ケールはキャベツやブロッコリーの原種といわれる野菜です。キャベツのように結球しないので、1枚ずつはがしながら食べます。青汁の原料としてもおなじみで、生活習慣病の予防効果が期待される野菜として注目されています。
園芸部類 | 野菜 |
形態 | 一年草 |
樹高 | 30~80cm |
花の色 | 黄色 |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | 弱い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
江戸時代にケールが日本に入ってきたときは、観賞用として栽培されていました。食物繊維を豊富にふくみ、βカロテンの含有量は、緑黄色野菜のなかでもきわだっています。結球しないので栽培しやすい野菜です。
ケルト人が最初に栽培したため「ケール」と呼ばれるようになりました。
家庭園芸用に市販されている「青汁用」の品種や、寒さに強い品種などがあります。
キャベツのように肉厚で広い葉が特徴のケールです。栽培時に葉が大きく広がります。
葉柄(ようへい)が太く、青汁に適し甘みが強いのが特徴です。
葉の切れ込みがふかく、軸がピンク色を帯びているのが特徴のケールです。質感はしなやかさがあります。
ケールの栽培の時期は、7月下旬から8月上旬に種まきをして苗づくりをします。
種まき時期 | 3~4月・7~8月 |
植え付け時期 | 5~6月・8~9月 |
追肥時期 | 6~12月上旬(真夏は施さない) |
収穫時期 | 6~8月上旬・10~12月 |
ケールの生育温度は15~30℃くらいが適温です。春に栽培をはじめて夏前から収穫もできますが、春先は虫の被害が大きいので初心者には向きません。夏に入るころ種まきをして、8月下旬に植え付けるのがおすすめです。
ケールはプランター栽培や鉢植え、地植えも可能です。大きく育つため、65cm以上のプランターでは2~3株、地植えは株間を30cm以上あけて管理します。
ケールは日当たりがよく風通しのよい環境を好みます。基本的には屋外で栽培しますが、屋内で水耕栽培ができます。
プランター | 深めの65cm以上のプランター |
露地栽培 | ㏗6.5~7,0の弱酸性の土地・連作していない |
屋内栽培 | スポンジ培地・ハイドロボール栽培 |
プランター | 日当たりよく雨があまり当たらない場所 |
露地栽培 | 日当たりと風通しがよい野外 |
屋内栽培 | スポンジ培地で室内の明るい場所 |
同じアブラナ科の野菜を育てた土地で栽培・管理すると連作障害をおこします。連作障害になると立ち枯れ病などの病気が発生しやすくなります。2年以上は同じ土地での栽培はさけましょう。
ケールは弱酸性の土を好みます。露地栽培の場合は、植え付けの1週間前に苦土石灰をすきこんで調整します。また収穫を長期間するために、化成肥料やたい肥をあらかじめ施してよく耕します。
ケールは乾燥には強く過湿には弱いため、排水をよくするために畝は幅120cm・高さ15cmくらいが適切です。
露地栽培のときは、水はけよく弱酸性の用土になるように調整します。プランターは野菜栽培用土がよいでしょう。
プランター栽培 | 野菜用培養土を使用 |
露地栽培 | 1㎡あたり石灰100g・たい肥3kg・化成肥料70g |
ケールの収穫を順調にするために、元肥はかかせません。植え付け前に施した元肥も4週間ほどで不足してきます。継続的に質のよい葉を収穫するためには、肥料切れを起こさせないことが大切です。元肥は培養土には最初から入っていますが、畑の場合元肥としてたい肥や化成肥料をあらかじめ施します。
ケールの発芽適温は10~30℃です。畑に直まきでもよいのですが、ポットまきである程度大きく管理してから定植すると失敗が少ないです。
