アヤメは紫色や白色、黄色や青色の花を咲かせる、日本が原産の多年草です。約60cmまで成長し、5月〜6月の開花時期には、花弁が垂れ下がった特徴的な咲き姿を楽しめます。
園芸部類 | 草花、山野草 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 20cm〜60cm |
花の色 | 白、紫、黄、青 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 落葉性、初心者向け、盆栽 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
日本が原産のアヤメは「菖蒲」や「文目」とも表記され、さまざまな園芸品種が販売されています。「花被片(かひへん)」と呼ばれる花弁をもち、下に垂れる「外花被片」と内側に直立する「内花被片」が合わさった特徴的な花弁が魅力です。
ヒオウギアヤメは、淡い青色の花を咲かせる品種です。優しい花色が魅力で、他の植物と寄せ植えにしたり、切り花にしたりとさまざまな楽しみ方ができます。
黄菖蒲は名前のとおり鮮やかな黄色の花を咲かせます。アヤメの開花時期は5月〜6月ですが、黄菖蒲の開花はやや遅く、他のアヤメが枯れ始める頃に開花するのが特徴です。
植え付け時期 | 2月〜3月、6月〜7月 |
植え替えの時期 | 2月〜3月、6月〜7月、10月 |
肥料の時期 | 3月、9月 |
剪定の時期 | 5月〜6月 |
花が咲く時期/開花時期 | 5月〜6月 |
アヤメは地植えでも鉢植えでも育てられます。地植えにする場合は、土を10cm〜20cmほど盛ってから植え付けるのがポイントです。プランターや鉢植えにする場合は、根が深くまで伸びるので深さのある鉢を使用してください。成長期になると葉がたくさん茂るので、15cm〜20cmほど株間をあけて植え付けておくと安心です。
日当たりと風通しのよい場所でアヤメを管理しましょう。日当たりの悪い場所で育てると、茎だけが間延びして花付きが悪くなってしまいます。アヤメは多湿に弱く、ジメジメとした風通しの悪い場所で育てると、病害虫被害を受けてしまう恐れがあるため注意が必要です。
アヤメは、排水性の高い用土を使用して育ててください。市販されている草花用培養土を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土を腐葉土をよく混ぜ込んだ用土を使用してください。盆栽仕立てにする場合は、鹿沼土と赤玉を合わせた用土や、苔玉を使用するのがおすすめです。
地植えでアヤメを育てている場合は、降雨のみで十分なため水やりの必要はありません。多湿を嫌うため、やや乾燥気味に育てるのがポイントです。鉢植えの場合は、土の表面が乾ききってから水を与えましょう。受け皿に残った水はすぐに捨てて、土が湿ったままの状態になるのを防いでください。
肥料は、3月と9月に「カリ・チッ素・リン酸」が同じ分量配合されている固形肥料を、規定の分量よりも少なめにして株元に与えてください。地植えの場合は、植え付けの用土に元肥として緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおいても構いません。肥料の与えすぎは、肥料やけの原因となってしまうので注意しましょう。
ニカメイチュウは「ニカメイガ」とも呼ばれている害虫です。幼虫の時期はアヤメの茎の中に侵入したり、葉にくっついたりしてアヤメを食害します。ニカメイチュウの被害にあった部分は、白く粉をふいたようになり、栄養分が奪われて枯れていくのが特徴です。幼虫が発生する前に、殺虫剤をまいて予防しておきましょう。
灰色カビ病は、梅雨時期に発生しやすいカビが原因の病気です。感染した部分が灰色の楕円形状に変色し、光合成を妨げてしまいます。感染した部分は薬剤を散布しても治せないので、他の部分への感染を防ぐためにも、早めに切り取って処分してください。風通しのよい場所で育て、多湿にならないように管理すると予防ができます。
花後に花がらを放っておくと、カビが発生する原因となってしまいます。そのため、花後はその都度花がら摘みを行いながら育てましょう。
苗の状態で購入する場合は、葉につやがあり、病害虫被害を受けていない苗を選びましょう。葉が長すぎたり、黄色く変色したりしている苗は避けてください。
地植えの場合は植え替えの必要はありません。鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために1年〜2年に1回は植え替えを行います。根を傷つけないように優しく掘り起こし、根についている古い用土を落としてから、ひと回り大きな鉢に植え替えていきましょう。
開花が終わった茎を残しておくとアヤメが弱ってしまう原因となるため、 開花時期にあたる5月〜6月にかけて、適度に剪定を行いながら育てましょう。花茎から切り戻し剪定をして、次の花を咲かせるための栄養分を温存できるようにします。葉を剪定してしまうと、光合成ができなくなり枯れてしまう恐れがあるので、剪定するのは茎だけにしてください。
アヤメは地下茎を伸ばして増えていくため、大きく成長した株を掘り起こして株分けで増やしていきましょう。株分けの適期は2月〜3月のため、植え付けや植え替えと同時に行うのがおすすめです。株分け後は水切れを起こさないように注意して、完全に根付くまでは風通しのよい日陰で管理してください。