玉ねぎの食べ方の歴史
玉ねぎの歴史は古く、紀元前の古代エジプトやメソポタミア地域では、栄養価の高い食材として料理や薬に利用されてきました。日本へ入ってきたのは江戸時代で、このときは観賞用でした。食材として使用されるようになったのは明治時代といわれており、最初に玉ねぎ栽培をした地域として北海道説と大阪南部(泉州地域)説の2説があります。
新玉ねぎと普通の玉ねぎとの違いと見分け方
畑に植え付けてから春に収穫した玉ねぎは「新玉ねぎ」と呼ばれており、外皮が白く表面に緑色の縦縞があるのが特徴です。一方普通の玉ねぎは、秋に収穫後、1週間ほど風通しのよい軒下に乾燥させたもので、一般的に「黄玉ねぎ」とも呼ばれています。また紫色をした「紫玉ねぎ」もあり、こちらも春時期だけ「新玉ねぎ」として出回っています(見分け方は普通の玉ねぎと一緒です)。
新玉ねぎ | 普通の玉ねぎ | |
時期(旬) | 3月~4月 | 10月~11月 |
外皮 | 全体:白色 上部:緑または赤の縦縞 |
薄い茶色または紫色 |
保存 | 冷蔵庫 | 風通しのよい軒下など |
日持ち | 1週間 | 3ヵ月以上 |
水分 | 多い | 少し多い |
糖度 | 多い | 少し多い |
栄養 (硫化アリル) |
少ない | 多い |
栄養 (ケルセチン) |
少ない | 多い |
- 玉ねぎの辛味を楽しみたい場合、新玉ねぎがおすすめ
- 玉ねぎのコクと甘味を楽しみたい場合は、普通の玉ねぎがおすすめ
新玉ねぎの食べ方5選
新玉ねぎのサラダ
みずみずしい新玉ねぎを美味しく食べる料理としては、サラダがおすすめです。辛味成分である硫化アリルは、血液をきれいにし動脈硬化や血栓の予防に役立ちます。薄切りにした新玉ねぎを水に短時間つけておくと、シャッキとした歯ごたえが加わります。とてもシンプルな料理で冷蔵庫保存もできますが、1日しか日持ちしません。
材料(2人分)
- 新玉ねぎ:1玉
- お好みのドレッシングやしょう油:適量
作り方
- 新玉ねぎの外皮を剥がす
- 半分に切り、スライサーなどで薄切りにする
- 2を水に入れ、冷蔵庫で10分冷やす
- 水気を切って器に盛りつける
ボタニ子
水に長時間つけておくと、栄養を逃がしてしまうので注意しましょう。
新玉ねぎのドレッシング
新玉ねぎの辛味が苦手なときは、ドレッシングにしてみましょう。みじん切りや、すりおろした新玉ねぎを油や調味料と一緒に混ぜます。サラダなどにかけることで、硫化アリルを体内に取り込み、少しピリッとしたを食感を楽しめます。作り置きして冷蔵庫で保存するときは、1週間で使い切るようにしましょう。
材料(1人分)
- 新玉ねぎ:1/2個
- 油:50cc
- 酢:25cc
- 砂糖:大さじ1
- 塩:少々
作り方
- 新玉ねぎをみじん切りまたはすりおろしにする
- ボウルに油、酢、砂糖、塩を入れ混ぜる
- 1を2に加え、混ぜる
新玉ねぎの丸ごと煮
手ごろな大きさの新玉ねぎなら、切らずにそのまま出汁などに漬け込んでスープ煮にしてみましょう。じっくり時間をかけて煮込むと、辛味成分である硫化アリルは破壊され、とろっとした甘味へと変化します。和風なら昆布やカツオ出汁、洋風ならコンソメ、中華・エスニック風なら牛骨や鶏ガラなど、さまざまな味が楽しめます。
材料(2人分)
- 新玉ねぎ:2個
- 顆粒だし(和風・コンソメ・中華など):適量
作り方
- 新玉ねぎを洗い、上部に十字の切り込みを入れる
- 新玉ねぎが浸るまで水を入れる
- ベースとなる出汁を入れる
- 新玉ねぎが軟らかくなるまで中火で20分煮る
新玉ねぎの天ぷら
天ぷらは切った玉ねぎを水で溶いた小麦粉に潜らせ油で揚げるだけと簡単です。イカリングのようにバラバラで揚げたものや、爪楊枝で串刺しにしてから揚げたもの、ほかの野菜と混ぜて揚げたかき揚げなど、見た目による違いも楽しめます。
材料(1~2人分)
- 新玉ねぎ:1玉
- 天ぷら粉:適量
- 水:適量
- 揚げ油:適量
作り方
- 新玉ねぎの外皮を剥がし、輪切りにする
- 小麦粉(または片栗粉)に水を少しずつ加え、好みの軟らかさにする
- 輪切りにした新玉ねぎを2にくぐらせる
