「フィロデンドロン」は、サトイモ科・フィロデンドロン属の属名ですが、観葉植物として栽培されている数種類の園芸名としても使われています。多くは、つる性ですが、ほふく性や直立性のものもあります。
園芸部類 | 観葉植物 |
形態 | つる植物(ほふく性、直立性のものも有り) |
樹高・草丈 | 10cm~10mくらい |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | カラーリーフ、 常緑性・ハンギングバスケット、寄せ植えなど |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
品種数がとても多く、葉の形や葉色もさまざまであるという特徴があります。花序は、ミズバショウなどにみられる、仏炎苞(ぶつえんほう)を持つ肉穂花序(にくすいかじょ )です。
大きくて切れ込みのある葉が、とても印象的な直立性品種です。流通量も多く、古い葉がはがれ落ちた跡が目玉のような模様に見えるといった特徴があります。大きく葉を広げるような形で成長するため、置き場所にはそれなりの広さが必要です。近年では、矮性種も市場に出回るようになり人気の高まりをみせています。
つやのあるハートの形をした葉をつける、つる性品種です。葉色には、ライムグリーン、黄色の斑入り、濃緑色などがあります。ハンギングバスケットのようなかたちで管理されることも多い小型の品種です。
葉の表側はダークグリーンですが、裏側は褐色を帯びています。茎がワインレッドで、色彩的にとても個性的な品種です。最近、市場に出回り始めた新しい種類のフィロデンドロンであるため、流通量としては少なめです。
植え付け時期 | 5~8月 |
植え替えの時期 | 5~8月 |
施肥の時期 | 4~10月 |
剪定の時期 | 1~12月 |
花が咲く時期/開花時期 | 不定期 |
植付けと植え替えは、5~8月が適期です。生育がおう盛であるため、1~2年に1度は、1~2サイズくらい大きな鉢に植え替えるようにしましょう。つる性品種の場合は、サイズに見合った支柱に取り替えてから、つるの誘引を行います。
フィロデンドロンの耐寒温度は、品種によっても多少異なりますが、5°C~10°Cくらいであるといわれています。そのため、庭植えで管理するのではなく鉢植えが一般的です。
置き場所は、季節や気温によって違ってきます。春から秋にかけての季節は、ベランダ等を利用し屋外で育てられますが、寒くなったら室内に入れるようにしましょう。耐寒気温といわれる5°C~10°Cに注意をはらい、枯れないよう気をつけます。夏は強い日差しをさけるため、明るい日陰で管理するのがおすすめです。室内では、レースのカーテン越しに柔らかい日射しが当たるような場所に置くのが適しています。
フィロデンドロンを育てるのに適した用土は、水はけがよいものです。
配合例
春から秋の間は、土の表面が乾燥していたら、たっぷりの水を与えます。葉の裏側にも水がかかるような水やりの仕方をするとよいです。ハダニがつくのを予防するための対策としてもおすすめです。冬の期間はほとんど成長しないので、控えめな水やりで乾燥気味にして管理します。
施肥を行う時期は、4~10月です。2か月に1回、緩効性化成肥料を与えます。または、1~2週間に1回ほど、液体肥料を与える方法でもよいです。
カイガラムシ、ハダニなどによる被害があります。
カイガラムシは、茎や葉につき吸汁し植物を弱らせる害虫です。放置すると葉枯れなどを起こし枯れてしまうこともあります。さらに、カイガラムシの排泄物は、すす病の発症原因やアブラムシを呼び寄せる原因となることもあるので、発見したら早めの駆除が不可欠です。成虫には殺虫剤もあまり効果がないため、ヘラや歯ブラシなどでこすり落とします。
葉裏に寄生することが多い害虫で、吸汁し植物を弱らせます。放置すると葉色が悪くなり枯れてしまう恐れもありますが、寄生数が少ない場合は、ガムテープなどに貼りつけ駆除することも可能です。ハダニは水に弱いので、ホースなどを使い水をかけても数を減らす効果があります。葉水も防除効果があるので、時々行いましょう。
春から秋にかけての季節には、軟腐病(なんぷびょう)が発生することがあります。地ぎわ部や葉の一部などが褐色で溶けたようになり枯れていく病気です。病変した箇所は、すぐに取り除き広がるのを防ぎましょう。傷ついた箇所から細菌感染するため、剪定後などは要注意です。
葉につやがあり生き生きした苗を選びます。また、害虫にも注意が必要です。ハダニなどは、とても小さくてみつけにくいため、苗の状態を念入りにチェックしてから購入するようにしましょう。
生育盛んな植物であるため、1~2年に1度(5~8月頃)は植え替えたほうがよいです。また、鉢の底から根が出てのびてしまっているようなときにも、冬以外の季節であれば、根詰まりを防ぐための植え替えをします。鉢から抜いたフィロデンドロンの根についた土を、少しだけ落とし、1~2サイズほど大きめの鉢に植え替えましょう。使用する用土は水はけのよいものにします。
成長に伴い、葉数が増えて通気性が悪くなります。草姿もくずれてくるため、時々古い葉や茎、つるなどを剪定します。傷ついた箇所から細菌感染する軟腐病などもあるので、剪定時には必ず切れ味のよい清潔なはさみを使いましょう。
夏は、明るめの日陰で育てます。冬は、室内で育てますが、ガラス越しに日光が当たるような場所に置いて管理するのが適しています。
増やし方は、挿し木が最も適しており、5~8月頃が適期です。
つる性品種の場合、手順は以下のとおりです。
直立性品種の場合、手順は以下のとおりです。