キャットミントは名前に「ミント」とついていますが、主に観賞用として栽培される植物です。ネペタ・ラセモーサ(Nepeta racemosa)とネペタ・ネペテラ(N.nepetella)が自然交配して誕生した品種といわれています。狭義では「Nepeta × faassenii」をキャットミントとしますが、同じくネペタ属に分類される種類を総称として「キャットミント」と呼びます。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 20~70cm |
花の色 | ピンク、青紫、白 |
耐寒性 | 高い |
耐暑性 | 蒸れに弱い |
特性・用途 | 鑑賞、グランドカバー |
栽培難易度 | ★★★★★ |
キャットミントの名前の由来は「猫が好む香り」を持つことにちなんでいます。キャットミントに含まれるネペタラクトンという物質の香りを猫が好むとされています。数多くの品種が存在するミントですが、この物質を含むミントは限られています。
キャットミントは主には観賞用ですが、ハーブとしても使われます。主な効果・効能は解熱、鎮痛、消炎作用で、他のハーブと同じくハーブティーやハーブバス、料理などに古くから用いられてきました。
キャットニップは、キャットミントと総称される品種の中でも代表的なものです。猫がマタタビの香りを嗅いだようにうっとりとする香りを持ちます。花の色は白で、別名は「イヌハッカ」「チクマハッカ」です。
ジャイアントキャットミントは、名前のとおりに大きく成長します。草丈は最大で100cmほどです。目隠しや花壇の奥行きを出すのに適しています。
キャットミントブルードリームは、目の覚めるような美しい青い花を咲かせます。キャットミントの中でも花が大きく、観賞用として高い人気があります。
キャットミントピンクドリームは、キャットミントブルードリームの色違いのような品種です。大きく美しいピンク色の花をつけます。花期も春頃から秋の終わりまでと長く、庭や寄せ植えを彩ります。
植え付け時期 | 3~4月または9~11月 |
植え替えの時期 | 3~4月または9~11月 |
刈り込みの時期 | 5~6月 |
収穫時期 | 開花前の茎を選んで収穫する |
キャットミントは蒸れや暑さによって成育スピードが一時的に落ちるため、夏に花を咲かせるのは冷涼地が主になります。また花期が非常に長いのも魅力です。花が咲いている間はいつでも収穫できます。香りを楽しみたい場合は、花が開く前の茎を選んで根元から刈り取るとよいでしょう。
キャットミントは管理がしやすく複雑な手入れもほとんど必要ありません。そのため一年を通じて栽培しやすい植物といえるでしょう。新しい種をまいたり、苗を植え付ける場合は春を迎えてから行います。
キャットミントは耐寒性も高いので、庭植えや地植えがしやすい植物です。関西以西の地域であれば地植えのまま冬越しも可能です。ただし関西以西の夏は、暑さによる蒸れが原因で枯れやすいです。適切な夏越しの準備をしましょう。
キャットミントを関西以東の寒冷地などで育てる場合は、鉢植えやプランターなどでの栽培がおすすめです。冬の間は鉢を室内に移動させましょう。
キャットミントは成育旺盛で強健な植物です。育てる場所もそれほど選ばず順調に大きくなるでしょう。ただし暑さによる蒸れは枯れの原因となります。風通しがよく、水はけのよい場所がベストです。鉢植えの場合も風通しがよい、日の当たる場所に置きましょう。
キャットミントは水はけのよい土を好みます。地植えや庭植えの場合は、赤玉土:鹿沼土:腐葉土=4:4:3となるようにブレンドした用土を使用します。またキャットミントは酸性の土壌が苦手なので、あらかじめ苦土石灰などを土に混ぜ込み、pHを上げておくとよいでしょう。鉢植えの場合はハーブ栽培用にブレンドされた土を使うのが便利です。
キャットミントは強健な植物なので、乾燥にもある程度耐えられます。地植えや庭植えの場合は定期的な水やりは不要です。あまりに乾燥した日が続いたときは、地中深くまで水をしみこませるようなイメージで、時間をかけてたっぷり水やりします。
キャットミントは乾燥気味に管理します。鉢植えなどで育てる場合も、毎日たっぷりと水やりするよりは、土の状態を観察し乾燥していたらたっぷりと時間をかけて水やりするのがよいでしょう。
キャットミントは荒廃した土地でも育つため、過度な肥料は必要ありません。地植えの場合は、植え付けの際に土に緩効性肥料を混ぜ込んでおく程度で十分です。鉢植えの際は、春と秋に根元に緩効性肥料をパラパラとまいて置き肥します。成育が落ち込んでいるときは液体肥料などを与えるとよいでしょう。
キャットミントは、これといった害虫対策は必要ありません。病気は風通しが悪いときに灰色カビ病などが発生する恐れがあります。込み入ってきたり枯れたりしている枝は適宜剪定し、風通しがよくなるように管理しましょう。病気の広がり具合をみて必要であれば専用の殺菌剤などを使用しても構いません。
キャットミントの花がらは適宜切り取ります。いつまでも枯れた花を残しておくと風通しを悪くし、枯れる原因となります。花がらを適宜切り取ることで新しい花を咲かせやすくなり、花期を長引かせるコツとなります。
キャットミントの種まきに適した時期は4~5月です。ハーブ用の土の上にパラパラと種をまいたあと、うっすらと上から土をかぶせ日当たりのよい場所で管理します。
鉢植えのキャットミントは根詰まりを起こしやすいです。根詰まりを起こすと、途端に成長速度が落ちます。鉢の中を観察し必要であれば植え替えを行いましょう。1~2年おきにひと回りからふた回り大きな鉢に植え替えます。適した季節は春と秋です。植え替えの際には、根を半分の大きさに切り詰めます。このときに苗を半分にわけて株分けしても構いません。
キャットのミントの花がらは適宜切り取ります。また、枯れている茎や株の中で込み入っている箇所は適宜根元から切り取ります。
夏越しの準備は梅雨前に行います。梅雨による蒸れとそのあとの夏の暑さによる蒸れを防ぐために、地上部から10~20cmを残して刈り込んでしまいましょう。
キャットミントの花が完全に終わったら冬越しの準備を行います。地面の際にあわせて地上部に出ている部分はすべて切り落とします。無事に冬を越すことができれば、次の年の春に再び新しい芽が出てきます。
大きくなったキャットミントの株を株分けすることも可能です。温暖な地域では冬にも行えます。挿し木の方法もかんたんで、切り取った茎を水挿ししておくだけでやがて根が出てくるでしょう。根が出たものを新しく鉢や地面に植えると増やせます。