ヘビウリ(蛇瓜)ってどんな植物?
学名 | Trichosanthes cucumerina(英名:Snake Gourds/和名:ヘビウリ) |
属性 | ウリ科カラスウリ属 |
分類 | つる性の一年草,半耐寒性 |
樹高 | 2m~5m(つる性のため栽培場所による) |
時期 | 開花:7月~9月 収穫:8月~9月 |
大きなものでは1m以上にもなる、薄い緑色のボディに濃い緑や白の縦縞模様、垂れ下がった姿かたちはまるでヘビのよう。そんなユーモラスな見た目がとても特徴的なヘビウリは、キュウリやカラスウリと同じウリ科の野菜です。日本には明治末期に観賞用として持ち込まれ、最近では栄養価の高さや効能が注目され、セイロン瓜やスネークメロンの名前で栽培が始まっていますが、まだまだ知名度が低くスーパーに並ぶことも珍しいため、ヘビウリの存在を知らない人も多いのではないでしょうか。
ヘビウリ(蛇瓜)の特徴
ヘビウリの名前の由来
ヘビウリの実は、とても大きくまっすぐ育つものもあれば、うねった形に育つものもあります。その見た目がヘビに似ていることから、ヘビウリ(蛇瓜)やスネークメロンの名がついたとされています。別名ケカラスウリ(毛烏瓜)と呼ばれており、カラスウリによく似ています。
インド原産の野菜
ヘビウリの原産国はインドや熱帯アジアです。サラダやお漬物として生でも食べることができ、たくさんのレシピが存在します。原産国や周辺地域では、他のウリ科の野菜と同じように食卓に上がるポピュラーな食材なのです。
白い綿毛のような花
ヘビウリの花は小さくて綺麗な白い花で、「変化を怖れない」という花言葉を持っています。花が見られるのは夏から秋にかけて(7月頃~9月頃)で、5つに分かれた花冠の縁が細かく裂け、まるでレースのようにフワフワとした特徴を持っています。このヘビウリの花はカラスウリの花にとてもよく似ていますが、カラスウリの花は日暮れ頃から早朝にかけて咲くのに対し、ヘビウリの花は昼間に咲きます。
熟すと鮮やかな赤橙色に
ヘビウリの若い実は薄い緑色ですが、成熟してくると黄色から赤橙色へと色が変わります。赤く色付く頃になるとヘビウリの実は柔らかくなり中身はゼリー状になって、さらに成熟させると乾燥が始まり、やがて実が破れ種が落ちます。種を採りたいのであれば、実が破れる前に収穫してしまいましょう。
ヘビウリ(蛇瓜)の利用方法
主に観賞用として
ヘビウリはれっきとした野菜なのですが、元々観賞用として輸入されたこともあり、食用としてはあまり栽培されていません。花期には小さく可憐な花が楽しめ、収穫期からしばらくは青い実が色付いていく様子を眺めることができます。また、つる性の夏野菜のためネットや棚に這わせることで、グリーンカーテンとしての役割を果たすことができる便利な一面もあります。
ハロウィンのオーナメントとして
ヘビウリは棚に這わせて育てると長細く育ちますが、地這いで育てるとグルグルととぐろを巻いたように育ちます。収穫した実を乾燥させると表面が硬くなり、色も茶色へと変わります。海外ではその実を絵の具などで着色したり装飾を施したりして、ハロウィンのオーナメントとして利用されています。
食材として様々な料理に
クセがなく淡泊な味のヘビウリは、サンバール(インドのスープ料理)やカレーの具材として食べられています。またアフリカではトマトの代用品として食されることもあります。おすすめの食べ方を栄養や効能と共に紹介していますので、興味を持たれた方はぜひ味わってみてください。
ヘビウリ(蛇瓜)の育て方
ヘビウリの特徴や食べ方を紹介しましたが、ここからはヘビウリの育て方を紹介します。ウリ科の中では少し難しいと言われているヘビウリの栽培ですが、ポイントをしっかり押さえれば失敗も少なくなります。
ベランダでも栽培可能
ヘビウリはつる性の植物のため畑や庭での栽培が望ましいのですが、地這いやグリーンカーテンとしても利用できるネットを活用することによって、プランターでの栽培も可能になります。ただし、つるはどんどん伸びていくので近隣の迷惑にならないよう注意しましょう。
ヘビウリの育て方①種まき
ヘビウリの種まき時期は4月~6月頃で、発芽率が悪いことに加えて、寒さや霜に弱いため十分暖かくなってから種を蒔きましょう。苗は流通が少なく入手しにくいため、園芸店などで種を購入しポットへ点蒔きして育てることになります。
ボタニ子
先端に切り込みを入れて水に浸す
まず発芽率を上げるために浸種を行います。ヘビウリの種の種皮はとても硬いので、種の先端(尖っている部分)にハサミなどで少しだけ切り込みを入れます。この際、中にある胚を一緒に切らないように注意してください。バットなどに脱脂綿やキッチンタオルを敷き詰め水をしみ込ませます。そこに種を均等に並べ種が隠れる程度に水を入れます。種が乾燥しないように注意しながら、暖かく風通しの良い所に置いてください。2日~1週間ほどで根が出てきます。
ボタニ子
ヘビウリは暖かい国生まれだから寒さが苦手なの。気温が20度以下にならないように気を付けてね!
