エキノプスは、直根性で深く根を張ります。花姿は小花が集まった球型で、開花期間が長く切り花やドライフラワー向きです。花色は涼しげな青紫や白色で、夏のガーデニングにすがすがしい印象を与えてくれます。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 60cm~150cm |
花の色 | 青、紫、白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い(多湿には弱い) |
特性・用途 | 半常緑性、ドライフラワー、開花期が長い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
エキノプスの原産地は、地中海沿岸からアジアにかけての広い範囲に自生しています。品種は120種ほどがあり、日本には九州にヒゴタイ(E. tifer)が自生し、栽培品種は主に欧州原産のリトロ種(E. ritro)です。
エキノプスの花姿は、直径5cm~10cmほどの多数の小花が集まった球状です。草丈は50cm~250cmで、長く伸びた茎の先端に青紫や白の花が咲きます。上から順に咲き、花が散ったあとも球状の形が残ります。開花期間は5日~10日ほどです。長く咲き続けるため、切り花やドライフラワーにして楽しめます。
学名の「Echinops」は花姿に由来しています。エキノプスの花姿が、ハリネズミに似ているからです。ギリシア語でハリネズミは「エキノス」、似ていることを意味する「オプス」が合わさったといわれています。また和名の「ルリタマアザミ(瑠璃玉薊)」は、花が紫がかった青の瑠璃色に、トゲのある葉がアザミに似ていることから付けられました。
ルリタマアザミは、「エキノプス」の流通名で苗とタネが販売されます。キク科ヒゴタイ属の多年草で、地中海沿岸からアジアに広く分布します。花色は神秘的な薄紫色や青色で、葉や茎は白緑色の植物です。6月~8月に開花します。
タブローブルーは、6月~8月に青紫色の花を咲かせ、茎葉が銀白色を帯び夏のガーデニングに涼しさを演出します。草丈が70cm~100cmの大型で、直立して群生するためボーダーガーデンの後方に植えるのにぴったりです。花粉が豊富なため、ミツバチやチョウなどの花粉媒介者を引き寄せます。
スターフロストは、ドイツからの種で育てた白系の品種です。特徴は、どの品種よりもコンパクトでたくさん花を咲かせます。また、ほかの白花種に比べて花茎の色がシルバーグリーンで清涼感があります。真夏のガーデニングに貴重な植物です。
植え付け時期 | 3月~4月、10月~11月 |
植え替え時期 | 3月~4月、10月~11月 |
肥料の時期 | 3月~4月、10月~11月 液体肥料(鉢植え)4月~5月 |
花が咲く時期/開花時期 | 6月~8月(秋に咲くこともある) |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け 植え替え |
● | ● | ● | ● | ||||||||
開花期間 | ● | ● | ● | ○ | ○ | |||||||
肥料 | ● | ● | ○ | ● | ● | |||||||
成長期 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ○ | |||||
休眠期 | ● | ● | ○ | ○ | ○ | ● |
エキノプスは高温多湿に弱いため、栽培は春か秋が適しています。植え付けと植え替えは3月~4月か10月~11月にしましょう。種まきの適期は5月~6月ですが、9月~10月の秋まきも可能です。開花期は春まきのほうが早く、秋まきは栽培から3年目ごろに迎えます。
鉢植えで育てるときは、縦長の深鉢を用意します。1株に対して6号鉢(長径18cm)~7号鉢(長径21cm)が適しています。大鉢に小さな苗を植えるよりも、成長にしたがって鉢を少しずつ大きくしていくとよいでしょう。
エキノプスは株が大きく成長します。そのため複数の株を植え付ける場合、株と株との間は30cm~40cmあけましょう。
エキノプスは日の当たる場所を好みます。ただし、高温多湿に弱く真夏の日差しで葉焼けを起こすため、鉢植えは風通しのよい半日陰に移動しましょう。庭植えは、日当たりと水はけのよい場所を選びます。また、エキノプスは直根性の太い根が地中深く伸びるため、根が張れるように深く耕せる場所がよいでしょう。
エキノプスは中性~弱アルカリ性の土壌を好みます。鉢植えは、市販の草花用培養土に鹿沼土を2~3割混ぜ合わせます。配合するならば赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合にしてください。植え付ける前に苦土石灰を用土に混ぜ込みましょう。庭植えは、植え付ける1~2週間前に土を深く耕し、掘り起こした土に苦土石灰を混ぜて寝かせておきます。
植え付けてから根が張るまでは、土の表面が乾いたら十分に水を与えましょう。庭植えは、根が張ったら水やりの必要はありません。鉢植えは、表土が乾いたらたっぷり水やりをします。
エキノプスはやせ地でも育つ植物なので、肥料は控えめにします。植え付け時に苦土石灰を土に混ぜておきましょう。生育をよくするために、毎年秋か早春に株のまわりに苦土石灰を少量まきます。
アブラムシは、つぼみや茎葉に寄生して栄養を吸い取ります。またアブラムシの排泄物からすす病を誘発するため、見つけたら駆除しましょう。アブラムシの数が少ない場合は、ガムテープなどでくっつけてはがします。大量に発生した場合は、薬剤を散布しましょう。そのほか、茎の地際部分にフキノメイガの幼虫がいたら駆除します。
うどんこ病は、日当たりと風通しが悪いと感染する病気です。カビが茎や葉に繁殖し、白い粉が吹いたようになります。長雨の時期に発生しやすいので、梅雨は特に気を付けましょう。殺菌剤など薬剤を散布し発生を抑えます。
花後は、花がら摘みをします。そのままにしておくと種をつけ栄養が奪われてしまうため、株が弱り病気にかかりやすくなるからです。そのため、色があせてきた花は順に切り取り、全部の花が咲き終わったら茎の半分くらいまで切り戻します。切り戻すことで、新芽の成長が促されます。また蒸れを防ぐために、株元の混みあった葉を整理して風通しをよくしましょう。
苗は、茎が鉢の根元から真っ直ぐ上へ、しっかり伸びているものを選びましょう。
植え替えの時期と手順は、苗の植え付けと同じです。株の衰えと病気を防ぐために、2年~5年に1回は植え替えましょう。
5月~6月に、葉や茎が密集しているところと下のほうの葉を剪定することで、秋に再び開花します。株元に日が当たり風通しがよくなり、新芽の成長が促進されるからです。また剪定をすることで、病害虫の予防にもなります。
エキノプスは茎が真直ぐに上に伸び、背が高くなると強風などで倒れやすくなります。そのため、茎が伸び切る前に支柱を立てましょう。
夏越しさせるには、快適な環境づくりが大切です。高温多湿の環境を避けるために、混みあった葉を整理し風通しをよくします。
冬場は、根が腐らないように乾燥気味に管理します。また寒さに強いため、寒冷地以外の地域では屋外で冬越しできます。寒冷地では大株に育つまでは、枯れた地上部分は切り落とし、掘り上げて鉢に移しましょう。室内で春まで管理し、暖かくなったら植え直します。
株分けの適期は3月~4月です。植え替えと同時に行うと効率がよいでしょう。