多肉植物の一種である金のなる木は、日本でも古くから栽培されている植物です。民家の庭先で栽培されていることも多く、知らず知らずのうちに目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。名前のとおり縁起のよい植物としても知られ、育て方も容易で初心者の方にもおすすめの多肉植物です。
園芸部類 | 観葉植物、多肉植物 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 約1m |
花の色 | ピンク |
開花期 | 11~2月 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 常緑性 |
栽培難易度 | ★★★★☆ |
金のなる木は、名前の由来とされる小判や小銭のように見える肉厚の葉が特徴です。自生地では3mほどにまで成長しますが、四季のある日本では大きくなっても1mほどです。成長とするとたくさん枝分かれし、藪状に茂っていきます。
桜花月
参考価格: 2,098円
桜花月は金のなる木の矮性品種で、金のなる木ほど大きくなりません。それほど場所を取らないため、室内のインテリアにも向いています。冬になるとピンク色の花を咲かせます。
栽培難易度 | ★★★★☆ |
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おすすめ度 | ★★★★☆ |
ゴーラム
参考価格: 750円
ゴーラムは金のなる木の葉の形が、棒状に変形した種類で「宇宙の木」とも呼ばれています。他の品種とは違って、花が咲くことはほとんどありません。育て方は難しくありませんが、成長はゆっくりで大きくなっても50cmほどです。
栽培難易度 | ★★★★☆ |
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おすすめ度 | ★★★★☆ |
黄金花月
参考価格: 1,574円
金のなる木の黄色い斑入りの品種で、葉緑素のない部分が黄色から黄緑色をしています。夏場はやや緑がかりますが、寒さに当たると名前のとおり黄金色に変化します。黄色は金運を上げるといわれるため、より縁起のよいものとして贈り物にも人気です。
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
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おすすめ度 | ★★★☆☆ |
金のなる木は春秋型の多植物です。成長期は3~12月で、暑くなる7~8月は半休眠状態に、1~2月は休眠期に入ります。成長サイクルに合わせて管理をするのが、上手に育てるポイントです。
金のなる木は基本的には鉢植えで育てます。寄せ植えにする場合は、金のなる木と同じ春秋型の種類と植えると管理しやすくなります。霜が降りない温暖な地域であれば露地植えも可能ですが、雨が当たらず水はけのよい環境を整えなければいけません。地植えすると大きく成長しやすいため、植え付ける場所には注意してください。
暖かい地域が原産の金のなる木は、春~秋の暖かい時期はなるべく屋外で育てましょう。それほど耐寒性はないため、寒い時期は室内や園芸用温室内に移動して育ててください。室内に置く場合は、風通しが悪くなりやすいことから、サーキュレーターなどで人工的に風を作って通気性を確保しましょう。
日光を好む金のなる木は、暖かい時期はなるべく屋外の明るい場所で育てましょう。日当たりが悪いとヒョロヒョロと徒長してしまいます。しかし、真夏の直射日光に当てると枯れてしまうため注意が必要です。また、風通しが悪いと病害虫の被害にあいやすくなります。風通りのよい場所を選びましょう。
金のなる木の栽培には、水はけのよい用土が適しています。初心者の方は、市販の多肉植物用の用土を使用するのがよいでしょう。自身で配合する場合は、赤玉土2:鹿沼土2:軽石1をベースに、環境にあわせてほかの土を追加・配合して使用しましょう。
金のなる木は成長期の春~秋には、用土が乾いたらたっぷりと水やりをします。休眠期である冬の間は1カ月に1回ほど軽く水やりをします。なるべく晴れて暖かい日の日中に行いましょう。
