ゴーヤは収穫のタイミングが難しい
独特の苦味をもつゴーヤは、夏バテを防いだり食欲を増進させたりする効果が期待できる食材です。栽培の手間がかからないため、家庭で育てている方も多いかもしれません。しかし、ゴーヤは収穫のタイミングを見極めるのが難しい野菜です。採ってよいのか迷っているうちに色が変わって収穫適期を逃してしまう場合があります。大きさや色など収穫の目安を知り、ゴーヤのおいしい時期を逃さないようにしましょう。
ゴーヤとはどのような野菜?
ゴーヤは、沖縄県や鹿児島県で多く栽培されているウリ科の植物です。地域によって呼び名が異なり「苦瓜(にがうり)」「レイシ」「ツルレイシ」とも呼ばれています。苦味が強いため好き嫌いがわかれますが、栄養価が高く健康維持に役立つ野菜です。また、暑さに強く旺盛な生育力を活かし、夏の日差しを遮るグリーンカーテンとして人気があります。
ゴーヤの収穫はいつ頃?
ゴーヤは、7~9月ごろに小さい黄色い花を咲かせます。先に雄花が咲き、しばらくすると雌花が咲き始め、虫が媒介して自然に受粉し実がなります。雌花が咲く前に咲いた雄花は、次々に落ちてしまいますが心配ありません。雌花のつけ根に小さなゴーヤの実がついていたら、受粉が成功しています。雌花が咲いてから15~30日後が収穫の目安になるため、開花後の日数を数えておくことが大切です。
収穫適期
ゴーヤの収穫適期は、7~9月です。地域によっては10月ごろまで実がなりますが、収穫適期を過ぎると次第に小さい実がなります。ときどき小さい状態のゴーヤを摘果しましょう。摘果すると、残ったゴーヤに栄養が行き渡り、おいしい実がなります。また同時に株が弱るのを防げるため収穫期間を伸ばせます。
ゴーヤの収穫時期の見極め方
ゴーヤは、緑色の未熟な状態のものを収穫します。たった1日収穫のタイミングを逃すと、おいしい時期が過ぎてしまいます。熟す前の、実にエネルギーがみなぎっている状態が収穫適期です。「明日まで待ってみよう」と期待すると、翌日には完熟して黄色くなっている場合があります。色やサイズを毎日観察し、収穫のタイミングを見極められるようになりましょう。
ボタニ子
雌花が開花した日を記録しておくと、収穫までの日数が数えやすくなります。
見極め方①イボの大きさ
ゴーヤは、イボがぎっしり詰まってすき間がない状態になったら収穫できます。実が縦ではなく横に広がるようになり、イボが大きくなり始めたら収穫の合図です。濃い緑色だけではなく、淡い緑色や白色の実もあります。どれも表面に艶がある、みずみずしいものを採りましょう。成長が止まると、イボとイボの谷間の色が薄くなります。成長が止まったときを見逃さないのが、おいしい実を収穫するポイントです。
見極め方②積算温度を目安にする
収穫の見極めが難しいときは、積算温度を目安にしましょう。ゴーヤは、開花から収穫までの気温が大きく影響します。気温が低いときは開花後30日ほどかかりますが、気温が高いときは開花後20日ほどで収穫できます。緑色が薄くなり手で触って柔らかいと感じたら、熟し始めた証拠です。収穫適期を過ぎると1日で熟して黄色くなってしまいます。できるだけ黄色くなる前に収穫しましょう。
ボタニ子
黄色い実の中には、赤い果肉に包まれた種があります。熟しているため、とても甘く菓子として食べられます。
積算温度とは?
