牡丹は中国原産の落葉低木で奈良時代に中国から渡来したといわれています。元々は薬用植物としてあつかわれていましたが、その後観賞用として改良が進み栽培されるようになりました。現在栽培されているものの多くは明治時代以降に作られた品種です。
牡丹の原種として知られているものには、矮牡丹、紫斑牡丹、卵葉牡丹、黄牡丹、四川牡丹などの品種があります。
園芸部類 | 花木 庭木 |
形態 | 低木 |
樹高・草丈 | 1~1.5m |
花の色 | 赤、白、オレンジ、ピンク、緑、黄、茶 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 落葉性 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
美しい花を咲かせる牡丹は、芍薬などとともに美人を形容する表現にもつかわれるほど古くから注目され愛されてきました。品種改良が盛んに行われたため、現在では非常にたくさんの品種があり花色もさまざまです。
既品種には、日本系、中国系、アメリカ系、フランス系のものなどがあります。花の咲く時期も品種によって異なりますが、園芸品種として広く普及しているものの多くは、4~5月頃に開花がみられる品種です。
日本系 | 大内姫、暁の雪、栄冠、黄冠、貴婦人、鎌田錦、王華錦など |
中国系 | 珊瑚台、芝上楼、迎日江、 仙桃、彩会、花胡蝶など |
アメリカ系 | ゴールデンアイルズ、エンジェレット、ゴーギャン、ミステリーなど |
フランス系 | Chromatella、Souvenir、 Alice Hardingなど |
薄紫色で華やかな花を咲かせます。樹勢が強く育てやすい品種ですが、花数はそれほど多くありません。
赤色で花弁が丸い中輪の花を咲かせる早咲き品種です。抱え咲きで、咲き始めの頃から赤い色をしているのが特徴です。
ボタニ子
桜色で中輪の花を咲かせます。みずみずしい色合いで抱え咲きです。丈夫で育てやすい品種です。
レモンのような明るい黄色で大輪の花を咲かせます。「ハイヌーン」と「新扶桑」の交配種です。流通量はそれほど多くありません。
紫色の蕾が咲きすすむにつれ、淡いピンク色へと変化していきます。花つきだけでなく花もちもよい大輪種です。
植え付け時期 | 9月下旬~10月下旬 |
植え替えの時期 | 9月下旬~10月下旬 |
施肥の時期 | 5~6月と9月下旬~10月下旬 |
剪定の時期 | 9月下旬~10月中旬 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月下旬~5月中旬頃 |
牡丹の植え付けに最も適した時期は、9月下旬~10月下旬の頃です。牡丹は植え替えを嫌うため、移植はおすすめできませんが、生育不良などの理由で植え替えたい場合には、植え替え適期と同じ9月下旬~10月下旬に行います。
鉢植えで育てる場合は、植え替えなくても済むよう、最初から大きめの鉢に植え付けるとよいです。鉢の大きさは、8~12号鉢くらいのものが、管理しやすくおすすめです。
庭植えする際の植付け場所は、移植しなくても済むよう、よく考えてから決めましょう。風通しがよくて日当たりもよい所が適していますが、西日が当たるような場所は避けたほうがよいです。
鉢植えは、屋外に置いて管理します。春と秋は日当たりのよい場所で育てますが、夏のように気温の高い季節は半日陰に移動します。寒くなったら、暖かくて風の当たらない場所に置いて冬越しさせるとよいでしょう。
牡丹を育てる用土に求められるものは、水はけのよさです。腐葉土3と小粒の赤玉土7くらいの割合で混ぜたものなどが適しています。鉢植えにしたい場合は、市販の培養土を利用すると便利です。
夏のようにひどく乾燥しているときには、朝と夕方に水やりをしますが、それ以外の時期は、水やりをする必要はありません。
季節によって異なります。
春~初秋 | 十分な水やりが必要 |
秋本番~冬の初め | 乾燥し過ぎない程度の水やりをする |
冬の間 | 水やりは控えめにする |
開花を終えた時期(5~6月頃)と植え付け時の秋(9月下旬~10月下旬)に、緩効性化成肥料を与えます。植え付け時には、根の部分に直接肥料がつかないように注意しましょう。
カイガラムシがつきやすいので注意が必要です。カイガラムシは茎葉に寄生し吸汁する害虫であるため、被害が進行すると枯れてしまうこともあります。見つけしだい駆除しましょう。
蕾や花、茎、葉などに淡褐色の斑点ができる病気です。病斑が広がった部分は枯れて腐敗し、やがては灰色のカビにおおわれてしまいます。病気の部分を切除したのち薬剤を散布します。
春から秋までの時期に発生しやすい病気で、蕾や葉、茎などが白い粉におおわれた状態になります。最初は小さな点のように見えますが、しだいにまん延していき、放置すると枯れてしまうこともあります。初期の段階では、白くなっている部分を取りのぞき処分することで終息することもありますが、症状がすすんでいるときには、薬剤を使用しましょう。
牡丹は、肥料を好む性質があるため、元気に育てるためには、開花後(5~6月)十分に施肥を行う必要があります。翌年もきれいな花を咲かせるために忘れないようにしましょう。また、種をつくることで株に負担がかからないよう、開花後の花はすぐ下の部分から切り取ります。
太い幹で花芽があり生き生きとしたものを選びましょう。また、葉の状態も苗を選択する際には重要なポイントとなります。しっかりとした大きな葉が、たくさんついているものがおすすめです。よい葉がついているものは根の部分も元気なことが多いため、病気などにも強く育てやすい苗になります。
植え付ける前には苗木の切り戻し剪定をしておきます。植え付けの適期は、9月下旬~10月下旬頃です。
ボタニ子
接ぎ木部分にある芽を1~2個ほど残し幹を切り詰める剪定をします。
ネットを敷き、鉢底石を入れた大きめの鉢に、市販の培養土か元肥を入れた水はけのよい用土を入れて植え付けます。その際、つぎ目の箇所が地面から5cmほどの深さになるよう調整します。根付くまで水やりをし、乾燥させないようにしましょう。
植付け用に耕した土を40~50cmの深さに掘り、掘り上げた土に腐葉土や牛フン、完熟堆肥などを、バケツに1杯くらい混ぜ込みます。植え穴に苗木を入れ、接ぎ木部分が10cmくらい隠れるよう土をかぶせます。植付け後には水やりをしましょう。
9月の下旬になると葉が黄色くなり枯れてくるので、すべての葉を切り落とした後、今年になってから伸びた枝の付け根から2~3芽のみを残し剪定します。この作業を行うことにより、翌年に伸び始める枝や株などがしっかりとした強いものになります。
牡丹の増やし方として最も適している方法は接ぎ木です。8月下旬~9月下旬頃に、シャクヤクの根を台木に利用して行います。
抱え咲きとは、カップのように丸く開き中心部が巻いてみえる花形です。