朝倉山椒とはどのような植物?
朝倉山椒とは、実が柔らかく柑橘系の香りとツンとならない辛味をもつ山椒です。和風スパイスとして木の芽や実をさまざまな料理に取り入れて楽しめます。棘がほとんどなく、育てやすいため家庭で栽培してみてはいかがでしょうか?そこで朝倉山椒の名前の由来と特徴、鉢植えでの育て方と挿し木による増やし方、気になる普通の山椒との違いを詳しく解説します。
基本情報
学名 | Zanthoxylum piperitum |
科名・属名 | ミカン科・サンショウ属 |
分布 | 日本海側の多雪地帯に多い |
樹高 | 2~3m |
開花時期 | 4~5月 |
収穫時期 | 8~10月 |
名前の由来
朝倉山椒の原産地は、兵庫県養父市八鹿町朝倉です。地名から「朝倉」がつけられた山椒の品種です。現在は、養父市の地域ブランドとして活発に生産されています。江戸時代には徳川家康に献上された記録があり、高級贈答品として400年にわたって地元の農家が守り続けてきた但馬地方の名産品です。
ブランド名を「朝倉さんしょ」といい、「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」や「地方創生賞」など数多くの賞を受賞しています。
朝倉山椒の特徴
サンショウ(山椒)の「椒」という字は「香りがいい実」という意味です。「山で採れる香りのいい実」という意味から「山椒」と名付けられました。その名の通り、サンショウの葉はハーブに、実はスパイスとして使われます。また新芽や花、果皮も薬味や飾りに使われるなど植物全体を食材にできる魅力的な植物です。さまざま魅力をもつ朝倉山椒の特徴を解説します。
特徴①葉
朝倉山椒は、長さ1~3.5cmほどの長卵形の葉を羽状複葉につけます。触るだけで、手に香りが移るほど強い香気があります。葉の縁にぎざぎざがあるため手で触れる際は気をつけましょう。春の新芽は「木の芽」と呼ばれ、吸い物や和え物の香りつけに使われます。落葉樹のため、秋に葉を落として冬を越します。
特徴②実
朝倉山椒は、若葉に続いて淡黄緑色の花を咲かせ、秋に実をつけます。この実は、普通の山椒の実と比べると大粒で柔らかいです。表面に細かい皺(しわ)があり、初めは緑色をしています。9~10月ごろになると赤く熟し、自然に2つに裂けて中の黒いつやつやした種子が出てきます。苗木を植え付けてから3~4年経たなければ実がならないため、栽培には根気が必要です。
香り成分
朝倉山椒は香り成分「リモネン」が多く含まれているため、一口食べると柑橘系のフルーティーな香りが口いっぱいに広がります。強い香りと、ツンとならないまろやかな辛味が朝倉山椒の特徴です。花は「花山椒」、実は「実山椒」と呼び、佃煮やちりめん山椒にして食べます。また乾燥させた果皮は「粉山椒」と呼ばれ、ウナギのかば焼きや焼き鳥などに使われます。
山椒の実を食べると、ピリッとした辛味がありますね。この辛味には胃の調子を整える効果や、防虫効果があります。
特徴③幹
朝倉山椒は、食用に品種改良されているため枝に棘がほとんどありません。幹は灰褐色で表面にイボのような突起があり、ぼこぼこしています。樹皮は「辛皮(からかわ)」と呼び、細かく刻んで味噌漬けやしょうゆ漬けにするのがおすすめです。また、幹の滑りにくい樹皮を活かして「すりこぎ」にも使われています。
次のページで「朝倉山椒の鉢植えでの育て方」を詳しく解説します。
出典:写真AC