準備するもの
- 種まきポット
- 野菜培養土
根が出たらポットに点蒔きします。ポットに土を入れたら中指の第一関節までの深さの穴をあけ、その中に種を入れます。軽く土をかぶせたら、浸種の時と同じように暖かく風通しの良い所に置いてください。発芽までの目安は1週間程度です。表面が乾燥していたら水やりをしてください。この際、勢いよく水をかけすぎて種が流れてしまわないように注意が必要です。
ヘビウリの育て方②植え付け
ヘビウリを植え付ける土壌の土作りをします。土作りは植え付けの10日~2週間前までに終わらせるのがベストなため、ヘビウリの発芽のタイミングで行うのがよいでしょう。
ボタニ子
ヘビウリを植え付ける前に、土壌をしっかり整えてあげましょ!
日当たりの良い場所を選ぶ
ヘビウリはよく日が当たり風通しの良い場所を好むので、じめじめとした日陰などに植えないよう注意しましょう。
準備するもの
- 苦土石灰
- 牛ふん堆肥
- 固形タイプの肥料
- 土壌酸度計や酸度測定液
ヘビウリを植え付ける場所を決めたら、1平方m当たり100g~200gの苦土石灰をまんべんなくまきしっかりと耕して混ぜ込みます。この際土壌酸度を計測しph6.0~ph7.0の範囲内であれば、苦土石灰を混ぜ込む必要はありません。
ボタニ子
本葉が4枚くらい開いた頃が植え付けのタイミング!
発芽から3週間程、本葉が4枚~5枚開いたら植え付け可能ですが、寒さや霜にとても弱いため5月に入ってからの植え付けが望ましいです。準備しておいた土壌に1平方m当たり2㎏~3㎏の牛ふん堆肥と1平方m当たり100g~200gの固形タイプの野菜用肥料をまんべんなくまき、しっかりと土に混ぜ込みます。ヘビウリの苗と苗の間隔を50cm程度とりながら植え付けます。
ヘビウリの育て方③仕立て
高さには余裕を持たせて
ヘビウリは成長すると1m以上になり、大きなものでは1.5mを超えることもあります。仕立てる際には支柱の高さに注意し最低でも1.5mの高さが確保できるようにしましょう。
準備するもの
- 2m程の長さの支柱
- 園芸ネット(つるもの用)
- ビニタイや紐
苗の根元から10cm程離れた場所に支柱を立てていきます。全ての苗に立て終わったら補強用の支柱を両脇に2本立て、横に1本渡します。この時外れないように支柱同士をしっかりとビニタイや紐などで止めます。全ての苗を固定し終わったら、園芸ネットをそれぞれの支柱に通して張っていきます。最後にたっぷりと水を与えたら植え付けと仕立ては完了です。
ヘビウリの育て方④摘心と誘引
ヘビウリはつる性の野菜のため、つるをどんどん伸ばしながら成長していきます。この時重要なのは主茎(親づる)で、この親づるを早く成長させるためにそれぞれの節から伸びる脇芽(子づる)を摘み取る必要があります。主茎が支柱の一番上まで伸びたら、主茎の先を摘み取り(摘心)脇芽を3~4本伸ばしまんべんなくネットに這うように誘引します。
ボタニ子
ヘビウリのつるを上に伸ばすために、いらないつるは切っちゃいましょ!
追肥のタイミング
一度目の追肥は、苗の植え付けから2週間後に固形タイプの野菜用肥料を1平方m当たり30g~50g与えます。この際、苗から30cm程度離れたところに肥料をまき土寄せをします。二度目の追肥は実がなり始めた頃ですが、前回の追肥よりもさらに20cm程度離れたところに肥料をまくようにしましょう。まんべんなくまいたら同じように土寄せします。
ヘビウリの育て方⑤収穫
水やりはたっぷりと
ヘビウリは、種を蒔いてからおおよそ2ヵ月~3ヵ月で収穫期を迎えます。成長期と収穫期は夏の暑い盛りですので、毎朝たっぷりと水やりをします。土が乾燥しているようであれば夕方頃にもう一度水やりをしてください。
ボタニ子
待ちに待った収穫の時期がやってきたわ!
ヘビウリの実が30cm~50cmになれば、収穫のタイミングです。赤黄色くなるまで熟してしまうと食用には向かなくなってしまうので、種を採らず実を食す場合には緑色のうちに収穫してしまいましょう。また20cm以下の小さな実は皮も柔らかく、皮むきやわたと種をとりだすなどの下処理をせずに食べることができます。
ヘビウリの育て方(番外編)種付けと種取り
ヘビウリは雌雄異花同株
ヘビウリは、雌の花と雄の花が一つの株に咲く雌雄異花同株と呼ばれる分類の植物です。そのため一株だけでも実をつけることが可能です。
ボタニ子
花が咲いたら受粉のタイミングよ!
ヘビウリの花が咲いたら、人工授粉を行います。人工授粉を行うことで実をつける確率をさらに上げることができます。雄の花をちぎり雌の花の柱頭(めしべの頂部)にこすりつけます。この作業はよく晴れた日の午前中に行うようにしましょう。
収穫した種はしっかり乾燥を
ヘビウリの実が熟れて赤く色付いてからしばらく待ち、茶色く乾燥してくる頃が種取りのタイミングです。取り出した種はよく洗って風通しのよい日陰で干してください。乾燥が終わったら密閉容器に乾燥材と一緒に入れて涼しい所で保管してください。乾燥が不十分だとカビが発生する原因になるので注意しましょう。
ヘビウリは発芽率があまり高くない野菜だけど、下準備で発芽を手助けしてあげましょ!