ホスタ(ギボウシ)は、カラーリーフとして抜群の人気を誇る多年草です。ボリュームのある葉の質感と色合いが美しく、洋風・和風どちらの庭にもほどよく調和し、半日陰を魅力的に演出してくれます。初夏から夏に、淡い藤色の花がうつむき加減に咲きます。
園芸部類 | 草花、山野草 |
形態 | 落葉性多年草 |
樹高・草丈 | 20cm~180cm |
花の色 | 薄紫、白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | シェードガーデン |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ホスタは、オーストリアの植物学者ホスタの名前にちなんでいます。和名のギボウシは、寺院や橋の欄干などに見られるタマネギ形の伝統的な装飾「擬宝珠(ぎぼうしゅ、ぎぼし)」に蕾の形が似ていることからつけられました。
ホスタは日本などアジアに多く自生する山野草です。シーボルトによってヨーロッパに持ち込まれ、多くの園芸品種が生まれました。明るい日陰を好み、長く伸びた花茎に薄紫色の小さな花を総状に付けます。根元からまとまって伸びる葉の色や斑入り加減は品種によってさまざまで、黄緑色、濃い緑、青色系があります。地上部は冬前に枯れ、根茎で冬を越します。
パトリオットは濃い緑の葉にくっきりした白い斑が入り、花はピンク色がかった薄紫色です。1997年のホスタオブザイヤー(アメリカホスタ協会)に選ばれた品種で、現在も根強い人気を誇っています。
ハルシオンは斑の入らないシンプルなブルーグレーの葉が魅力です。青色系の人気品種で、花は白っぽい薄紫色、サイズは中小型でコンパクトに育ちます。
植え付け時期 | 2月~3月 |
植え替え(株分け)の時期 | 2月 |
生育時期 | 3月~11月 |
花が咲く時期/開花時期 | 6月~8月頃 |
ホスタの植え付け・植え替え・株分け作業は、真冬を避けた11月~3月初旬までの休眠期に行うのがよいでしょう。最適な時期は、芽が動き始める前の2月中旬~3月初旬頃です。
ホスタは庭植え、鉢植えのどちらでも育てられます。生育がすすむと葉のボリュームが横に増え、花茎は長く伸びます。株間は20cmほどあけてください。他のカラーリーフや異なる品種を植え合わせるとグリーンの群生美が楽しめるでしょう。
ホスタは明るい日陰で育てます。日陰でも育ちますが、花芽をつけるには日差しが必要です。午前中に数時間日の当たる場所か、木漏れ日などが届く半日陰が適しています。一方、西日などの強烈な日差しを浴び続けると葉焼けを起こすことがあるので、気を付けましょう。
ホスタを植える場所は、水はけと水持ちのよい土地が適しています。鉢植えには、市販の草花用培養土か、赤玉土と腐葉土を7:3程度の割合で混ぜ合わせた土を使います。
庭植えのホスタは、植え付け時以外は水やりは必要なく、自然の雨水だけで育ちます。日照り続きのときは水やりしてください。鉢植えには、土の表面が乾いたらたっぷり水やりします。冬は控えめにしましょう。
肥料は、植え付け時に緩効性肥料を与えます。ホスタは少ない肥料で育つ植物です。追肥は、3月下旬~5月までの間に置き肥を1回(鉢植えには2回)、秋に1回おこないます。1回分の肥料は少なめで十分です。
気を付けたい害虫はアブラムシで、新芽や蕾につくことがあります。早めに見つけて洗い流すか、食品成分由来の殺虫剤などをスプレーして駆除しましょう。アブラムシ退治は、ウイルス病の予防にもなります。
病気に強い丈夫な植物ですが、ごくまれにウイルス病を発症します。葉に斑点ができてやがて縮れてしまう病気です。感染が広がらないよう、早めに見つけて葉を摘み取ってください。
ホスタは長い花茎に短い花柄のついた花が総状にあつまり、下から順に咲いていきます。すべての花が咲き終わったときに、根元近くで花茎を剪定しましょう。
ホスタの種は入手しにくく、種まきよりも苗から育て始めるのが一般的です。植え付け適期が近づくと、ホームセンターや園芸店で、ポット苗や鉢植えが売り出されます。若苗の場合、その品種の特徴が出るのが遅いことがあります。斑入りなどの特徴がすでに表れている苗を買うと安心です。
葉が密集してきたら、植え替えてください。庭植えは数年に1回、株分けを兼ねて植え替えます。鉢植えは1~2年に1回が目安で、根に付いた古い土を払って新しい用土で育てましょう。
半日陰で育てていれば、夏越し対策は特に必要ありません。鉢植えは、西日の当たる場所に置かないように気を付けてください。
ホスタは晩秋に葉が枯れます。根元で剪定し、土の表面に枯葉が残らないように整理しましょう。耐寒性があるので、雪の降る地域でも冬越しできます。鉢植えは、寒冷地では軒下に取り込んでください。
ホスタは株分けで増やせます。根が大きくなった頃に、休眠期に入った株を掘り上げて株分けします。生育が悪くなるので、小さく分けすぎないようにしましょう。