タマネギ栽培の流れ
タマネギは涼しい気候を好む野菜です。北海道などの寒い地域では春に植え付けて8月~9月頃収穫していますが、それ以外のほとんどの地域は11月ごろに植え付けて翌年収穫します。収穫時期は品種によって異なりますが、3月~7月ごろです。栽培期間が長く、追肥が大切な野菜なので、ポイントを押さえて肥料を施しましょう。
一般地でのタマネギ栽培スケジュール
作業内容 | 時期 |
種まき | 9月 |
植え付け | 11月 |
追肥(場合によっては土寄せ) | 定植後25日 3月上旬 |
収穫 | 4月~6月(品種により異なる) |
植え付け方法について
タマネギは苗を育てて植え替えるのが一般的です。11月になるとホームセンターや種苗店で苗の販売もされているので、購入してもかまいません。植え付けはマルチシートを使用する方法と使用しない方法があります。メリットやデメリット、その後の流れを踏まえて自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。
マルチシートのメリット
マルチシートを使用すると、雑草が生えにくい、地温が上がりやすい、土が硬くなりにくいといったメリットが得られます。とくに3月以降は気温の上昇にともなって雑草が成長しやすいので、草むしりする必要があります。マルチシートを使用していると、草が生える範囲を限定できるので、この除草作業が楽になります。なお、タマネギ栽培でよく使われるマルチは株間15cm、条間15cmのものです。
マルチシートのデメリット
マルチシートのデメリットとしては、購入のコストがかかる、上手に敷けていないと風で飛ばされてしまう、追肥は一株ずつ行わなければならないといった点があげられます。また使用後のシートはゴミになるので、自治体の指示に従って処分してください。
マルチシートを使用しないときは
マルチシートを使用しなくてもタマネギを育てることは可能です。ただし冬に地温を維持しておくのが難しいため、マルチシートを使った栽培よりも生育が遅れることが多いでしょう。また土がむき出しのため、雨が降った後は硬くなりやすくなります。追肥のタイミングで移植ごてなどを使い、土を混ぜて株元に土寄せをしてください。雑草はこまめに抜いてあげましょう。
タマネギの肥料について
家庭菜園で美味しいタマネギを作るためには、肥料選びが重要です。タマネギのような根菜類は一般的にリン酸肥料を好むといわれています。また独特の香りは硫黄化合物が由来であるため、硫黄の肥料も与えてあげるとよいでしょう。タマネギ栽培におすすめの肥料の一例をご紹介します。
おすすめ肥料①タマネギ専用肥料
特に家庭菜園でタマネギを初めて栽培する方におすすめしたいのは、タマネギや長ネギの専用肥料です。さまざまなメーカーから販売されており、リン酸が多めに含まれている点や効き目が長続きするよう作られている点が特徴としてあげられます。数種類の肥料が混ぜ合わせてあるので、自分で一つ一つ選んで組み合わせる必要がなく、とても便利です。迷ったらぜひ使ってみてください。
おすすめ肥料②熔リン
熔リンは、リン酸を多く含む肥料で、水に溶けにくいという性質があります。一見水に溶けやすいほうがすぐに効いてよさそうですが、実はリン酸は土に触れると土壌中のアルミニウムなどと結合し、植物が吸収できない形になってしまうという特徴をもっています。そのため水に溶けにくいリン酸であれば、植物が根から出す「根酸」と呼ばれる酸によってゆっくり溶けるので、土に触れにくく吸収されやすいのです。
他にもメリットが
熔リンにはリン酸以外にマグネシウム(苦土)も含まれています。マグネシウムは植物のリン酸吸収を助けてくれたり、葉緑体のもとになったりと植物にとって重要な栄養素でもあります。またアルカリ資材なので土壌の酸度矯正にも役立つでしょう。ただし熔リンには速効性はないため、その点は留意して使用してください。
おすすめ肥料③硫安
硫安は窒素成分を豊富に含み、速効性の高い肥料としても知られています。硫安は窒素だけでなく硫黄も含んでおり、タマネギや長ネギの栽培でも相性のよい肥料です。タマネギや長ネギの独特の辛味や香りは硫黄化合物によるもので、硫黄が不足すると食味にも影響があるといわれています。ただし硫安は非常に高い割合で窒素分を有しているので、やりすぎは禁物です。
次のページでは、タマネギ栽培の元肥と追肥、肥料を施す際の注意点についてご紹介します。