ネペタはどんな花?
ネペタとは、属名です。ネペタ属は、世界中の温帯に約250種が分布するほど種類がたくさんあります。また、ネペタ属の中で一番知られているのが、ネペタ・ファーセニー(Nepeta faassenii)で、別名キャットミントと呼ばれています。同じシソ科のカラミンサは、キャットミントと間違えて呼ばれるほどネペタ属に特徴が似ています。今回は、カラミンサとの見分け方とネペタ属の育て方についてご紹介します。
ネペタの基本情報
学名 | Nepeta × faassenii |
英名 | Cat mint |
別名 | キャットミント、ブルーキャットミント、ネペタ・ファーセニー |
科名 | シソ科 |
属名 | イヌハッカ属(ネペタ属) |
形態 | 多年草 |
原産地 | 交雑種(栽培地での自然交雑) |
特性 | 半常緑性 |
草丈 | 20cm~80cm |
開花期 | 4月~10月(高温期を除く) |
花色 | ブルー、紫、ピンク、白など |
日照 | 日なた~半日蔭 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い(蒸れには弱い) |
ネペタの特徴
種類が豊富なネペタの中でも、一番よく知られているのがネペタ・ファーセニー(Nepeta faassenii)です。ネペタ・ファーセニーは、別名の「キャットミント」で流通されています。そのため、「キャットミント」の呼称のほうが一般的です。また、ネペタ属であれば、ネペタ・ファーセニー以外のものでも、「キャットミント」と呼ばれることがあります。
特徴①栽培地での自然交雑
ネペタ・ファーセニー(Nepeta faassenii)は、栽培地で自然交雑して生まれました。交配親は2つ説があり、どちらが正しいかは不明です。ひとつは、ネペタ・ネペテラ (N. nepetella)とネペタ・ムッシーニ(N. mussinii)。もうひとつは、ネペタ・ネペテラとネペタ・ラセモーサ(N. racemosa)です。ネペタ・ネペテラの原産地は、ヨーロッパと北アフリカです。ネペタ・ムッシーニとネペタ・ラセモーサの原産地は、イランとトルコです。
特徴②カラフルな印象の植物
ネペタは、4月~10月にブルー・紫・ピンク・白など色とりどりの花を咲かせます。また、シソ科ゆえに、シソの花のように、たくさんの穂状の花が咲くのが特徴です。ネペタは観賞用として栽培され、他の植物との寄せ植えにも最適です。
ネペタとカラミンサの違いや見分け方
ネペタは、カラミンサによく似ているため、ひと目見ただけでは違いが分かりません。なぜならば、ネペタとカラミンサは、シソ科の植物だからです。しかし、属が違います。ネペタはイヌハッカ属に対して、カラミンサはトウバナ属です。また、開花時期で見分けることができます。種類にもよりますが、ネペタは4月~10月ですが、カラミンサは5月~9月です。見分け方としては、少し肌寒さが残る4月に咲けばネペタ、初夏の5月に咲き始めればカラミンサです。また、一番分かりやすい見分け方は香りの違いです。ネペタは甘い香りがしますが、カラミンサはミントの香りがします。
ネペタの花言葉
ネペタの花言葉は、「自由な愛」と「無邪気」です。別名にある「キャットミント」から、猫の自由気ままな印象が、花言葉の由来になっています。
ネペタの育て方
ネペタは丈夫なので、初心者にとって育てやすい植物です。庭植えでの育て方と、鉢植えでの育て方についても触れていきます。
育て方①場所
ネペタは成長が早く、強い性質のため、水はけのよい場所であればどのような場所でも育ちます。ただし、湿気に弱いため、水のあげすぎや梅雨の季節には蒸れないよう注意が必要です。
育て方②用土
庭植えの用土
ネペタは、酸性の土壌を好みません。そのため、植える前に、苦土石灰を庭1平方メートルあたりに対して、コップ1杯(約100g)ほど混ぜ込みます。その後、2週間かけて、苦土石灰が用土に馴染むのを待ちます。
鉢植えの用土