直径9cmの3号ポットに、種まき用の土や赤玉土を8分目まで入れて、指で1cmくらいのくぼみをつけてから3~4粒の種をまきます。その上に土を1~2cmほどかぶせます。発芽したら間引くので、間隔を1cm以上あけてまきましょう。
発芽までは用土を乾かさないように、ハス口をつけたじょうろで水やりをします。
本葉がひらいたら、しっかりした苗を残し1本立ちにして本葉3~4枚で定植します。
ケールは葉がひらいて大きく育つので、株間は最低30cmほどとりましょう。プランター栽培のときは65cmのプランターで2株をめどに定植します。10号鉢(直径30cm)に1株の栽培も可能です。畑でしたら50cmの株間がよいでしょう。
鉢植え(10号) | 30cm(1株) |
プランター(65cm) | 30cm(2株) |
露地栽培 | 50cm |
鉢植え | 乾いたらたっぷりと水やり |
プランター | 乾いたらたっぷりと水やり |
露地栽培(畑) | 定植後は必要ありません |
ケールの種まきや植え付けの時期は、虫たちの活動時期でもあります。アブラナ科の野菜はアオムシやコナガの食害が多いので、植え付け直後から虫の飛来を防ぐために防虫ネットをはりましょう。
植え付けから4週間ほどたつと肥料が不足してきます。安定した収穫のために追肥は欠かせません。4週間に1回化成肥料をプランターや鉢植えならばひとつまみ(5g)、畑では30g/㎡を施します。
ケールの葉が黄色になる原因は、主に2つあります。1つは肥料不足による生育不良、もう1つは収穫のタイミングをはずして腐らせてしまった場合が考えられます。
ケールの栽培中、定期的な追肥をしないで肥料不足にしてしまうと、葉は大きく育ちません。
高温多湿期や密植で風通しが悪い環境下でケールを育てると、カビによる病気が発生することがあります。
べと病の特徴は、カビ(糸状菌)がつき、葉の裏に淡黄色の病斑があらわれる点です。泥はねなどで土の中にいる菌が葉につき、ひどくなるとべとべとになり枯れてしまいます。病気の葉をみつけたら早いうちに取り除き、ほかのケールにうつらないようにします。
灰カビ病は、ほとんどの植物にでるカビが原因の病気です。茎や葉がとけるように腐り灰色のカビでおおわれます。
根コブ病 | 根にコブができて養分が吸えなくなる アブラナ科特有の土壌伝染病 |
軟腐病(なんぷびょう) | 腐敗して悪臭がする 害虫の食害の傷から起きる |
イオウ病 | 感染した葉は黄色くなり 全体に広がると枯れる |
アブラナ科の野菜は害虫の食害をうけやすく、特に春先は虫の活動も活発になるので注意が必要です。
アブラムシは、春先に葉のうらに寄生して葉の養分を吸汁して植物を弱らせます。また、ウィルスを媒介しモザイク病が感染する恐れもあります
アオムシはモンシロチョウの幼虫で、卵からかえって葉を食害します。特に小さな苗のうちは、葉の食害で成長がわるくなります。
コナガ | モンシロチョウと同じように卵を産み付け食害する |
ヨトウムシ | 蛾の一種で卵を産み付け食害する(夜行性) |
ナメクジ | 夜行性で葉を食害する、通った後に粘液の跡が残る |
ケールの栽培は種をポットなどで育苗し、植え付けると直まきより生育がよいです。苗も購入できますが、あまり多くは出回っていないので値段は高めです。
発芽までは乾かさないように水やりをします。本葉が開いたら、しっかりとした苗を1本残し間引きます。苗の目安は子葉が黄色く枯れていないものがよいでしょう。
本葉が3~4枚で苗の植え付けましょう。鉢やプランターに鉢底ネットを敷き、害虫の侵入を予防します。底面がみえなくなる程度に赤玉土を入れて、縁から2~3cm下まで野菜用の培養土を入れて苗を植え付けます。
草丈が50~60cmになり、本葉が20枚以上つけば収穫のスタートです。葉の長さが30cmくらいのものから摘み取ります。株がよわるので1つの株から一度に摘み取るのはさけましょう。
出典:写真AC