モウセンゴケとは?種類や生息地、見分け方などの特徴を詳しく解説!

モウセンゴケとは?種類や生息地、見分け方などの特徴を詳しく解説!

日本の各地の湿原に見られる小さな食虫植物、モウセンゴケをご存知でしょうか。今回はモウセンゴケの代表的な種類や、生息地について詳しく解説します。モウセンゴケの見分け方も説明しますので、興味があり、実際に観察したい方は必見です。

記事の目次

  1. 1.モウセンゴケとは
  2. 2.モウセンゴケの特徴
  3. 3.モウセンゴケの仲間たち
  4. 4.モウセンゴケの代表的な生息地
  5. 5.まとめ

モウセンゴケの仲間たち

出典:写真AC

モウセンゴケには200をこえる種類があり、南極以外の世界中に分布しています。そのすべてが、粘液を葉から出して虫をとらえる食虫植物です。姿も千差万別で、ロゼット型のものから、地下に塊根をつくり、茎をのばし他の植物によりかかりながら、長くのびるものもみられます。寿命も一年草のものと多年草のものがあります。

代表的なモウセンゴケの種類

日本ではこのうち、モウセンゴケ、ナガバノモウセンゴケ、コモウセンゴケ、トウカイコモウセンゴケ、白花ナガバノイシモチソウ、赤花ナガバノイシモチソウ、イシモチソウ、サジバモウセンゴケ、外来種のナガエモウセンゴケの9種類をみることができます。今回は日本産の4種と外国産の3種を紹介します。

コモウセンゴケ

コモウセンゴケは小型のかわいらしいモウセンゴケで、地面にへばりついたような形が特徴です。日本では宮城県以南の湿地やがけ地にみられ、沖縄にも分布しています。モウセンゴケにくらべコモウセンゴケは冬の寒さが苦手です。冬芽を作るというよりも、成長点を残して越冬します。

ナガバノモウセンゴケ

出典:写真AC

ナガバノモウセンゴケは文字どおり葉の長いモウセンゴケで、日本では北海道と尾瀬に自生しています。ヨーロッパやカナダ、ハワイの高地にも分布していますが、日本では限られた地域だけにみられる非常に珍しいモウセンゴケです。栽培品のなかには夏の暑さに、比較的慣れたものもありますが、基本的にすずしい寒冷地を好みます。

イシモチソウ

イシモチソウは茎をのばし、立ち上がるタイプのモウセンゴケです。日本では関東地方以南の乾燥気味の湿原に分布しています。小石を持ち上げる粘着力があることからの名前がつけられました。このモウセンゴケは地下に小さな塊根をつくり、春になると生長をはじめ、初夏には地上部を枯らして、休眠します。

ナガバノイシモチソウ

ナガバノイシモチソウは茎をのばし、立ちあがり、草に寄りかかりながら成長します。関東地方以南の湿地にみられる一年草のモウセンゴケです。白花と赤花のものがあり、赤花は愛知県の一部にしかみることができず、絶滅危惧種になっています。また、近年、形態に差はあまりありませんが、赤花のものは独立種として分類されるようになりました。

ヤツマタモウセンゴケ

ヤツマタモウセンゴケは葉柄をのばしその先に、捕虫葉を広げる大型のモウセンゴケです。葉がよつまたに広がるものをヨツマタモウセンゴケ、ふたまたのものがサスマタモウセンゴケ、やつまたのものをヤツマタモウセンゴケとよびますが、すべてビナタという同じ種類です。オーストラリアとニュージーランドに分布しています。

アフリカナガバノモウセンゴケ

アフリカナガバノモウセンゴケは南アフリカに自生している大型のモウセンゴケです。アフリカナガバノモウセンゴケは世界中で普及しているモウセンゴケで、ハエトリソウと並んで、園芸店やホームセンターで販売されているのがよくみられます。やや寒さに弱いですが、とても丈夫で種からよく増える栽培の容易なモウセンゴケの一つです。

プルチェラ

プルチェラはオーストラリアの南西部の温帯域に自生しているモウセンゴケです。このプルチェラの仲間は、植物体が数センチと小さく、ピグミードロセラとよばれています。このようなピグミードロセラと呼ばれるモウセンゴケ類は冬に小さなムカゴを生長点につけ、繁殖することが特徴です。

ボタニ子

ボタニ子

次はモウセンゴケの生息地を紹介します

モウセンゴケの代表的な生息地

出典:写真AC

自生している湿原自体が開発などで、減ってきているので、モウセンゴケは数を減らしています。地域によってはレッドデータに分類されて、保護されています。そんな貴重な植物であるモウセンゴケをみて、観察してみたい、そんな方に代表的な生息地を紹介します。もちろんのことですが、保護地では採取は禁止されできません。

美しい山野草の宝庫の尾瀬

尾瀬は福島、新潟、群馬にまたがる国立公園の湿原です。ここでは、モウセンゴケ、ナガバノモウセンゴケ、両者の自然交雑種のサジバモウセンゴケが観察できます。ナガバノモウセンゴケは水につかるように、モウセンゴケは湿ったところに、サジバモウセンゴケはその中間にみられます。夏には名前の由来どおりの、緋毛氈を敷いたようなモウセンゴケの姿をみることができます。

成東・東金食虫植物群落

成東・東金食虫植物群落は千葉の山武市と東金市にまたがる天然記念物の湿原です。規模はコンパクトで、木道が整備され、モウセンゴケ、コモウセンゴケ、イシモチソウ、ナガバノイシモチソウが観察できます。初夏から初秋にかけてがモウセンゴケを観察する適期です。また、ミミカキグサ、ムラサキミミカキグサ、タヌキモなどの食虫植物もみられます。

まとめ

モウセンゴケは養分の少ない土地で生きるために、虫を捕え栄養源としていますが、同時に普通の植物と変わらない生態を持っています。現在、開発や温暖化でモウセンゴケは急速に数を減らしています。保護された場所以外でモウセンゴケをみつけても、採取はせずにそっと見守りましょう。

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ひのきのぼう
ライター

ひのきのぼう

植物を愛するさすらい人です。自宅でも様々な植物を栽培しています。

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