ハダニとは?
ハダニはクモに近いダニで、8本の脚を持つ小さな虫です。通常は、生きた植物の葉や実をエサとしており、植物の葉や実の裏に寄生して吸汁します。新芽よりも、ある程度生長したイキの良い葉の汁が好物で、植物の種類はあまり選びません。
ハダニの発生原因
ハダニの発生原因は「風」と「エサの存在」の2つ。自ら吐き出す細い糸を羽代わりにして風に乗って、あるいはエサを求めてトコトコと歩いてやって来ます。庭や畑、ベランダなどで植物が密集している場合や気候が乾燥している場合は、特に発生・繁殖しやすくなります。
ボタニ子
ハダニの被害と症状
ハダニは葉や実の組織を破壊して吸汁しますので、その部分にはかすり状の細かな白い点々ができる症状がみられます。通常は葉裏の中心部から始まり、だんだん広範囲に症状が広がります。茎や葉の生長が阻害されるほか、最悪の場合、葉の色が茶色や黒色に褐変し、落葉したり枯れたりする被害が出ます。
ハダニの種類
ハダニには多くの種類があり、日本には70種類ほどのハダニがいると言われますが、家庭菜園や果樹、農作物に被害を与える害虫として特に名前が良く知られているハダニには、「カンザワハダニ」、「ナミハダニ」、「ミカンハダニ」などがあります。
ボタニ子
一般的にハダニは赤い色をしていると思われがちですが、必ずしも赤い色であるとは限りません。
種類①カンザワハダニ
- 卵は直径約0.1mmの球形
- 夏の雌はくすんだ赤い色、休眠雌は赤い色。雄は淡黄赤色または赤い色
- 体長は雌が約0.4mmで、雄は0.3mm
- 冬季は休眠する(ただし寒冷地のみ)
種類②ナミハダニ
- 卵は直径約0.1mmの球形
- 個体には黄緑色と赤い色のタイプがある
- 直径は雌0.6mm、雄0.4mm
- 冬季も休眠しない
種類③ミカンハダニ
- 卵は直径約0.1mmの球形
- 体の色は赤い色で、脚は薄い橙色
- 雌の直径は0.4~0.5mmで、雄は0.3~0.4mm
- 冬季は休眠せず、樹上で越冬する
ハダニの生態
ハダニ類は25~28℃くらいの温度で乾燥した状態だと、卵期間2~3日、幼虫~若虫期間6~7日(2回脱皮する)を経て成虫になります。カンザワハダニは夏過ぎ頃から赤い色に変化するなど、四季によって色が変化する種類もあります。
生態①春に卵を生む
早春に雌は餌を良く食べ、雑草や落ち葉の下に網を作り、その網の中で直径約0.1mmの透明な球形の卵を産みます。産卵数は1日に5~20個程度で、約30日間の寿命のうち100~300個を産むと言われています。
幼虫から成虫へ
その後気温が高くなってくると3~10日のうちに卵がかえり、6本脚の幼虫になります。幼虫はその後8本脚の若虫時代に2回脱皮をし、4~24日というスピードで成虫になります。
ボタニ子
約30日間と寿命は短いけど、産卵数が多いうえ、幼虫から成虫になるサイクルが早いから爆発的に増えてしまうのね!
生態②夏は目立たない
カンザワハダニの場合、夏季の成虫姿は0.3~0.4mmで、黄土色や黄緑色です。秋~冬は鮮やかな赤い色なので目立ちますが、夏は繁殖しやすい気候であるにも関わらず、とても小さい上に葉の色と同化して目立たないため、繁殖に気が付かないこともあります。
生態③秋は繁殖のピーク
一般的に暑さのピークを過ぎた晩夏~初秋頃に発生・繁殖のピークを迎えると言われますが、ハダニは高温で乾燥した気候が好きなので、日本では乾燥した冬の屋内でもよく発生・繁殖します。また交尾をしてもしなくても卵を産むことができ、無精卵はすべて雄、有精卵は雌になります。
ボタニ子
成虫になったとたん、横で待ち構えていた雄とすぐに交尾をする雌もいるんだって。
生態④冬を生き延びる個体も
カンザワハダニの成虫は、樹皮のひび割れた部分や落ち葉の下で越冬します。ミカンハダニはかんきつの樹木から動かず冬を越します。ナミハダニも休眠せずに越冬すると言われ、ともに気温が12℃程度を超えてくる2月頃から活動を始めます。
次にハダニの予防方法と対策について説明します。
風を利用して遠くへ飛んでいくために、植物の上部やビニールハウスの天井など、より高いところを好む傾向があるようですよ。