仏手柑とは、香酸柑橘類で似た仲間にカボスやユズがあります。室町時代~江戸時代にインドから渡ってきました。仏手柑は千手観音像が手をあわせる形を模しているように見えるのが名前の由来です。中国では胃腸薬や疲労回復、延命長寿の漢方薬として使われるとともに、商売繁盛や多福をよぶものとしておめでたい席に飾られました。日本でも正月飾りに使われます。
園芸部類 | 熱帯果樹 |
形態 | 常緑低木 |
樹高 | 3m~5m |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
仏手柑は名前のとおり手のようにも見える、強烈なインパクトを与える形が特徴です。仏手柑は非常に香りがよく、濃厚な甘い香りが部屋に広がるのでアロマの代わりにもなります。仏手柑は食べられる実がないので生食は難しいですが、よい香りがする皮を甘く煮てコンポートやジャムにしたり、焼酎に漬けて果実酒を作ったりもできます。
仏手柑はほかに種類はありません。仏手柑は「手仏手柑」とも呼ばれます。高知県の四万十川周辺では「丸仏手柑」とよばれる丸い形をしたものが栽培されています。手仏手柑と区別するために丸仏手柑はひらがな表記で「ぶしゅかん」とされます。
植え付け時期 | 3月~4月 |
花が咲く時期/開花時期 | 5月~6月 |
実がなる時期 | 10月~11月 |
収穫時期 | 1月~2月 |
ボタニ子
12月~2月にかけて色がつきだすよ。濃い黄色になったら収穫サインです。1本の樹で実がなるから寄せ植えにする必要はないわ。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け | ○ | ○ | ○ | |||||||||
開花時期 | ○ | ○ | ||||||||||
結実 | ○ | ○ | ||||||||||
色づき | ○ | ○ | ○ | |||||||||
収穫 | ○ | ○ | ○ |
仏手柑の植え付けの時期は3月~5月です。暖かくなるのが遅い年は、寒の戻りがなくなってから植え付けましょう。仏手柑はインドが原産の熱帯果実なので耐寒性が弱く、寒さで成長がストップします。冬は仏手柑の果実が熟す時期でもあるので、暖かい場所か室内で栽培しましょう。
仏手柑は寒さに弱いため、寒冷地では冬に室内へとりこめるプランターや植木鉢に植え付けるのがおすすめです。大きさは植木鉢なら7号以上、プランターも3L以上用土が入るものがよいでしょう。
仏手柑は乾燥には弱いですが、水はけのよい用土を好みます。腐葉土と小粒の赤玉土をまぜたものがよいでしょう。柑橘系の植物用の用土も市販されているので、専用の用土を使えば安心です。
仏手柑は流通量が少ないので、花屋やホームセンターで探すよりも楽天やアマゾンなどのECサイトや、農園の経営する通販サイトを利用するのがおすすめです。仏手柑をなるべくはやく収穫したい場合は鉢植えの二年生苗を、じっくり育てたい場合は一年生苗のポットを選びましょう。
仏手柑自体の流通量が少ないため、種の購入は非常に難しいです。
仏手柑の地植えの場合40cm~50cmの穴をほり、底から半分程度に腐葉土や油粕をまぜた土を入れます。その上に肥料の入っていない土をいれて苗を植え付けましょう。苗の周りをよく固めて倒れないようにします。プランターや植木鉢は、底に大き目の軽石を1/4いれ、水はけよくして用土をいれましょう。苗をいれて、周りのすきまへしっかり用土をたします。
ボタニ子
植木鉢も苗がぐらつかないようにしてね。柑橘類の植え方はだいたい同じなので、ほかの植物も参考にしてみて!
仏手柑を室内で育てる場合、風通しがよく日当たりがよい場所で管理しましょう。日光不足になると苗の育ちがにぶくなり、花が咲かなかったり実がならなかったりすることがあります。寒冷地の冬以外はなるべく直射日光のあたる、屋外で育てるのがおすすめです。
屋外で育てる場合、日光がよくあたりほどよく風通しのよい場所で管理しましょう。仏手柑にはとげがあるので、風が強く当たる場所は実に傷ができやすく、そこから病原菌が入ることもあるので避けてください。
仏手柑を植え付けたあと、地植えの場合1週間ほどは水がたまるくらいたっぷり与えて下さい。水分がじゅうぶんあることで根が張りやすくなります。鉢植えの場合も植え付けたあとは、下から水が流れ出すほどにしっかりと水やりしましょう。乾燥しないように注意してください。
仏手柑をプランターや鉢植えで育てている場合、土の表面が乾いたら鉢底から流れでるくらいしっかり水やりします。乾燥に弱いので乾かさないようにしましょう。地植えは降雨でしのげます。
プランターや鉢植えは水切れしやすいので毎日たっぷり水やりしましょう。地植えは降雨でしのげますが、日照りが続くときはようすをみて水やりしてください。
冬は水の吸い上げがほかの季節ほどはやくないので頻度は少なくなります。土の様子をみて乾燥しない程度に水やりしましょう。
仏手柑を植え付けるときには、最初から肥料を入れるのを避けましょう。まだ幼い根が肥料やけをおこして枯れるのを防ぐためです。仏手柑を地植えするときは底に肥料の入った土を入れ、上に肥料のない土をいれると、肥料やけを避けられます。仏手柑の鉢植えも植え付けのときは元肥をいれるのはやめましょう。肥料をあげるのは根が落ちついて苗が安定してからです。
仏手柑は2月~3月、6月~7月、8月~9月、11月の年4回肥料をあげます。初春はまだ肥料の吸収が遅く、夏にむかって続けて栄養分を補足したいので2月~3月には緩効性化成肥料を、それ以外の時期は速効性肥料がおすすめです。
仏手柑がかかりやすい病気はかいよう病です。風や自分のトゲで実が傷付くとそこから細菌がはいり感染する病気で、かさぶたのようなものができます。かさぶたのついた実や葉は見つけしだいとりのぞきましょう。害虫はアブラムシやカイガラムシがつきやすいです。仏手柑を観賞用として育てる場合は殺虫剤を使用します。
ボタニ子
アゲハ蝶の幼虫も要注意なの。ほっとくと葉っぱ全部食べられちゃうわ。
仏手柑の増やし方はおもに挿し木です。剪定で落とした枝の中で元気のよいものをえらんで挿し木しましょう。枝を水の中に入れて発根をうながしてから土に植えるか、直接用土にさして水分を切らさないように管理します。
仏手柑は薄い紫がかった白い花を咲かせ、とてもよい香りがします。花は実がなるまでに自然と落下するので、花がら摘みは必要ありませんが、地面に落ちた花がらが気になるようなら、掃除をしておくと衛生的です。
仏手柑は植え付けてから2年がすぎたら、風通しが悪くなった場所や枯れた枝、花芽のついてないものを剪定しましょう。剪定時期は2月~3月です。仏手柑は枝分かれしにくく、幹からたくさんの枝を出す力が弱いです。枝を伸ばす力は強いので、植え付けたときに地面から30cm~40cmのところで幹の地上部を剪定すると、育ったときに横に枝がのびて栽培しやすくなります。
出典:写真AC