挿し芽(挿し木)とは?
挿し芽(挿し木)について
挿し芽(挿し木)は植物を増やす方法の一つ
植物を増やす方法としては、種をまいたり球根を植えたりするほかに、その植物の枝を切って土に植える挿し芽(挿し木)という方法があります。種や球根から育てるよりも、挿し芽(挿し木)の方が短い期間で増やすことができるのが利点です。また、気に入った植物のクローンをたくさん作ることができるというのも魅力ですね。
挿し芽(挿し木)は簡単にできる
挿し芽(挿し木)って難しそうで、うまく根が出ないのでは?と思われがちですが、そんなこともなくて意外と簡単にできます。挿し芽(挿し木)の仕方を理解して、向いている植物を選べば、初心者でも大丈夫です。後ほど仕方や植物について詳しく説明しますので、ぜひ参考にして挿し芽(挿し木)にチャレンジしてみてください!
挿し芽と挿し木
挿し芽と挿し木、この二つはどう違うの?
どちらも同じ作業をするのですが、挿し芽は草花、挿し木は樹木を増やす方法です。
挿し芽とは?
草花を増やす方法が挿し芽です。種ができにくい花などを増やす場合に有効な仕方で、元気に伸びている枝の先端を切って挿します。
挿し木とは?
樹木を増やす方法が挿し木です。バラやアジサイなど挿し木で増やすことができる植物もたくさんあります。新芽だけではなく、昨年伸びたところを挿し枝にする仕方もあります。
挿し芽(挿し木)の方法
挿し芽(挿し木)に適した時期
挿し芽(挿し木)するのに最適な時期は、4~7月です。この時期は適度な気温で、梅雨があるので適度な湿り気も確保できます。真夏は気温が高く日差しも強いので避けましょう。翌年のための苗を作る目的で、秋にも挿し芽をしますが、休眠時期を迎えるので根が出ないこともあります。
挿し穂を作る
挿し穂とは、土に挿すために切り取った挿し枝のことです。元気に伸びている先端から10~15cmほどのところで、よく切れるはさみで斜めにカットしましょう。葉は先端の4~6枚程度だけ残して、ほかの葉は水分蒸発を防ぐために落とします。花やつぼみが付いていたら、それも取り除いておきます。ここまでの状態にしたものが挿し穂(挿し枝)です。
挿し床を作る
育苗トレイやビニールポットなどに挿し芽用の用土を入れたものが挿し床です。挿し床に適した用土は、雑菌がなくて清潔でなければいけません。使い古しではなく、新しい用土を準備しましょう。排水性と通気性かいい赤玉土と、保水性があるピートモスを、4:1ぐらいの割合で配合します。または挿し床用の用土が市販されているので、それを使うと簡単です。
挿し床に挿す
挿し穂(挿し枝)は土に植える前に、1~2時間ほど水に漬けておくと水あげが良くなります。割り箸などで土に穴をあけておいてやると、茎が折れずにスムーズに挿すことができます。
涼しい場所に置く
挿し床は直射日光が当たらない、半日陰で涼しい場所に置いてください。しっかりと根付いたようであれば、日当たりに出しても大丈夫ですが、しばらくは様子を見て軒下などで管理した方がいいでしょう。
こまめに水やりする
挿し床が乾かないように、常に注意をしてこまめに水やりすることが大切です。過度に湿気ると腐ってしまうこともあるので気をつけましょう。水やりをするときは挿し穂に水がかかってしまうと動いて根が出ないので、周りの土にそっとかけるようにしてください。
挿し芽(挿し木)でうまく発根させるコツ
うまく発根させるコツ①鋭利な刃物で斜めに切る
挿し穂のカットにはよく切れる刃物を使いましょう。そして切り口の断面が広いほど発芽の確率が上がるので、できるだけ斜めになるように切ります。
うまく発根させるコツ②発根剤を使う
発根促進剤「ルートン」
挿し穂の発根率を上げるのに発根剤はとても効果的で、ルートンという発根剤がおすすめです。このルートンを使うと根が出ない…という悩みからも解放されますよ!
ルートンの使い方
ルートンは粉状なので、薬剤が付きやすくするために、挿し穂の先端を水で濡らしましょう。ルートンを少量、挿し穂の先端に付けます。あまりたくさん付け過ぎると、かえって腐ってしまうので気をつけてください。そのままそっと挿し床に差し込めば完了です。
うまく発根させるコツ③挿し穂を動かさない
挿し芽をした後、通常3~4週間ほどて発根します。その間はなるべく挿し穂が動かないように気をつけてください。雨や水やりが挿し穂にかからないようにしましょう。また、根が出たかどうか確かめるために、頻繁に挿し穂に触って動かすようなことは避けなければいけません。
簡単に挿し芽ができる植物は?
挿し芽で増やすことができる植物はたくさんあります。草花では、ペチュニア・ポーチュラカ・コスモス・サルビア・菊なども挿し芽できます。また観葉植物ではアイビー・ポトス・ハイビスカスなども可能です。特にハーブは挿し芽に向いている植物が多く、ローズマリー・ミント・セージ・ラベンダーなども簡単に挿し芽で増やせます。その中から、特に簡単に挿し芽ができる植物を5種類ご紹介します。
ポーチュラカ
ポーチュラカは葉や茎が多肉質で、非常に強く、少々水切れしても大丈夫です。挿し芽しても発根率がとても高いので、失敗することはまずありません。生育も旺盛なので、1株買えば挿し芽で3~4株ぐらいに増やすことができますよ。
インパチェンス
インパチェンスは初夏から秋にかけて、長い間花が咲き続きます。強い日差しには弱いので、半日陰の場所を好みます。インパチェンスは成長が早いので、花姿が乱れてきたときに剪定を兼ねて挿し芽をするといいでしょう。2週間ほどで簡単に発根します。
セージ
セージは繁殖力が強く、とても育てやすいハーブです。背が高くなってきて剪定したときに、挿し穂を作って新しい株を増やしましょう。セージは多年草なので、翌年以降でもまた花を咲かせてくれます。親株が古くなった場合に代替えとして予備苗を作っておくということもできておすすめです。
ペチュニア
ペチュニアはカラフルな夏の花として園芸店でも様々な種類が売り出されています。暑さにも強いので、花が少なくなる真夏に重宝しますね。このペチュニアもとても強い花なので簡単に挿し芽で増やせます。一年草なのですが、秋に挿し芽して苗を作っておけば翌年に咲かせることも可能です。
ポトス
観葉植物の中で挿し芽に一番おすすめなのがポトスです。伸びた茎にはすでに根が出てきている場合もあって、その根を利用して挿し芽にすることができます。また、水に挿しておくだけでも発根するので、新しく伸びてきた先端部分を切ってコップなどに入れて、根が出たら土に植えることで簡単に増やすことができます。
まとめ
いかがですか?意外と挿し芽は簡単なんだなぁ…とお分かりいただけたでしょうか。もちろん、挿し芽に向いている花と向いていない花もありますが、もともと元気に育つ植物は、挿し芽でも増やすことができる物が多いのです。お気に入りの花が簡単に増やせるのは嬉しいですよね。ぜひ挿し芽で株を増やして、花いっぱいの庭にしてみてください!
出典:筆者撮影