園芸部類 | 多肉植物 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 2~15cm |
花の色 | 白 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 普通 |
栽培適温 | 5~20℃ |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
属名のハオルチアは、英国の植物学者エイドリアン ハーディ ハワース(Adrian H. Haworth)の名前にちなんだとされています。ハオルチアの代表ともいえるオブツーサの名前は、英語のobtuse(鈍形の、鈍い)が由来だといわれています。
ハオルチア属の中でもオブツーサは、光を集めるための葉緑体のない「窓」と呼ばれる組織が透けて見えるのが特徴です。透明な窓が光を受けて輝いてみえ、ロゼット状に育つ葉姿が美しいと人気があります。
「オブツーサ ・トゥルンカータ」と通称で呼ばれることもあり、先端が丸みを帯びて、ふっくらしているのが特徴の代表品種です。
黒オブツーサ、あるいは紫オブツーサと呼ばれます。葉の色は季節により多少変化しますが、存在感にあふれる人気の高いオブツーサです。
オブツーサの栽培適温は15~20℃です。春(3~5月)と秋(9~10月)はオブツーサの成長する時期で、中心部分の柔らかい葉が広がり、花芽を出して開花します。
オブツーサは、気温が栽培適温より上昇する夏と、低下する冬は徐々に成長が鈍化し、休眠します。
オブツーサの栽培はそれほど難しくありません。オブツーサは砂漠で生き抜く多肉植物ですが、日本でも栽培方法を工夫することで、美しい葉姿を観賞できます。
季節ごとに温度差が激しい日本でオブツーサを栽培するには、鉢植えで育てるのが一般的です。鉢植えなら日の当て方や温度管理が調節でき、オブツーサの鉢を室内に取り込むだけで、夏越しや冬越しが可能です。
オブツーサは、同じハオルチアの仲間と寄せ植えにすると、日常管理がシンプルで、初心者の方でもいろいろな多肉植物を楽しめます。オブツーサは草丈が低いので、鉢の前面に植えると奥行きや立体感のある寄せ植えになるでしょう。
自生地でのオブツーサは砂や岩の多い土地で育ちます。日本では自然環境が大きく異なるため、地植えには向きません。栽培上級者や長年の愛好家の方が、庭の石の間や温室で地植えを楽しむことはあるようです。
オブツーサは屋内外で栽培可能ですが、屋外だと梅雨の時期には水分過多になったり、夏の直射日光で葉焼けしたりする可能性があります。特に初心者の方は、室内でのオブツーサ栽培がおすすめです。
オブツーサは明るい日陰で育てましょう。直射日光のような強光は不要ですが、日光が不足すると徒長します。室内栽培の場合は、午前中の日が数時間あたる家の東側、あるいは南側の窓に置くのが理想的です。また日光の当てすぎは葉焼けを起こし、枯れる場合もありますので注意しましょう。
市販の多肉植物用の土でも十分育ちますが、自分で作る場合は市販用土8:赤玉土2、もしくは赤玉土2:鹿沼土2:川砂2:ピートモス2:くん炭2で配合します。
春と秋は土が乾いたら、1週間に1回株元にたっぷりと水を与えます。夏は成長が鈍化しますので10日に1回でいいでしょう。冬はオブツーサが休眠する時期なので、水やりは2~3週間に1回程度に減らしましょう。オブツーサは水を与えすぎると腐ることもあり、枯れる原因となるので注意が必要です。
春と秋に緩効性肥料を与えるか、速効性液体肥料を2週間に1回程度与えます。肥料は少なめがよいです。
春~秋にカイガラムシがつく可能性があります。オブツーサの美観をそこね、養分を吸い正常に育ちません。すす病の原因にもなるため、早期に発見して、こすり取るか薬剤で駆除しましょう。
オブツーサは病気の心配があまりない多肉植物ですが、多湿で育てると根腐病を発生する可能性があります。普段から風通しのよい場所で育て、天気がいい日に日光にあてて予防します。
オブツーサをはじめハオルチア属の植物は、別々の遺伝子を持つ2株を受粉させて種を採取します。オブツーサの花後、細い棒や釣り糸を5cmほど使い、雄しべの花粉を釣り糸に付着させましょう。次に別のオブツーサの雌株の先端部分に花粉を付着させておきます。さやの先が薄皮で覆われれば、さやの中に種ができています。
オブツーサの種が採れたら、1週間~1ヶ月ほど十分に乾燥させ、夏と冬を避けて種をまいて増やせます。3号鉢に用土を入れ、種をまき、薄く土をかけるのがおすすめです。用土の中間に化成肥料を少しだけ混ぜるのもよく、鉢ごと腰水で水分をあたえ、間接光で発芽を待ちましょう。
オブツーサは苗からも育てることができます。「抜き苗」と呼ばれることもあり、園芸店で選ぶ場合には株が生き生きとして、葉に透明感のあるものがおすすめです。病害虫がついていないかも確認しましょう。
鉢底穴から根がのぞいていたり、1~2年間植え替えをしていなかったりする場合には植え替えましょう。植え替え適期は春か秋です。
鉢からオブツーサを根鉢ごとていねいに取り出し、枯れた葉を取り除き、古い根を整理しましょう。親株に子株ができていたら取り外して、別に植え付けて増やせます。鉢に半分ほど用土を入れたら適量の緩効性肥料をおき、さらに用土を加え親株を植え替えます。用土を押さえつけないのがコツです。
オブツーサは株の中央から花芽を出し、細い茎を伸ばします。剪定せずに育てれば、春~初夏にかけて白くて小さい花が開花するでしょう。花後、茎が枯れたら取り除いておきましょう。
オブツーサは30℃程度の耐暑性を備えていますが、直射日光は当てず、カーテン越しに太陽光の入る窓辺に置きます。蒸れ防止のため、風通しのよい場所に置き、エアコンの送風が直接あたらないように注意しましょう。
オブツーサは霜に当てないことが冬越しのポイントです。冬は気温が5℃以下になる前に、室内に取り込んで育てましょう。冬の窓辺は夕方より一気に気温が下がるため、早めにカーテンをひきます。
オブツーサの株元に子株ができていたら、株分けすることで増やせます。適期は春と秋で、子株は手ではずしたり、ナイフで切り取ったりしてから鉢に植え付けます。水やりは数日後に行いましょう。植え替え作業と同時に行うと手間のかからない増やし方です。
オブツーサの剪定時に出た葉を利用して「葉挿し」で増やせます。葉挿し用の葉を用土に寝かせると発根するので、土にくぼみをつくって根を落ちつかせ、そっと土をかぶせます。葉挿しは根がでるまで、数週間から数ヶ月かかることもあります。成功率が低いので、株分けのほうがおすすめです。
写真:写真AC