枚以上になったら、1芽ずつ鉢上げします。2.5〜3号(直径7.5〜9cm)の小さなプラポットからはじめて、0.5号ずつ植え替えで鉢増ししていきましょう。花が咲くまでには4〜5年かかります。
クンシランの苗選びは2〜3月ごろがおすすめです。開花時期は3月からですが、苗を探すのはそれより1カ月ほど前がいいでしょう。好みの花色で、葉の色の濃い数のたくさんついている苗を選びます。
クンシランの植え替えは4〜5月が適しています。花が咲いている場合は、早めに切って切り花として鑑賞しましょう。タイミングは2〜3年に1回です。植え替えに用意するものは、用土・鉢底石・鉢底ネット・鉢です。
クンシランの増やし方は、タネからと株分けです。株元から出た子株の葉が5〜6枚以上ついていたら、株分けをしてみましょう。
クンシランの株分けは、植え付けとほぼ同じ4〜5月が適しています。大きな鉢で管理できる場合は、株分けではなく鉢増しでもよいでしょう。消毒したナイフかハサミで子株の根っこを傷つけないように、親株から切り分けます。株の大きさにあった清潔な鉢と、新しい用土で植え付けましょう。
クンシランの葉が枯れるのは、生理現象です。下のほうの葉が全体に枯れてきたら、根元から取ってしまいます。上のほうの葉が茶色くなってしまうのは、霜などの低温障害か夏の葉焼けです。一度変色してしまうと元に戻ることはないため、変色した箇所を切り落としましょう。先端をV字型にカットすると、自然に見えますよ。
出典:写真AC