成長期の始めごろに、粒状の緩効性肥料を株元に施します。その後の成長期中は、1カ月に1回程度水やりをかねて液体肥料を与えましょう。休眠期は悪影響が出るため、肥料は与えないでください。
金のなる木は大きくなるにつれてよく枝分かれし、株の中心付近が混み入ってきます。すると中心部の風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすくなります。大きく成長したら、風通しと日当たりを改善するために、剪定するのがおすすめです。剪定する枝は好みの部分で問題ありませんが、なるべく葉が重なり合わないようにすると効果的です。また、剪定した枝は挿し木で増やせます。
金のなる木には、カイガラムシやアブラムシが発生しやすいです。発生初期であれば指先やピンセットで摘まんで除去できるため、こまめに観察してください。大量に発生してしまったに場合には、市販の殺虫剤をまいて対処しましょう。どちらの害虫も風通しが悪い環境で発生しやすいため、栽培場所に注意してください。
金のなる木が発症しやすい病気は、根腐れ病です。根腐れ病は多湿な環境で栽培すると発症しやすい病気です。水やりのし過ぎや置き場所に注意しましょう。発症してしまった場合は、一度苗を抜いて腐った部分を取り除き、水はけのよい用土に植え替えてください。
購入後や、季節の変わり目では環境の変化により葉焼けを起こすことがあります。葉焼けを起こした葉は、枯れはせずとも見た目が改善することはありません。明るい環境へと移動させる場合は、1週間ほどかけて徐々に移動させましょう。
金のなる木は日当たりのよい環境を好むため、室内など日当たりが悪い場所で栽培すると徒長してしまいます。徒長してしまった場合には、置き場所をより明るい場所へ移動させましょう。早期に対処すれば、見た目もそれほど悪くなりませんが、対処が遅くなると間延びしてしまいます。その場合は剪定して仕立て直すことで樹形を整えられます。
成長期にもかかわらず、葉が枯れてしまう原因は水分不足の可能性が高いです。適切な回数や量の水やりをして状態を回復させましょう。適切な水やりをしても改善されない場合は、根詰まりを起こして水を吸い上げられていない可能性があります。一度苗を抜いて、一回り大きな鉢に植え替えてください。
休眠期に枯れる場合は、置き場所が寒すぎる可能性が高いです。丈夫な金のなる木といえど耐寒性はそれほど高くないため、5℃以上の環境で栽培しましょう。昼間は暖かい場所でも、明け方は思いのほか温度が下がっている場合もあります。夜の間だけ不織布やビニールをベタ掛けするのも効果的です。
金のなる木を選ぶときは、幹が張り、徒長していないものを選びましょう。葉の裏側や枝の分岐点にはカイガラムシなどの害虫が潜んでいることがあるため、よく観察してください。
金のなる木は1~2年に1回ほど植え替えましょう。植え替える時期は、成長期の前半が最適ですが、成長期中であれば問題ありません。苗を抜いたら、根をほぐして1/3ほどに切り詰めましょう。1サイズ大きな鉢に植え替えたら数日間は日陰で管理し、徐々に明るい場所へと移動させます。
金のなる木はうすいピンク色の花を咲かせます。花後は、早めに花がらを摘み取りましょう。そのままにしておくと、病害虫の原因になってしまいます。また、小さな株は成長を優先させるために、開花する前に早めにつぼみを摘み取ってしまったほうがよいでしょう。
金のなる木は多湿な環境が苦手です。湿度の高い夏場は風通しがよい場所で管理しましょう。また、真夏の直射日光は葉焼けの原因や、鉢内が高温になりすぎるため避けてください。夏の置き場所には、半日陰になる軒下などが適しています。水やりをする場合は、暑い時間を避け、朝夕の涼しい時間に行いましょう。
外気温が10℃を下回るのを目安に、室内か園芸用温室に取り込みましょう。霜が降りない暖かい地域であれば、軒下でも冬越しが可能です。休眠中は水やりを月に1回ほどに減らし、鉢の中を乾燥気味に管理するのがポイントです。また、室内に移動した際はエアコンなど暖房器具の風が直接当たらないように気をつけてください。
金のなる木の手軽な増やし方は挿し木です。剪定した枝を用土に挿すだけで増やせます。
金のなる木は葉挿しでも増やせます。葉の数が多ければ一度にたくさん増やせる方法です。