クリンソウは、紫色や白色、ピンク色の花を咲かせる耐寒性の多年草です。花茎を中心として、円状に花を咲かせるのが特徴で、花壇の寄せ植えや鉢植えなどにして育てられています。
園芸部類 | 草花、山野草 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 30cm〜70cm |
花の色 | 紫、白、ピンク、赤紫 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 開花時期が長い、水辺を好む、花壇の寄せ植え |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
クリンソウは「九輪」という仏閣の屋根にある飾りに咲き姿が似ているため「九輪草(クリンソウ)」と名付けられました。また、花が重なるようにつく様子から「七階草(ナナカイソウ)」や「七重草(シチジュウソウ)」という別名でも呼ばれています。
クリンソウは日本が原産の植物で、山や森の水辺近くに自生しています。開花時期になると、紫色やピンク色の花を次々と咲かせます。品種改良が進んでおり、白色の花を咲かせる園芸品種も人気です。クリンソウは「耐寒性多年草」に分類されており、葉をロゼット状に広げて冬越しします。
紫花クリンソウは、クリンソウの品種の中でも代表的な薄紫色や赤紫色の花を咲かせます。開花時期が4月〜5月のため、やや早めに開花するのが特徴です。
白花クリンソウは「プリムラジャポニカ・アルバ」とも呼ばれている園芸品種です。透き通るような純白の花を咲かせるのが特徴で、花壇に涼しげな印象を与えてくれます。
植え付け時期 | 2月〜3月 |
植え替え時期 | 2月〜3月 |
種まきの時期 | 6月〜7月 |
剪定の時期 | 4月〜6月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月〜6月 |
クリンソウは、地植えでも鉢植えでも育てられます。花壇の寄せ植えにする場合は、草丈が70cmほどまで大きくなるため、他の植物の背景になるように植え付けるのがおすすめです。プランターや鉢植えにする場合は、株間を15cm〜20cmほどあけて植え付けましょう。
クリンソウは、やや湿った場所に自生している植物です。そのため、クリンソウを栽培する場合も同じような環境で管理します。直射日光が当たらない庭木の株元や、他の植物の陰になるような場所を選びましょう。鉢植えにする場合は、直射日光や西日が当たるようならば、軒下などの半日陰へ移動させてください。
クリンソウは、保水性の高い用土を使用して育てましょう。市販されている「山野草用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土に腐葉土をたっぷりと混ぜ込んだ用土を使用してください。地植えにする場合は、腐葉土や堆肥をすき込み、肥沃な土壌にしてから植え付けるのがポイントです。
クリンソウは水切れを起こすと枯れてしまうため、地植えでも鉢植えでも毎日しっかりと水やりをしましょう。湿地のような環境で管理するには、土の表面が乾ききる前に水やりをするのが重要です。乾燥しやすい時期には、土の表面を定期的に観察しながら育てましょう。鉢植えの場合は、受け皿に水をためておく「腰水(こしみず)」という方法もおすすめです。
クリンソウは、肥料を与えなくても十分に育ちます。しかし、大株に育てて花をたくさん咲かせたい場合には、4月〜7月にかけて、2週間に1回の割合で規定の分量よりも薄めた液体肥料を水やりのかわりに与えてくだい。植え付けの用土に元肥として、緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおいても構いません。
ヨトウムシは漢字で「夜盗虫」と表記されます。名前のとおり、夜になると活動を始める害虫で、クリンソウの葉や茎を食害する害虫です。昼間は土の中に潜んでいるため、クリンソウが食害されているようならば、株元に殺虫剤をまいて駆除しましょう。
クリンソウは比較的丈夫な植物のため、病気で枯れてしまう心配はありません。
花後に花がらを放置すると、カビが発生しやすくなります。カビが原因の病気や害虫被害を受けて枯れる恐れがあるため、こまめに花がら摘みを行いながら育てましょう。
ポット苗の状態でクリンソウを購入する場合は、株元まで葉が茂っており、茎が太くてしっかりとした苗を選びます。葉の裏側までチェックして、病害虫被害を受けていない苗を選んでください。
地植えの場合は植え替えの必要はありません。鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために2年〜3年に1回、ひと回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
クリンソウは70cmほどまで大きく成長するため、適度な剪定をしながら育てましょう。4月〜6月にかけて、伸びすぎている茎や葉が込み入っている部分を剪定し、草姿を整えてください。
2月〜4月にかけて、クリンソウを株分けで増やしていきましょう。挿し木や種まきでも増やせますが、株分けは成功率が高く、初心者にもおすすめの増やし方です。大きく育った株を選び、根を傷つけないようていねいに掘り起こしていきます。手で優しくほぐして、簡単に分かれる部分で株分けしていきましょう。新しい用土に植え付け、完全に根付くまでは風通しのよい日陰で管理します。
出典:写真AC