オリヅルランは熱帯地域に自生する多年草で、日本には明治期に渡来したといわれています。野生種の葉は緑一色ですが、白い斑入りの園芸品種が主に栽培され、観葉植物として人気です
園芸部類 | 観葉植物 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 10cm~30cm |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 普通~やや弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 花壇、鉢植え、ハンギング |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
オリヅルランの葉は、長い線状または線状披針形で縦に葉脈があり、根元から放射状に広がります。成長すると長い花茎が伸び、小さな白い花が咲きます。花茎がランナー(走出枝)となって、子株を次々に付ける姿が特徴的です。肉厚の根は、水分をたっぷり貯えます。
オリヅルランの葉は、空気中のホルムアルデヒドを吸収することがNASAの研究で証明されています。サンセベリアのように室内の空気洗浄効果が期待できる植物です。
オリヅルランは、ランナーから伸びる子株の姿が折り鶴に似ていることから名づけられました。英名ではクモにたとえてスパイダープランツと呼ばれています。学名のクロロフィツムは、ギリシャ語で「黄緑色の植物」の意味です。
内側にクリーム色の斑が入る種類には、ナカフヒロハオリヅルラン、ナカフオリヅルラン、ボニーなどがあります。ナカフヒロハオリヅルランの葉は、柔らかくて斑の部分が広く、明るい印象です。寒さなどで葉が傷みやすいため、鉢植え・室内栽培が向いています。ナカフオリヅルランの方は、葉にはハリがあり、鉢植え・庭植えどちらでも栽培できます。ボニーは、葉がカールする品種です。
ソトフオリヅルランは外側に白い斑の入った種類で、庭植えできます。シャムオリヅルランも外側が白い種類ですが、こちらはランナーが出ない近縁種で、寒さに弱いです。オリヅルランは、種類を特に記さずに販売されることが多いので、ランナーが出る種類かどうか確認するとよいでしょう。
植え付け時期 | 5月~9月 |
開花時期 | 6月~11月(品種や栽培環境による) |
オリヅルランは、5月~9月頃であればいつでも植え付け可能です。苗を入手できたときに育て始めましょう。
葉の堅い種類は、関東以西では庭植えができます。日陰でも育ちますが、少しでも日が当たるほうが花芽や子株が付きやすくなります。高さのある花壇の縁や段差のある場所に植えると、ランナーと花、子株のつくる線の美しさを楽しめるでしょう。
オリヅルランは、玄関ポーチやアプローチ、またベランダを飾るのに適しています。ほかの花と寄せ植えしてフラワースタンドに置いたり、釣り鉢に植えて垂らしたりすると映えるでしょう。
オリヅルランは、屋内の光でも十分育ち、室内の空気洗浄効果も期待できます。日差しから遠い場所ではランナーが伸びず、花芽が付きにくいことがあるので、ときおり窓際に置くとよいでしょう。
水はけがよければ特に土質は選びません。庭植えは、腐葉土を混ぜて植えてください。鉢植えには、観葉植物用培養土か、草花用培養土を使うと便利です。赤玉土と腐葉土、パーライトを6:3:1で混ぜ合わせた用土でもかまいません。
庭植えは、特に水やりの必要はありません。鉢植えには、4月~11月頃までは土の表面が乾いたら水やりし、冬は控えめにします。
4月~10月頃の生育期に追肥すると、葉の緑や黄緑色がくっきりし、ランナーの伸びがよくなります。庭植えは、2~3カ月に1回緩効性肥料を与えてください。鉢植えには、2カ月に1回固形肥料を、または1カ月に1回液肥を与えるとよいでしょう。
庭植えや屋外の鉢植えは、カイガラムシに気を付けてください。室内栽培では、害虫の心配はそれほどありません。
気を付けたい病気は炭そ病です。特に庭植えは、梅雨時など高温多湿になる時期に注視し、葉に穴があいていたら摘み取ってください。
花が咲き終わったら、摘み取らずに枯れた花びらだけを片付けてください。花後しばらくすると花の付いていたあたりに子株が付き、根が出始めます。
オリヅルランは鉢植えとポット苗が流通していて、陶器製の鉢植えは値段が高くなります。庭植えには、葉の硬い種類を選んでください。子株が付かない近縁種もオリヅルランとして販売されているので、購入前に確認するとよいでしょう。
鉢植えは、1~2年に1回植え替えてください。庭植えは、何年も経って株元が混みあってきたら掘り上げて、株分けして植え直しましょう。
子株がたくさん付いたら、子株を剪定してバランスよく整えます。重なり合った葉の枯れた下葉は摘み取りましょう。特に庭植えは、冬越しで傷んだ枯れ葉を取り除いてください。
オリヅルランはそのままで夏越しできますが、釣り鉢栽培など西日の当たる位置にあるなら、夏の間は場所を替えたほうがよいでしょう。
庭植えは、2℃くらいの気温であれば越冬可能です。霜で葉が枯れるなど若干傷みますが、春になれば若い葉やランナーが育ちます。寒冷地では掘り上げて鉢に上げ、室内や軒下に取り込みましょう。
ランナーに付いた子株を切り離して増やします。根が出ていれば、そのまま小粒赤玉土か種まき・挿し木用土に植えてください。水栽培やハイドロカルチャーもできます。子株ができる期間であれば、いつ植えてもかまいません。
オリヅルランのもう1つの増やし方は、株分けです。小さく分けすぎずに、株を半分または1/3ほどに分けてください。適期は5月~9月なので、植え替え時に株分けするとよいでしょう。
出典:写真AC