コブシの育て方!上手に花を咲かせるための管理のポイントを解説 | 植物図鑑

学名Magnolia kobus DC.
和名コブシ
別名ヤマアララギ
英名Kobushi magnolia
科・属名モクレン科
原産地日本、韓国(済州島)
花言葉友情、友愛、愛らしさ

コブシの概要

Photo by masatsu

基本情報

園芸部類 庭木・花木
形態 高木
樹高・草丈 8~10m
花の色
耐寒性 強い
耐暑性 強い
特性・用途 落葉性
栽培難易度 ★★☆☆☆

特徴

強い香りがコブシの大きな特徴です。花だけではなく、枝や葉からも香りがします。またコブシは桜と共に春の訪れを告げる花として、古くから農業と関わりのある花木です。コブシの開花は、田植えや種まきの合図とされ、地域ごとに農業に関係する別名が付けられています。名前の由来は諸説あり、蕾が子どもの握り拳に見える説と、でこぼこした果実が子どもの握り拳に見える説が有名です。

利用

コブシは薬や食用として利用されてきました。コブシの蕾を風通しのいい場所、または天日で乾かしたものは「辛夷(しんい)」という生薬になり、蓄膿症や花粉症の鼻づまりに効くといわれています。また、コブシの花は砂糖漬けや天ぷらなどに調理され、果実は独特な香りのする果実酒の材料として利用されてきました。

コブシの育て方①時期

Photo by ai3310X

植え付けから開花までの時期

植え付け時期 1月~3月上旬
追肥の時期 1月、5月、9月
種まきの時期 9月~10月
剪定の時期 4月中旬~下旬
開花時期 4月上旬

栽培スケジュールカレンダー

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
植え付け
肥料
剪定
開花時期
種まき
休眠期

栽培適期は?

コブシは日本原産の花木であるため、栽培カレンダー通りに育てれば特に問題が発生することはありません。暑さ寒さに強く、強風や潮風にも強いため、初心者でも非常に育てやすい花木です。ただし寒冷地で栽培する場合は、根が十分に張っていない状態で寒気にあたると枝枯れを起こしてしまいます。暖かくなってから植え付けましょう。

コブシの育て方②栽培環境

栽培方法

コブシは生育旺盛で大きく育つため、基本的に庭植えが向いています。適切に管理すれば鉢植えでも育ちますが、大きく育つことを考慮すると、適切なスペースを確保して庭植えするほうが無難に育てられます。

育てる場所

室内・屋外

コブシは屋外で十分なスペースを確保して育てます。大きく育つため、室内では育てられません。

置き場所・日当たり

コブシは日当たりのいい場所を好み、花付きもよくなります。半日ほど日陰になる場所でも育ちますが、本来は日当たりのいい場所に自生している花木です。

用土

コブシは腐植質が多く水はけのいい土を好みます。やせた土地でも育ちますが、あまりにも養分が少ないと花付きが悪くなります。用土に養分が足りていない場合は、植え付けの前に腐葉土を混ぜ込むなどして、土壌を改良しておきましょう。

コブシの育て方③管理のポイント

水やり

植え付け後しばらくは、土が乾いたら水を与えます。その後、しっかりと根付けば降雨のみで十分なので、水やりは必要ありません。

肥料

元肥は、植え付け前に腐葉土や完熟堆肥を与えます。木が若いうちは追肥が必要で、1月、5月、9月に骨粉を混ぜた油粕や堆肥を施肥します。コブシは生育旺盛で、成長するにつれて根も広範囲に広がり多くの養分を吸収するので、成木になると肥料は不要です。コブシは生命力が高く、日本の気候に十分に適応しており、水やりや肥料に関してはそれほど神経質になる必要はありません。

害虫対策

カイガラムシ

カイガラムシは、枝の中に入り、樹液を吸ってコブシを枯らしてしまう害虫です。成虫になると薬剤が効きにくくなるので、見つけ次第駆除します。

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テッポウムシ

テッポウムシとは、カミキリムシの幼虫のことです。幹の内部を食い荒らし、放っておくと樹が弱り、枯れてしまいます。株元におがくずのようなものが落ちていたら幹の中に潜んでいるので、薬剤を注入するか、針金などを突っ込んで捕殺します。

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病気対策

コブシを育てるときに注意すべき病気はうどんこ病です。うどんこ病とは、葉が白いカビに覆われ、光合成が妨げられて木が弱り、最終的に枯れてしまう病気です。うどんこ病対策としては、風通しのいい場所に植えるか、しっかりと剪定をして木全体に風が当たるようにしましょう。

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花後の管理

コブシは翌年の花芽形成が6月頃なので、花後はすぐに剪定します。

コブシの育て方④詳しい栽培方法

Photo by Cafe Kuroda

種まき

コブシは種まきによって育てられる花木です。種まきの時期は9月~10月ですが、種が乾燥しないように保存しておいて、気温の高くなった3月以降に種まきをしても育てられます。しかし、コブシは種を植えてから花が咲くまでに5~7年かかるといわれています。コブシを種から育てる場合は、長期間の管理が必要です。

苗の選び方

コブシの苗を選ぶときは、幹がしっかりしていて、葉が元気なものを選びます。

植え替え

コブシは本来植え替えを好まないため、植え替えが必要ない広い場所に植え付けます。またコブシの根は粗く、細根が少ないため、ある程度育つと植え替え自体が困難になります。

剪定

コブシは自然に樹形が整う花木であり、毎年剪定が必要なわけではありません。うどんこ病などで枯れてしまわないように、枝が混みあってきたら剪定しましょう。剪定の時期は花後の5月で、徒長した枝や絡んだ枝、内側に向かって伸びている枝を中心に剪定します。なお、剪定した切り口を放っておくと雑菌が侵入して病気の原因となるため、切り口には癒合剤を塗ります。

冬越し

耐寒性が強いため、冬越しの対策は必要ありません。

増やし方

種から育てる

コブシの果実は赤くデコボコしており、花後に実ります。秋になって熟すと実が裂けるので、裂ける前の果実を採取して陰干しし、鞘が裂けたときに種を採取します。採取した種は、発芽までの間、丁寧な管理が必要です。鉢植えやプランターに撒き、水を切らさないように管理します。春になると発芽するので、本葉が2~3枚になったら徐々に鉢を大きくして管理します。

挿し木

コブシは挿し木による増やし方も可能です。方法は、前年の枝を15cmほどの長さに切って、地面に挿すだけです。