山椒(サンショウ)の木の育て方!水やりや施肥のポイントを解説 | 植物図鑑

出典:写真AC
学名Zanthoxylum piperitum
和名サンショウ(山椒)
別名ハジカミ
英名Japanese pepper、Japanese prickly ash
科・属名ミカン科・サンショウ属
原産地日本
花言葉健康、魅惑、好意

山椒の木の概要

出典:筆者撮影

山椒は、実と葉だけでなく、花、茎、樹皮、全て香辛料として利用されています。また豊富な栄養素が含まれていることから生薬として利用されてきました。家庭で山椒の木を栽培して、食卓で活用することも可能です。

ボタニ子

ボタニ子

熟していない緑色の実を青山椒、熟して褐色になった実を実山椒、実山椒をすりつぶしたものを粉山椒といいます。

基本情報

園芸部類 落葉樹
形態 低木
樹高・草丈 2~5m
花の色
耐寒性 強い
耐暑性 やや強い
特性・用途 食用
栽培難易度 ★★☆☆☆

特徴

山椒の木は雌雄異株です。樹皮は灰褐色で、幹は枝分かれし、鋭い棘があります。爽やかな香りのする葉は長さ5~15cmの奇数羽状複葉で、小葉は長さ0.5~1.5cmの卵状楕円形です。

山椒の木の代表品種・種類

①朝倉山椒

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朝倉山椒は、普通の山椒と比べて柔らかい大粒の実をつけます。フルーティーな香りがする品種です。トゲがないため剪定しやすく、雌雄同種で一株で実がつき、育てやすいのが魅力です。

②葡萄山椒

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葡萄山椒は、ブドウの房のように実がなることから名付けられました。樹高が低く、果皮に厚みがあるのが特徴です。朝倉山椒を親とする品種で、こちらも雌雄同種ですが小さなトゲがあります。

山椒の木の育て方①時期

出典:筆者撮影

植え付けから収穫・開花までの時期

種まきの時期 10月頃、4月頃
植え付け時期 12月~3月頃
肥料の時期 2月、8月頃
開花の時期 3月~4月頃
剪定の時期 12月~3月頃
実の収穫時期 6月、10月頃
葉の収穫時期 3月~6月頃

栽培カレンダー

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
種まき
植え付け・植え替え
肥料
剪定
開花時期
実の収穫時期
葉の収穫時期

山椒の木の育て方②栽培環境

出典:筆者撮影

栽培方法

鉢植え

鉢植えで育てるときは、大きめの鉢を選びましょう。根が弱く、植え替えをすると枯れてしまうことがあるためです。鉢底石を敷き、用土は果樹用の培養土を使用します。植え替えの際、根は崩さないように注意しましょう。

地植え

地植えで育てる場合は、植える前に土作りを済ませておきましょう。水はけのよい土を好むため、深く穴を掘り起こし、土に対して腐葉土が2~3割になるように混ぜておきます。そこに苗を植えて土を戻します。このときも、根は崩さないよう注意してください。

育てる場所

山椒は室内でも屋外でも育てられますが、湿度の高い林で自生している植物のため、乾燥する場所や日当たりのよすぎる場所は適していません。半日陰で湿潤な場所であり、水はけのよい土であることがよく育つ条件です。

山椒の木の育て方③管理のポイント

出典:筆者撮影

水やり

山椒は乾燥に弱いことから、1日1回たっぷりと水を与えてください。一方で梅雨の時期などはカビの心配があるため、加湿にも気を付けて管理しましょう。水のやりすぎも、根腐れして枯れる原因に直結します。

肥料

山椒に肥料を与えるタイミングは、元気な芽が出るように芽出し肥で2月ごろと、お礼肥として8月ごろです。肥料として株元に油粕をまきましょう。木に直接かかると肥料焼けしてしまうため、注意しながら苗木の周りにまいてください。施肥の量は、8号の鉢に対して20g、1㎡に対して100~200gです。

病気・害虫対策

アゲハチョウの幼虫

出典:筆者撮影

山椒栽培で特に気をつけたい害虫は、アゲハチョウの幼虫です。そのまま放置していると全ての葉を食べられてしまうため、その前に対策しましょう。苗木を覆うようにネットで囲うと農薬を使わずに予防できます。目が粗いと隙間から入ってしまうため、目の細かいものを選びましょう。

カイガラムシ

樹皮に白いものが出てきたら、カイガラムシが繁殖している可能性があります。樹皮を侵食して栄養を吸い取り増殖していくため、病気になって枯れてしまう前に処置が必要です。除去するにはヘラや歯ブラシのようなものでこすり取ります。害虫による食害を予防するためには、風通しのよい場所に植えることも大切です。

花後の管理

開花時期は3~4月ごろです。花の付き方は円錐花序で、黄色い小さな花が咲きます。花後に青い実を収穫したら、8月ごろに肥料を与えましょう。

山椒の木の育て方④詳しい栽培方法

出典:筆者撮影

苗の選び方

山椒の木に実がついてほしい場合は朝倉山椒や葡萄山椒、葉だけでよければ花山椒というように品種に注目しましょう。株が大きく、葉がピンと張った元気そうなものを選びます。

剪定

剪定の適期は、休眠期に入っている12月~3月ごろです。この時期は木が力を蓄えて眠っており、剪定にも耐えられます。短い枝から実がつくため、長い枝からトゲに注意して剪定していきましょう。風通しをよくすると病気予防になり、また高さやトゲが減ることで、管理しやすくなります。

冬越し

冬になると山椒の木の葉が全て落ちて、枯れたような状態になりますが、これは休眠期に入っているためです。この期間にも乾燥と加湿に気を付けながら水やりをすると、翌年にまた芽を出します。

増やし方

種まき

土に山椒の木の種を置いて1~2cmほど土で覆い、乾燥しないように管理します。用土は果樹用の培養土を利用しましょう。10月ごろに種をまく「秋まき」と、秋に採取した種を乾燥しないように保管して春にまく「春まき」があります。秋にまいても春まで発芽しないため様子が分かりにくいことから、初心者の方は春にまくとよいでしょう。また、種まきから実を収穫するまでには4年ほどかかります。

ボタニ子

ボタニ子

10月ごとになると熟した実の皮がはじけて、ツヤのある黒い種が露出します。この種を植えましょう!

挿し木

挿し木の適期は6月ごろか、9~10月ごろです。前年に育った若い枝を15cmほど切り、上のほうの葉を2~3枚残してほかは切り落とします。発根剤を混ぜた水に切り口を1時間程度浸し、バーミキュライト、もしくは小粒の赤玉土に枝を挿します。乾燥に気を付けながら管理し、新芽が出てきたら大きめの鉢に植え替えましょう。

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