キンリョウヘンとは
基本情報
科 | ラン科 |
属 | シュンラン属 |
原産国 | 中国 |
分布 | 野生種は中国南部に自生 |
開花期 | 4月~5月 |
別名 | 金稜辺、金陵辺、蜜蜂蘭(ミツバチラン) |
キンリョウヘンは中国原産のラン科の植物でシンビジウムの一種です。日本には室町時代頃に渡来したといわれており、明治時代に栽培ブームがおきました。そのときからさまざまな種類の品種が作られていき、現在に至ります。キンリョウヘンはそんなシンビジウムの中でも交配種ではなく原種にあたります。そのため、シンビジウムの中では比較的育てやすい種類なのです。
キンリョウヘンの特徴
キンリョウヘンは品種改良されて華やかな花を持つほかのシンビジウムに比べると、花が地味なため、花を楽しむ種類としてはあまり人気がありません。しかし、キンリョウヘンにはニホンミツバチを誘引(ゆういん)するという大きな特徴があります。この特徴があるため、キンリョウヘンはミツバチを飼う養蜂家(ようほうか)には欠かせない植物になっています。
キンリョウヘンとミツバチの関係
キンリョウヘンは蜜を出しません。花ではなく、花が付く花茎の根元に、ニホンミツバチを誘引するフェロモンを出す蜜腺があります。このフェロモンにひかれてニホンミツバチはキンリョウヘンに集まってきます。ニホンミツバチは野生種であるため、販売されてはいません。そのため、ニホンミツバチが群れを分ける春に、新しい巣を求めるニホンミツバチをキンリョウヘンを使ってひきつけ捕獲するのです。
ニホンミツバチとは
ニホンミツバチは古来から日本にいるミツバチで、北海道と沖縄、離島の一部以外の日本各地に生息しています。ニホンミツバチは帰巣本能が強く、セイヨウミツバチに比べるとあまり多くの蜜を集めません。また、ニホンミツバチは比較的大人しい性質を持っていますが、反面、天敵のスズメバチに対抗する手段を持っており、集団で群がって自らの体温で熱死させることもできます。
キンリョウヘンが誘引できるミツバチ
キンリョウヘンは中国を原産とするシンビジウムなので、キンリョウヘンの持つフェロモンは中国のトウヨウミツバチと、同じ種類のニホンミツバチは誘引できます。また、タイに居るトウヨウミツバチの亜種もキンリョウヘンのフェロモンが有効ですが、同じトウヨウミツバチの系統でも必ずしも誘引できるとは限らないのです。そして、セイヨウミツバチはキンリョウヘンのフェロモンでは誘引できません。
誘引するときのコツ
キンリョウヘンを使ってニホンミツバチの群れを捕獲するには、持ち桶、持ち箱と呼ばれる捕獲用の巣箱を用意して近くにキンリョウヘンを置きます。このとき、キンリョウヘンに目の細かい網をかけておくとよいでしょう。キンリョウヘンにはかなりの数のニホンミツバチが引き寄せられるので、スズメバチを殺すほどの熱でキンリョウヘンが弱ってしまうからです。また受粉することによって花が長持ちしなくなるのも防げます。
出典:写真AC