積算温度とは、受粉から収穫までの毎日の平均気温を合計したものです。ウリ科の植物は、実が熟したかを見極めるのが難しいため、日数とあわせて積算温度も管理して収穫のタイミングを計ります。ゴーヤの積算温度は600~800℃が目安です。積算温度が1000℃くらいになると完熟しているため、その前に収穫しましょう。
見極め方③実の長さ
ゴーヤの実の大きさは、品種によって異なります。長さは、10cm程度の小ぶりのものから、40cm程度の大きなものまでさまざまです。一般的な品種は、真ん中が太く上下が細い「紡錘形(ぼうすいけい)」です。ほかにも円柱形や卵型などがあります。栽培しているゴーヤのサイズを知り収穫の目安にしましょう。
品種によるサイズの違い
品名 | 長さ | 太さ |
あばしゴーヤ | 20~25cm | 直径7~9cm |
沖縄願寿ゴーヤ | 30~35cm | 直径8~10cm |
沖縄中長ゴーヤ | 20~30cm | 直径7~10cm |
太れいし | 10~15cm | 直径5~6cm |
さつま大長れいし | 30~40cm | 直径4~5cm |
ウッチャボルダエ (プチレイシ) |
3~5cm | 直径2~3cm |
ミニゴーヤ | 10~15cm | 直径7~9cm |
アップルゴーヤ | 10~15cm | 直径10~15cm |
ゴーヤを収穫する時間帯
ゴーヤは、できるだけ気温が高くなる前、朝8時ごろまでに収穫しましょう。朝採りしたゴーヤは、パリッとしたほどよい固さと甘味があり、みずみずしいです。また朝の日光がツルの切り口からの細菌感染を予防します。ツルを傷つけないように、実の上部の茎を園芸用のハサミで切り取って収穫しましょう。
ゴーヤの収穫量を増やす育て方
ゴーヤをたくさん収穫したいときは、よい苗を選ぶことも大切です。葉が鮮やかな緑色で、節と節との間隔がつまっている苗を選びましょう。また病害虫がなく、本葉が2~4枚ついている元気な苗がおすすめです。気温が高くなると葉から水分が蒸発する量が増えて成長が衰えます。収穫量を増やすためには、4月下旬~5月上旬までに植え付けを終え、しっかりと葉を育てることが重要です。
収穫量を増やす育て方①水やりをしっかり行う
ゴーヤの収穫時期は、梅雨明けから夏の暑い季節です。しかし、高温期に入ると暑さのため成長が遅くなり、花つきが悪くなります。盛夏までに株をしっかり成長させ花つきをよくしておくと、収穫量を増やすことに繋がります。特に育て方で重要なポイントは「水やり」です。ゴーヤは水を多く必要とする植物のため、雨の日以外は毎日水やりをしましょう。真夏の乾燥する時期は、朝と夕の2回水やりをします。
収穫量を増やす育て方②剪定と摘葉をする
ゴーヤの実りが少ない場合は、剪定や摘葉を行い収穫量を増やします。葉が茂っていると日当たりが悪いため、花芽がつきにくいです。古い葉を取り除いたり、剪定したりして、すき間をあけて株の内側に日が当たるようにします。剪定は、植物に必要なエネルギーを効率よく行き渡らせる大切な作業です。実がなり始めたら、収穫した実の下のツルを切り落としましょう。
ボタニ子
古い葉は黄色く変色します。黄色い葉を取り除き、風通しをよくしましょう。
収穫量を増やす育て方③人工授粉をする
虫が自然に集まってくる場所は、人工授粉をしなくても自然授粉が行われゴーヤの実がなります。しかし、栽培環境が高層マンションのベランダや、都会の住宅地など虫があまり寄り付かない場所であれば、人工授粉が必要です。ゴーヤの花は、朝のほうが花粉がたくさんついているため、人工授粉は午前中に行います。雄花をはさみで切り取り、雌しべに雄しべの花粉を軽くポンポンと当てて受粉をしましょう。
ゴーヤはおいしい時期を逃さず収穫しよう!
ゴーヤは、収穫のタイミングを見極めるのが難しい野菜です。いつまでも収穫せずに放っておくと、完熟して色が変わってしまいます。おいしい時期は、栄養がしっかり詰まった未熟な状態のときです。イボが硬く色つやのよい、みずみずしいものを選び、おいしい時期を逃さないようにしましょう。
出典:写真AC