- 180℃の油で、表面がきつね色になるまで揚げる
ボタニ子
使う油もさまざまで、東日本ではごま油を使うことも多いです。
新玉ねぎのスコーン
スコーンというと、イギリスのティータイムに出てくる定番の焼き菓子です。北アメリカではベーコンや玉ねぎ、ドライフルーツなどを混ぜたスコーンが、朝食として食べられています。ざく切りにした玉ねぎの甘さと食感がアクセントとなり、ベーコンなど少し塩味が効いているのが特徴です。
材料(10個分)
- 薄力粉:200g
- ベーキングパウダー:小さじ2
- 牛乳:100cc
- 新玉ねぎ(中玉):1玉
- ベーコン:1枚
作り方
- ベーコンを細切りにし、新玉ねぎを粗目のみじん切りにする
- フライパンに油を入れ、1.を軽く炒める
- ボウルに振るった薄力粉とベーキングパウダーを入れる
- 3に牛乳を少しずつ加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜる
- 4をひとまとめにし、冷蔵庫で1時間休ませる
- 好きな形に成型し、180℃に予熱したオーブンに入れ、約20分焼く
普通の玉ねぎ食べ方3選
玉ねぎのバター醤油焼き
玉ねぎを長時間炒めると水分が蒸発し、色が飴色に変化します。栄養的には甘味成分である糖度が増幅します。秋に旬を迎える玉ねぎは、春が旬の新玉ねぎと違って、辛味成分である硫化アリルが多いため、生で食べるのは不向きです。しかし、糖度は新玉ねぎと変わらないため、煮たり焼いたりして食べるのに適しています。
材料(1人分)
- 玉ねぎ(中玉):1玉
- バター:5g
- 醤油:大さじ1
作り方
- 玉ねぎの外皮を剥がし、輪切りにする
- フライパンにバターを敷き、玉ねぎを入れて中火で1分焼く
- 焼き色がついたら、反対面も1分焼く
- 醤油を回し掛けして、玉ねぎにからませる
ボタニ子
焼くときに、塩を少し加えると、甘味がアップします。
玉ねぎのキーマカレー
キーマカレーの「キーマ」とは、インドの言葉で「ひき肉」という意味です。みじん切りにして長時間炒めた飴色の玉ねぎの甘さと、ひき肉の香ばしさが特徴のキーマカレーは、インドだけでなく、世界中の人達に愛されています。玉ねぎとひき肉に、細かく切ったいろいろな野菜や数種類の香辛料を使って調理するので、家庭それぞれのレシピがあります。アレンジして楽しみましょう。
材料(3人分)
- 玉ねぎ(大玉):1玉
- ひき肉:300g
- 人参:1/2個
- ミートソースの缶:1缶
- カレールー:3個
作り方
- 玉ねぎと人参をみじん切りにする
- フライパンに油を入れ、豚ひき肉を炒める
- 2にミートソースを入れ、ボウルに移す
- フライパンに油を入れ、玉ねぎを入れて飴色に変わるまで炒める
- 4に人参を加えて炒める
- 3を加えて混ぜ、いったん火を止める
- カレールーを溶かし、とろみがつくまで煮詰める
玉ねぎの皮茶
近年の研究で、玉ねぎの皮にはポリフェノールの一種であるケルセチンが豊富に含まれており、健康茶として親しまれるようになってきました。玉ねぎの皮をお茶として楽しむ場合、一番外側の皮は薬品や汚れなどが付着しているため取り除きます。冷蔵庫での保存は3日間ですが、苦みが増してくるので飲む分だけ作りましょう。
材料(1~2人分)
- 玉ねぎの皮:1玉分
- 蜂蜜または砂糖:適量
作り方
- 玉ねぎ1玉を半分に切り、一番外側の皮を取り除く
- 切り分けた玉ねぎをザルなどに並べ、薄い茶色に変わるまで、天日干しにする
- 適量の水を鍋に入れ、干した玉ねぎを入れて煮出す
- 湯の色が変わったら、茶こしで越す
- 器に入れ、蜂蜜または砂糖で甘味を加える
ボタニ子
天日干しは、晴天の日が続くときを選びましょう
食べ方に応じて玉ねぎを使い分けよう
身近な野菜の玉ねぎは春には旬を迎えた「新玉ねぎ」と、秋時期に収穫し貯蔵された「普通の玉ねぎ」両方が市場に出回ります。見分け方もわかりやすいので、辛味成分が少ない「新玉ねぎ」は生で、辛味成分が多い「普通の玉ねぎ」は加熱調理し、辛味と甘味それぞれの違いをいかした玉ねぎ料理を楽しんでみましょう。
出典:写真AC