シンビジウムはカトレア・パフィオペディラム・デンドロビウムと並ぶ、4大洋ランのひとつです。冬の鉢花はギフトとしても、切り花は迎春のアレンジなどにも人気があります。近年の品種改良で花が枝垂れる下垂性のものや、東洋ランと交配した和蘭(ワラン)など小型の品種も増えて改めて注目されています。
園芸部類 | 洋ラン、鉢花 |
形態 | 常緑性多年草、半着生植物 |
樹高 | 30cm〜1m |
花の色 | 白、黄色、ピンク、オレンジ、緑、褐色 など |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
シンビジウムは株の根元に太く膨らんだ、バルブと呼ばれる部分に水と栄養を蓄えて育つのが特徴です。自生地では他の樹木に着生して育つこともあります。花色が豊富で、花びらには厚みと透明感があり、1本の花茎に多数の花をつけます。日本の四季にあって育てやすく、開花期間が長いことも特徴です。
学名にもなっているシンビジウムとは、船の形を意味するギリシャ語に由来しています。和名の霓裳蘭(ゲイショウラン)とは、霓が虹を裳が着物を意味する言葉で、美しい虹のような着物を花の姿に例えて名付けられたと言われています。
【花なし株】 シンビジューム デボニアナム ‘タイガーテイル’ Cym.devonianum ‘Tiger Tail’ 原種 芳香あり 4号鉢 30cm 開花サイズ(BS)
参考価格: 4,400円
デボニアナムはカーキグリーンに褐色の花色が特徴の、下垂性の小型のシンビジウムです。枝垂れるタイプの交配親にもなっています。
レア度 | ★★★ |
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サイズ | 4号鉢(直径12cm) |
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アニメのキャラクターと同名のメロンパンナは、スタンダードタイプのシンビジウムです。他の花では見かけないミルキーなグリーン、ころんとした丸みのある花の形が特徴です。
プリンセスマサコは白を基調としたリップと呼ばれる中央のピンク色がかわいらしい、スタンダードなシンビジウムです。華やかで透明感のある色合いが美しい、人気の高い品種です。
和蘭はシンビジウムと東洋蘭を交配して作られた、新しいタイプの小型のシンビジウムです。花数はあまり多くありませんが、趣があり丈夫で育てやすい品種です。
植え付け時期 | 3〜5月 |
植え替えの時期 | 4〜5月 |
肥料を与える時期 | 4〜9月 |
花が咲く時期/開花期間 | 11〜3月 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け | ○ | ● | ● | |||||||||
植え替え | ● | ● | ||||||||||
肥料 | ○ | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||
開花期間 | ● | ● | ○ | ○ | ● |
シンビジウムの主な成長時期は5月から9月です。その後秋に花芽をつけて、冬に花を咲かせます。シンビジウムは花が咲き終わった3〜4月ごろが、短い休眠期にあたります。花が咲いている間の鉢替えはおすすめできないため、植え付けや植え替え作業は3月以降の花が終わってから行います。
シンビジウムは鉢植えで育てます。鉢はプラスチック製のロングまたはトールサイズが最適です。陶器鉢や素焼き鉢も向いていますが、根の成長が旺盛でひび割れてしまうことがあります。和蘭など小型のシンビジウムは、苔玉や盆栽のように仕立てても育てられます。シンビジウムは病害虫のリスクが高く、庭植えは不向きです。
シンビジウムは花が咲いている間は、室内で管理します。シンビジウムの生育適温は、10〜26℃です。冬の日中はレースのカーテン越しに日が当たる場所に置きます。あまり暖かすぎると早く花がしおれてしまうので、冬は20℃前後の少し涼しいぐらいがシンビジウムの適温です。
5月上旬ごろからはシンビジウムを屋外で育てます。雨が当たる場所でも大丈夫です。真夏は葉焼けしないよう50%の遮光ネットか、常緑樹の木陰に移動して育てます。風通しのよい半日陰で、色ツヤのよい葉としっかりしたバルブに育てましょう。
シンビジウムは花の用土ではなく、洋ランの土と呼ばれる専用の植え込み材で育てます。洋ランの土は軽石やひゅうが土に、バークチップやココヤシチップが配合されたものです。水苔での植え付けも可能です。
根がよく張った花付きのシンビジウムは、ジョーロで水やりしても浸透しないことがあるので、水を張ったバケツに5〜15分つけて水を吸わてもいいでしょう。開花期間中と5〜9月はたっぷりと水やりをして、花が咲き終わった3〜4月とバルブが成熟した10〜11月はやや控えめにします。
シンビジウムの肥料は5〜9月に、固形の洋ランの肥料を適量与えます。固形肥料は油粕などの有機質肥料や化成肥料、どちらでも大丈夫です。与える時は古い肥料のカスを取り除いて、新しい肥料を株元から離して与えましょう。真夏は液体肥料への切り替えも可能です。液肥は1週間〜10日に1回、水やりの時に与えます。秋冬は肥料は不要です。
シンビジウムに発生しやすい害虫は、1年を通してカイガラムシと春から秋はアブラムシです。屋外から室内へと環境を替えるときは、葉と葉の間や葉の裏をしっかりと確認して、殺虫剤で予防と対策をしましょう。環境によっては、ナメクジの食害にも注意が必要です。
シンビジウムのかかりやすい病気は、葉に斑点が出るモザイク病や炭そ病があります。黒っぽい斑点を見つけたら、他の箇所に移らないように剪定して、殺菌剤で予防と対策をします。葉が重なると蒸れてカビやすくなるので、風通しよく管理しましょう。
硬くしまったつぼみが開きそうもないときは、霧吹きでつぼみに水分を与えます。全体に花の開きが悪いときは、葉に霧吹きする葉水も効果的です。花が咲き終わったら、花茎を根元近くで剪定しましょう。花後は水やりを控えめにして、株を休ませます。
花付きのシンビジウムの選び方は、葉色が濃く株元のバルブがよく太って成熟している苗がおすすめです。ギフト用には花茎がバランスよく揃っていて、花の数がたくさん付いている株を選びます。花が7割りほど咲いている状態が理想的です。同じ品種でも苗によって発色に多少の違いがあるので、見比べて選ぶとよいでしょう。
花付きのシンビジウムは翌5月に植え替えます。その後のタイミングは、2年に1回が目安です。用意するものは、洋ランの土・一回り大きな高さのある鉢、陶器鉢の場合は鉢底ネットも必要です。茶色く葉のない古いバルブにも、若いバルブを育てる役割があるので、植え替えや株分けで切り落とさず残しておきましょう。
5〜9月にかけての成長期には、新芽がよく出てきます。全ての新芽を育ててしまうと花芽の成長に影響するので、新芽(葉芽)をかき取ります。1つのバルブに2〜3芽を残しましょう。丸く膨らんだ花芽は残します。
シンビジウムの増やし方は株分けで、植え替えと同じタイミングで行います。1つの株に3〜4個のバルブがつくように切り分けて植え付けます。株分けの時期が遅れると、花芽がつかなくなることがあります。
出典:Unsplash