市販の花と野菜の培養土、もしくはハーブ用の土を使います。用土を自作するときは、赤玉土(小粒)4、鹿沼土3、腐葉土3の割合を混ぜて使います。
育て方③植え付けと植え替え
種から育てた場合
種は、4月~5月頃にまきます。花壇や鉢に移すタイミングは、本葉が6枚~7枚になり、ポットに根が回るころです。
苗から育てた場合
苗は、3月〜4月と9月下旬〜11月上旬頃に植えるのが適期です。3月~4月の春に苗を植えつけるほうが、よく成長するため栽培も簡単です。
庭植えの植え替え
芽数が増え隙間無く混み合ってきたり、株の老化で生育が悪くなったら植え替えます。時期は、春か秋に行います。
鉢植えの植え替え
根詰まりしやすいため、2年ごとに植え替えます。時期は、3月か4月に行います。植え替え方法は、根鉢を崩し、根を半分くらいに切り詰めます。芽数が多い場合は、株分けします。
育て方④水やり
庭植えの水やりは、雨水で十分なため、ほとんど必要ありません。ただし、夏のように乾燥する日には、水が地中深くまで染みこむように水やりします。鉢植えの場合、ネペタは乾燥を好むため、用土が乾いてから少し時間をおいた後に、たっぷりと水を与えます。
育て方⑤肥料
庭植えの場合
植え付けの時に、用土に腐葉土や緩行性化成肥料を混ぜておけば大丈夫です。ネペタはやせ地で育つほど強い植物なため、肥料をあげ過ぎてしまうと、軟弱に育ち倒れてしまいます。また、蒸れて病気になりやすくなります。
鉢植えの場合
市販の草花用の培養土を使用する場合は、培養土に元肥が入っています。そのため、植え付けをして1ヶ月後、夏場以外は液体肥料を2週間に1回程度施します。用土を自作した場合は、植え付けした時に緩効性化成肥料を与えます。その後は、春と秋のはじめに緩行性化成肥料を1回ずつの置き肥を施します。
育て方⑥手入れ
蒸れで枯れることを防ぐために、梅雨前に地面から10cm~20cm位の高さに刈り込みます。また、枝葉が込み合っている場合は、間引きを行います。地面の近くまで刈り込む作業は、花が終わる晩秋頃です。
育て方⑦病気と害虫
病気
病気は、灰色かび病などに注意が必要です。病気になる原因の多くは、湿気や株が込み入っていることが挙げられます。そのまま放置し、ひどくなると枯れてしまいます。見つけたら、病気の枝は切り取ります。花がらも、早めに切り取って防除します。そして、株分けをして風通しをよくする必要があります。
害虫
病害虫に強い植物です。たまにアブラムシがつくぐらいです。もし、アブラムシを見つけたら、アブラムシが少なければティッシュなどで拭き取ります。アブラムシがたくさんついている場合は、アブラムシ用の農薬を散布します。ただし、アブラムシが原因で枯れることはありません。
ネペタの『葉が枯れる』理由
株が古くなると、枯れる原因になります。株が大きくなることで、風通しが悪くなるため、病気が発生しやすくなるからです。その場合、新芽を育てるためにも、株分けが必要です。ほかには、霜が原因で枯れてしまいます。霜が降るような地域では、庭植えではなく、鉢植えのほうが長く楽しめます。
ネペタの増やし方
ネペタは、種蒔き・挿し木・株分けで増やすことができます。種蒔きは、花後に種を採取します。挿し木は、切り取った茎を水に挿し、毎日水をかえます。株分けは、植え替える時に株を適当な大きさに分割します。一旦、水に挿して発根させてから植えると、枯れずに根付きます。適期は、いずれも春と秋です。
ネペタの越冬方法
ネペタは耐寒性がありますが、極端な寒さは苦手です。そのため、移動できる鉢やプランターに植えた場合は、霜の当たらない軒下に移動します。また、庭植えした場合、不織布を掛けておくと保温と凍霜防止になります。
まとめ
【種子】ネペタ ネルボーサ ピンクキャット
参考価格: 400円
ネペタは暑さにも寒さにも強いのが特徴で、生育場所も選びません。そのため、育てやすい観賞用植物です。ブルーなどの色鮮やかな花の観賞後は、ネペタの甘い香りの特徴を活かして、ポプリや入浴剤にして香りを楽しむのはいかがでしょうか?
出典:写真AC