愛らしい小花を咲かせるサザンクロスは、オーストラリアが原産の常緑の花木で、正式名称はクロウエアです。日本では、南半球からきた星形の花ということでサザンクロス(南十字星)と名付けて売り出されたため、サザンクロスの名前で親しまれています。
学名でもあるクロウエアは、イギリスの医師で植物の収集・愛好家であったジェームズ・クロウ(James Crowe)氏にちなんだ名前です。
園芸部類 | 花木 |
形態 | 常緑低木 |
樹高・草丈 | 30cm~1m |
花の色 | ピンク、白 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 高温多湿に弱い |
特性・用途 | 花期が長い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
サザンクロスの花は2cm前後の星形です。5枚の花弁は肉厚で光沢があり、英語圏ではワックスフラワーの呼び名もあります。一つ一つの花が色あせず花もちするうえ、春から秋まで開花期も長い花です。花色はピンクの濃淡のほかに白色もあり、花柄は短く枝に沿うように咲きます。
サザンクロスはミカン科の常緑低木です。枝は分枝しやすく、環境に適応すると1m以上に繁りますが、剪定してこじんまりした樹形に整えることが可能です。葉は互い違いに付き、先がとがった細長い楕円形をしていて、顔を寄せるとほのかに柑橘系の香りがします。
クロウエアはオーストラリアの東部~南部に原産する数種類が知られています。日本でサザンクロスの名前で流通しているほとんどは、クロウエア・サリグナ種とクロウエア・エクサラータ種、そしてこの二つの交雑種を中心とした園芸品種です。
サザンクロス:フイリーナクイーン 苗
参考価格: 792円
サザンクロス・フイリーナは、クロウエア・エクサラータ系の斑入り品種です。花はピンク色で、緑色の葉の外側にクリーム色の斑が入ります。寒さに強く改良されていて、寒くなると斑入り部分が紅色に色づいてチャーミンです。暖かくなると元の斑の色に戻ります。
花色 | ピンク |
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葉 | 緑にクリーム色の斑入り |
サザンクロス(クロウェア)ホワイトスター4号鉢
参考価格: 980円
サザンクロス・ホワイトスター(White Star)は、クロウエア・エクサラータ系の白花品種です。やや矮性(わいせい)なのでコンパクトに育てられ、純白の小さな花や蕾が緑の葉に映えます。サザンクロスの白花品種はほかに、「ホワイト」や「ホワイトウインド」があります。
花色 | 白 |
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葉 | 緑色 |
プーリンダ・エクスタシー(Poorinda Ecstasy)は、クロウエア・エクサラータとクロウエア・サリグナの交配種です。ピンク色の花が大きめで、人気があります。
植え付け時期 | 3月頃 |
追肥の時期 | 春と秋 |
花が咲く時期 | 春~晩秋 |
春と秋に苗が出回ります。春・秋どちらでも植え付け可能ですが、暖地以外では春に植え付けたほうが根がしっかり根付くので冬越ししやすいです。
サザンクロスはミカン科の植物で霜に弱く、高温多湿にも弱いため、季節ごとに置き場所を替えられる鉢植え栽培が管理しやすいでしょう。寄せ植えでは立体的な構成ができ、主役にも脇役にもなります。ミカンが育てられるような霜の少ない地域では庭植えも可能ですが、水はけのよい土地に植えてください。
風通しがよく、適度に日当たりのよい場所が適しています。梅雨時は雨を、夏は直射日光を、冬は霜を避けられる場所が理想的です。玄関ポーチは比較的よい環境ですね。
季節 | 置き場所 |
春、秋 | 日当たりのよい場所か半日陰 |
梅雨時 | 軒下など |
夏 | 半日陰か西日を避けられる場所 |
冬 | 軒下や室内 |
サザンクロスは酸性の土壌を好みます。加湿を嫌うので、水はけのよい場所に植えてください。鉢植え用土は、鹿沼土:腐葉土を6:4、または赤玉土:酸度未調整ピートモス:川砂を6:3:1の割合で混ぜてください。市販の培養土を使う場合は、酸度を調整していないものを使いましょう。
ピートモスや鹿沼土は酸性の用土です。酸度未調整の土とは、苦土石灰などのアルカリ成分を混ぜていない土のことです。
鉢植えには、春~秋は土の表面が乾いたらたっぷり水やりしてください。冬は、水やりを控えめにしてやや乾燥気味に育てます。庭植えは、雨が数週間降らなかったとき以外は水やりの必要はありません。
4月~7月に2~3回、9月~10月に1回、緩効性の化成肥料を置き肥します。夏場は生育が衰えがちなので肥料は与えないでください。
害虫はあまり寄ってきませんが、風通しと日当たりの悪い環境下では、まれにカイガラムシが発生することがあります。歯ブラシなどで丁寧に削り取り、込み合った枝を透かし剪定して風通しをよくしましょう。
かかりやすい病気はとくにありません。
葉が枯れてきました。どうしたのでしょう?
葉が枯れるのは次の要因が考えられます。
生育環境を確認しましょう。①であれば暖かな場所に取り込みます。鉢底から根がはみ出していたら②かもしれません。一回り大きな鉢に植え替えてください。③は鉢から出して植え替え、水やりの頻度を減らします。④は酸度調整済みの培養土や苦土石灰を使っていないか確認して、土を替えて植え直してください。⑤はまれですが、何年か経つと急に枯れてしまうことがあります。挿し木で予備の株を作っておくと安心ですね。
花がひとしきり咲き終えたころに剪定すると、また芽が出て花が咲きます。秋の花後には、強めの剪定をしてください。
苗は、つぼみが付いた状態で売り出されることが多いです。幹が太めでしっかりしていて枝数の多い苗を選んでください。
根詰まりを防ぐために、鉢植えは2~3年に1回は植え替えましょう。水抜き穴が多い(広い)鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷いて排水をよくしておきます。根をほぐして古い土を少し落とし、新しい土とともに植え替えてください。庭植えは、植え替える必要はありません。
花がひとしきり咲いた夏前に軽めの剪定すると、秋に再び開花します。秋の花後に再び切り戻して樹形を整えましょう。
蒸し暑い地域では、夏前に剪定します。夏は花を咲かせないか少なめにして、株を休ませるとよいでしょう。適切に株を休ませると、秋に再び開花します。冷涼な土地では、夏もそのまま咲かせて問題ありません。
霜や寒風に当てないように、軒下か室内に取り込みましょう。暖かい環境では、冬も開花することがあります。低温注意報が出るような日は、カーテンのない(または薄いカーテンのみ)室内の窓際では昼夜の寒暖差が堪えることがあるので、置き場所に気を配ってください。
サザンクロスは挿し木で増やせます。先端の新しい枝を7cmほど切り取って挿し穂にします。葉を先のほうに少し残してあとは摘み取り、30分くらい水あげしたあと湿らせた土に挿しましょう。用土は小粒の赤玉土か鹿沼土、または挿し木用の培養土を使ってください。挿し木の適期は6月頃です。剪定した枝を使うとよいでしょう。
サザンクロス ( クロウエア サリグナ ) ポット苗
参考価格: 998円
サリグナはクロウエアの原種の一つで、よく出回っているサザンクロスです。クロウエア・エクサラータより葉幅が広く、花もやや大きめで柔らかな印象があります。中国名は「柳南香属」、英語名も「柳葉のクロウエアwillow-leaved crowea」です。
花色 | やや濃いピンク |
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葉 | 緑色 |
出典:写真AC